スポーツカーとプログラミング

ニュース記事をぼんよりと眺めていたら「スポーツカー」という単語が目に入ってきた。スポーティーな車という意味を考えて思考をふいに巡らせてしまう。
ここでいうスポーツとは必ずしも体を動かして技能を発揮する体操じみたものではない。モータースポーツと呼ばれるものになると、モーターサイクルを乗りこなすために機器と技能と体力を限界まで使いこなすという世界になっていくけれども、アマチュアがスポーツカーを手にする理由はちょいと違う。そこにあるのは、道具としての車や二輪との対極となる目的そのものの車や二輪なのではないだろうか。
運輸という目的のための道具ではなく、その車を操ること自体を目的として楽しむためのスポーツカー。それはプロが運輸のために使う車という道具とは別の切り口で語られることになる。
本来ならば手段である道具に惚れ込み、それそのものを目的として楽しむということをスポーティーと称しているのはなんとなく面白いと思った。

それそのものが目的、で次に連想したのがコンピュータープログラミングについてであった。
コンピューターソフトウェアは芸術品か工業品かといった問答がたまに起きたりする。まあ、そういったことについて考えるのは必要なんじゃないかとも思うのだけれども。
そういった場面において、コンピューターやプログラミングが大好きなハッカー気質な人というのはエンジニアリングそのものを目的として大好きなんだよね。一般的にいうところのオープンソースプログラマの大半はこのエリア。スポーツカーをチューンして乗ることそのものを楽しむ様に、プログラミングに没頭し楽しむことができる。
じゃあその反対にいるであろうプロ気質の人はどうかというと、たぶん違う。
路線バスの運転手さんなどは、自分が運転するバスを夜なべして徹底的にチューンしたりとかはそうそうしないんじゃないだろうか。運転することが嫌いだとやっていけないだろうけれども、バスという自動車そのものに対する要求がスポーツカーを乗り回す人とは異なるはずだ。ピーク性能より安定性を重視するだろうし、運転技術そのものよりも路線運行ダイアをきっちり守りつつ安全第一に回していくことが大事だと思う。一人ずば抜けたドラテクを持った運転手さんがいても路線全体が円滑になるわけではない、いかにみんなでスムーズに回していくかといったことがプロとしての腕のふるい方になっていく。
これって、企業システム系のプログラミング業務に近かったりはしないかな。

だから、企業がIT業界の未来を語るとかいう席にオープンソースプログラマを呼んで若者に激励を送るとかいう企画をみるとなにか歯に挟まっているような違和感を感じてしまう次第。
業務プログラマは業務プログラマとして、必要な手腕というがあってそれは仕事として誇りにしてよいものだし。ハッカーはハッカーでコンピューターにおぼれながらどこまでも技能と才能を突き詰めていけばよい。でもその違いを理解せずにひとくくりに扱うのは愚かしい事なんではないだろうか。

スポーツコンピューティングとか、スポーツエンジニアリングとか「それそのものが目的」であるデベロップメントがもうちょっとすんなり理解されても良いんじゃないかね。
休日になると愛車を飛ばしまくるバスの運転手さんとかも、それはそれで素敵だ。



食品放置系動画の種明かし


昨年は「Wiiでかがみん」の種明かしをしたので、今年は放置系動画の種明かしでもしようか。

放置系動画は特に流行とは関係がなくいつでもみれる内容なため、未だに再生数が伸びているありがたいジャンルである。
一見思いつきで、ネタ次第的に見えるかもしれないけれどもほんのちょびっとだけエンジニアとしてのプライドが混ざっていたりする。何かというと、この手のインターバル撮影はそんなに簡単に行えるものではないため、ソフトを自作してそれで撮影しているのだ。
interval_capture.jpg
こちらがそのアプリの画面。[ダウンロードはこちら: interval_capture.zip]
自分で使う用だから、説明もなにもありませんがね。
WEBカメラ等の標準キャプチャーデバイスから一定間隔で静止画を取り出し、指定フォルダに連番で保存するアプリ。コメを噛めの方で、回転台を制御しながら自動撮影するシステムを作ったのだけれどもそのときのソースを改変したもの。min から max まで連番で撮影して終了する。撮影間隔はstepにミリ秒単位で入力するといった案配。私はDVカムをIEEE1397でつないでキャプチャーカムとして使っていたけれども、昨今のUSB接続なWEBカメラでも十分でしょ。

普通のカメラとアプリで撮影できる絵はそんなに目新しいものが含まれるわけでもない。そこで自作ソフトならではといった画作りをちょこっと加えることで面白い動画に仕立て上げるのです。
インターバル撮影ができても、何を撮ると面白いかはまた難しい問題でして。例えば、カップ焼きそばの前にはカップヌードルを撮影していたりする。けれども、カップヌードルは麺が浮いていて下方向に伸びていく仕組みなため見た目が全く変わらないという面白くも何ともない画になってしまった。その失敗を生かして見た目変化が出るカップ焼きそばに再チャレンジしたというわけ。
他にも水酸化ナトリウム系の排水管クリーナーにスライスハムを漬けてぼろぼろにしたり、塩素系漂白剤で色々ぼろぼろにするとかやったけれども画的にはほとんど変化しないのでこれらも失敗。
そんな感じで意外とボツになったものも多かったりするのですよ。



OS 入れ替え大作戦

2009年5月26日の22時から27日の1時にかけての3時間ほど、サーバーのメンテナンスを行っていた都合でうちのサイトに繋がらなくなっていた。その間にアクセスしようとしていた人が居られたら申し訳なかった。
何をメンテナンスかというと、ここしばらく我が家のマシンのOSを色々と入れ替えるといった作業を行っているのです。

■ VAIO Type-P を Windows7 RC 32bit にアップグレードしてみる
Type-P は非力なマシンなんだけれども、VISTAで使っていて何が嫌かというとウィンドウマネージャの描画でつっかかっていて画面表示がとろいところが一番いらつく。Vista Home Basic なので画面描画にCPUを食うわ、Aero無しでださいわといったところ。このへん、Intel のデキのよろしくないチップセットのせいというかドライバが Aero に対応していないので画面描画がとろくなっているんだけれども、Windows7のディスプレイドライバだとそのへんが改善されてAeroが使えるようになったそうな。
てなわけで入れてみた。
Aero は効いているし、それに伴い画面描画もそこそこ良くなって精神的には良くなった。ドライバがまだ不完全で再描画が中途半端で黒く塗りつぶされるときがあるけれども、何か描かせれば復帰するので対処可能。
でもまあ、非力であるところは変わらないのでアプリを使っていて遅いなあと思うあたりは変わらない感じ。個人的には画面描画が素直になっただけでもありがたい。
そんな Windows7 インストールの 2日後に Windows XP 版が発売されて、ダウングレード用にドライバーまで提供されるとは。うむむ、XPも試してみたくなるではないか。

■ サーバーマシンを入れ替える
これがサーバーが止まっていた原因。マシンもOSも入れ替わっているのに 3時間しか止まらなかったというあたり実はがんばっているのですよ。
ちょい前まで使っていたサーバーは、お金や時間が無いときにエイやと用意した適当な安いマシンだったのです。それが 2年以上ノンストップで動き続けていた感じ。まあ不満はなかったのだけれども、本当に適当なデスクトップマシンだったのでファンの音がうるさくて何とかしたいと思っていた次第。
今時のマシンならば、小さくてそこそこ静かでなおかつマルチコアのハイパワー、だけれども低消費電力とかなり良い物が用意できるわけです。特に低消費電力は大きい要素、自宅サーバーって24時間動かしているので電気代が結構かかるのです。このへん、マシン代替えで消費電力が減るたびに目に見えて電気代の請求が安くなっていくのがわかるくらい。
とまあ、それなりに小さくて静かなマシンを結構前に買っておいたのだけれども環境再構築がめんどくさくてほっておいたという事情。こいつに Windows7 を入れて色々実験していたのだけれども、その様子見も済んだので本格的なサーバー環境構築へ。
サーバー環境といっても Linux ホストの VMware server。それぞれ Debian GNU/Linux 4.0 + Vmware server 1.0.1 だったものを Debian GNU/Linux 5.0 + VMware server 2.0.1 でクリーンインストール。VMware さえ動いてしまえば、現行のサーバーバーチャルマシンをファイルコピーして持ってくるだけなので、サーバーそのものはなんも変わらずに移行できているといった案配。
Debian に VMware をインストールするにはいくつか手数が必要なのだけども、割愛。
旧サーバーから、バーチャルマシンファイルを外付けHDDにコピーして持ってくるというあたりに時間がかかって、どうしても3時間ほど停止せざるを得なかったというところ。
や、しかし、バーチャルマシンにしてしまうと取り回しが楽でいいね。
以前はシングルコアで 2〜3個のバーチャルマシンを動かしていたけれども特に問題はなかったところ、今度はマルチコアなんでより仮想環境向けなりよ。

■ クリエイティブワークステーション(メインマシン)
プログラム書いたり、動画作ったりするときに使うメインの WindowsXP マシンが最近どんどんと不調になっていくのです。シャットダウンしても、最後の最後あたりでクラッシュするらしくリブートになってしまい電源が切れないといった有様。なんかへんなになったドライバーが居るんだろうなあ。
先日はついに、Adobe Media Encoder が起動しなくなり再インストールしてもどうにもダメ。せっかく編集した動画がレンダリングできないという状況に陥る始末。しょうがないので、別のマシンにいったん Premier をインストールしてレンダリングだけして持ってるとか。
そんなこんなで我慢ならないくらい環境が壊れてきたので、OSからクリーンインストールをすることにした。どーせなら Windows7 RC 64bit にしよう。64bit Windows にすると何が動いて、何が動かないかは先日あらかた調査して把握している。今なら、64bit 移行もできるに違いないのですよ。
てなわけで、Windows7 RC を入れてみた。これからアプリケーションのインストール作業が果てしなく続くのです。
まあ、Windows7 は製品版が出たらまた入れ直すくらいの覚悟で。



GP2X wiz が届いたよ

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GP2X wiz が到着。
筐体そのものは、以前 D.K氏に見せて貰ったプロトタイプとほとんどかわらんので特に驚きとかはなく。つくりや質感が普通のメディアプレイヤー並みに向上、正直悪くない。以前の我慢ならないほどの安っぽさはないと思う。操作感もまずますで実は結構良かったりしますよ?
充電が特殊ケーブル&USBのみというのがちと減点対象かな。
画面も以前は我慢ならないほど汚い液晶だったのが、OLED(有機EL)になったので明るさや視認性が向上。でも32k色デバイスみたいで、階調表現は粗い。マッハバンドどころではなく、ざりざりしたノイズディザが載る。けど、フリッカが無いので振っても画が揺れないしカラーブレーキも出ない。階調は足りないけど、見やすさは結構高い感じ。

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箱がいきなり損壊していたけれども気にしない。
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今回、香港の PlayAsia から購入したんだけれども、「おまけです」とか言って日本のお菓子が同梱されていた。こういうのがアジア的で欧米の方にうけたりするんだろうか。

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初期で内蔵されているゲームタイトルは6つ。うち1つが拙作のTailTale。どれも微妙感溢れるけれども、タワーディフェンスクローンのゲームがあって、それはついつい熱中してしまう。
あれ?「かいてんパティシエ」はいずこ?CDが添付されているんだけれども、各国語でのマニュアルしか入っていなくて、アプリはバンドルされていない。
バンドルソフトと言えば、今回Flash7互換プレイヤーが載っているので、ちょこっとしたFlashゲームがそのまま動かせる。内蔵でFlashゲームがいくつかのっているんだけれども、なんかこれで良いような気もしてくるあたり。
今のところソフトがまったくないので、バンドルソフト以外は普通にメディアプレイヤーとして使う程度になっている。まあ、GUIが結構まともになったので使いやすくはなった。

GP2Xと言えば自作アプリなわけですが、じゃあさっそくSDKをと見に行ったがどこにも見あたらない。GP2Xの時は捜すのは困難なれど、それでもSDKとtoolchainは用意してあったのだけれどもな。GPホールディングのWEBをみても、ゲームやツールのダウンロードコーナーを用意してあるものの、絶賛工事中のまま中断されていて不安感漂う始末。
なんとか見つけたwiz用toolchainも、Open2Xプロジェクトが用意したもので、GP2Xのものと同じものだったりとイマイチ感満点。開発コミュニティも、Wizが発売されてみんな一斉に動きだしたという感じになっている。今は、Wiz開発向けクロスコンパイラの用意が熱い。
最大のお楽しみである、OpenGL ES 互換のアクセラレータは使えるのかといったところだけれども、lib に libopengles_lite.so なるシェアドライブラリがあることは確認されている。いや、それだけだと使えないから、とつっこみつつ情報公開待ち。というか、その辺の情報も「今日」公開されたりしているので進行中といったところで。OpenGLのデモムービーが存在するらしいので、開発者の手元では動いているんだろうけど。
ま、こういった状況も楽しみつつまったりとやっていきましょ。

でも、ものによってはGP2X用アプリのバイナリがそのまま動く事がわかってみたり。
うちのGP2Xゲームはライブラリをスタティックリンクしているのでそのままバイナリが動作した。それだとGP2X同等じゃんといったところだけれども、CPU性能が倍くらいになっている関係でかなりさくさく動くというメリットがある。
大体いつも 30fps で作っているけど、GP2X上だとソフトウェアレンダリングが遅くて 12~15fps になっていた次第。でもWizならフレームドロップしていないという塩梅。でもなんか全体的に遅い気がする、詳しく調査せねば。

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GP2Xの拡張ボードを繋いでみたけれども、今回はシリアルコンソールが出力されていない。がっかり。
解析も時間かかりそうだなー。

開発ネタはコメ噛めの方でやっていく予定。
取り敢えずはBeagleBoardもあわせて、toolchainの準備をのんびりと進めていこう。最近クロスコンパイル環境を作っていなかったので、その辺の腕や知識が鈍っているあたり。

[追記]
すっかり見落としていたのだけれども、GP2Xのときと同じように WIZ File Archive なるサイトができていた。ここを見てればアプリの入手だけでなく、開発環境の整備状況もわかるというもんだ。
glquake のソースがあがっていたりするな。



GP2X wiz がついに発売らしい

半分忘れかけていた GP2X wiz (レッドスターでの紹介) が発売になったらしい。
PlayAsia から「発送したよー」というメールが届いていた。

はて、どんな感じに仕上がっているのでしょうかね。
拙作「ているテイル」やD.K氏の「かいてんパティシエ」(の韓国語移植版)は Builtin game という扱いらしく。



アニメ「けいおん!」のCDはあざといよね

今期のアニオタ注目作といえば「けいおん!」ですかね。
私もアニメのOPテーマ「Cagayake!Girls」がループ状態。しかし、このCDは実にあざとい。
何がって、楽器構成が主人公4人のパートに合わせてあるあたり。
「あたりまえじゃん」とか言って流してしまいそうだけれども、そこが実に重要。特に、 Cagayake!Girls だと間奏のところで「うーっ、ゆっいー!」とメンバー紹介と持ちパートの演奏が入り、ああこの楽曲はあの子達が演奏しているんだというイメージを強烈に与えてくれる。このことがこれまでのキャラソンCDと異なり「楽曲そのものにキャラクターを投影してみてしまう」理由になるわけです。
わかりやすく言うと「OFFボーカルバージョンすら、キャラアイテム」になっているのですよ。
ぼこぼこ鳴るベースに黒髪をイメージしたり、LFOのかかった白玉シンセ音にまゆげを見たり。また、そういった楽しみを得るために、楽器の音が強調されている気がする(特にドラム)。

最初に曲を聞いたときに、あれ?ギターが二本ある、と思ったのだけれどもその後気にしないでいた。なんでOPの演奏でゆいが真ん中にいないのかという話を聞いてその事を思い出し納得。あずにゃん枠が既にあるのね。
そゆこというとシンセも2パートあるところがあるのだけれども、むぎなら、むぎならきっと(splitで)やってくれるさ。



なぜスカウターに憧れるのか

漫画ドラゴンボールに出てきた「スカウター」。21世紀になった今も、あの機械に憧れを持っている人は多いのではないだろうか。
なぜスカウターに憧れるのかというと、あのヘッドマウントディスプレイとしての格好良さもさることながら「相手の攻撃力を数値化する」機械であるからだと考えている。

当然のことだが、人間には優劣のパラメータが数値でついているわけではない。
だが、人は認知欲、出世欲といった欲求を持っており、他よりも認められたいとか優れた存在でありたいといった事を大なり小なり欲している。そういった欲求を満たすために、他との優劣を付けたがる。
最もわかりやすいのは対一で対峙したときの勝負の結果だろうけれども、直接的な勝負では多人数になってくると処理しきれないため多くはなんらかの数値化をして比較をし、優劣を決めることとなる。
身体技能の優劣はわかりやすく比較もしやすいため、スポーツなどといった形で昔から優劣の判断がなされてきた。学問をおさめる分野では、試験等のツールを用いた数値化で優劣を決めたりしている。貨幣経済は文化的生活のために必要なものだが、資産の所有と貯蓄といったことを人となりのステータスとしてみるとこれも数値化による優劣判断となる。
かくして人は何でもかんでも数値化し、他と比較し優位に立とうと奔走するのである。

ネットワークが普及し個人レベルでの情報も多く飛び交う様になり、そのなんらかの強さの数値化も色々な手法で行える様になってきた。ブログランキングであったり、はてブ数であったり、マイミク数であったり、フォロワー数であったり、マイリスランキングであったり。
数値化された己を見て他より優位に立ちたいというのは欲求であるので、その欲を満たすことのできるような数値化を含んだサービスは成功の条件となるだろう。もっとも「成功」と言う言葉も何らかの条件に基づく優劣判断だが。

数値化する事で比較や競争をさせると盛り上がると思われがちだが、案外そうでもない。当然のことだが、下位にいる人間にとってはちっとも面白くない。ゲームのオンラインランキングで「あなたは183,839位です」とか言われても面白くはないし、じゃあがんばって1位を目指そうとも思わない。上位で盛り上がっている奴らには到底かなわないことがわかっているので、どうかしようもないのである。スポーツに照らし合わせて、ずぶの素人がプロスポーツ選手と本気で戦うとかに置き換えるとイメージできるだろうか。
また、優劣ゲームがエキサイトして数値化されたその数値を上げることだけに腐心しはじめるとまた色々と間違ったことになり始める。スターくれたら~しますだとか、ランキング工作とか。
数値化することで優劣が見えるのはよいのだが、ではどうしても上位に張り付いていないといけないものなのだろうか。自分に合った範囲での浮き沈みで欲求は満たせないものだろうか。
良い数値化サービスは、利用者各人の周辺にあった形でも楽しめる様な優劣化なのではないだろうか。

ネットサービスだけのお話だとは思っていない。文化活動の多くが数値化と優劣化に溢れている。
規模も小さくサイクルも早いネットサービス上での活動を眺める事で、もっと大きなものの歪みが見えてきたりはしないのだろうか。



たまには Vocaloid Editor に没頭してみる

「工具が大好き」なんて話をしたことがあるけれども、時には工具を弄っているだけでにまにまするなんて事もあったりする。
工具は何か目的のために使う手段ではあるけれども、それそのものに魅力を感じることも少なくはない。
いつか使いこなしてやると思いながら買いそろえたり、新しい工具を眺めるだけでにこにこしたり。それを使いこなすことだけに腐心してみたり。


久しぶりに Vocaloid の調整をやってみようかと思って、童謡を一曲打ち込んでみた。実は初ルカ。

nantsu_vocaloid1.jpg
珍しくピッチやダイナミクスを手でほにほにと書いてみた。というか、それが目的。
そいった細かい調整を久しくやっていなかったので、今の自分の手でやるとどんな感じになるのかの確認。
今となってはこの程度で凄いとも言われないし、肉声に近い感じで歌わせるという事自体そんなに重視されることでもないのだけれども。まあ、自己満足までに。

VSQファイル: nanatsu_ruka_vocal.zip
このVSQファイルは RUKA_JPN で作られているけれども、環境によって singer がずれていると思う。



支払い側の心理にまとわりつくもの

「コメを噛め」の方で「奏」キットの頒布を行ってみた。
[「奏」キットの頒布のご案内]
しばらくその対応に追われていたりしたのだけれども注文やページ来訪の数も落ち着き、欲しいと思ってくれる人のところにはあらかた届いたかなとかそんな感じ。まだ在庫はあるけれどもね。

さて、ただ単に「売ります」「買います」では味気ないものでして。趣味の範囲なので儲けがあるわけでもなし、どうせなら色々と実験をしてみようと思った次第。なので、今回は敢えて委託とかせず自分自身で個人販売を行ってみた。
頒布を行うにあたり支払いの方法に多様性を持たせてみる。ネット上での個人活動も豊かになり、主に個人オークションの隆盛から個人間送金手法も結構種類が増えてきている。それらの中で使えそうなものをチョイスして一覧表にまとめた。「奏」キットのお支払いはこれらのどれでも受け付けます、ということなのだ。
支払う側も単に代金を支払うというのではなく、送金手法の実験に参加してもらう事でお買い物を楽しんで貰おうというのが狙いである。

なんだかここにきて、個人制作者やCGMといったものに利益還元できないものかといった議論を繰り返し見るようになった。投げ銭システムが必要なんだよ、とかいう論調も4~5年前くらいに見たような光景な気がする。
還元の流れが必要だとか、マイクロペイメントが個人制作を救うとかそれっぽい事を頻繁に言っている人を見ていると考えることがある。
四の五の言う前に試して見ればいいんじゃない?
とまあ、そういうことだ。

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アルカナハート2に見る家庭用ゲーム機の世代交代時期

2D対戦格闘「すっごい!アルカナハート2」の PlayStation2 移植版が結構な劣化移植で話題らしい。
「ジャギがひどい」とか言われても、ゲーオタのいう「ジャギ」とCG用語のそれとは微妙に違うので今ひとつピンと来ないので見てみるしか。
実はアマゾンさんから届いていたのだけれども、後回しになっていたで段ボールからサルベージ。実際にプレイしてみると「あー、なるほどねー」といった感じ。
VRAMのテクスチャ領域に全キャラパターンが入らないので、あふれた分を「半分のピクセルサイズに縮小」して納めて、それを倍に拡大して見せているのね。横幅があるキャラはおしなべて入りきらないのでこの手法が使われている。倍なんでピクセルエッジが見えまくりなわけだ。せめてバイリニアがかかっていればまだ気にならない場面も多いだろうに、後述の描画フィルレート問題からフィルタがかかっていないのねん。
まず背景は完全に入らないので、標準で倍表示。静止時モーションだけは開始時に見えているものだから現物表示しているものの、他のモーションに入ったら半解像度になってしまう。なずなとか美鳳は歩くだけで半解像度なんだが、いちばんきついと言われるペトラはモーション(アニメ)の一部分だけ半解像度になるので気になりまくるわけですな。エフェクト群は真っ先に縮小されて「これはモザイクですか?」というくらい解像度が低くなっているし。
私は残念ながらアーケードでやったことないので、処理落ちで重いとかいうのはよくわからなかった。それ以前にへたれなんでコンボとかつなげられんし。まあ、実際プレイしていて重たくなるんだけれども、演出過多になるとスローになるゲームは過去に多くあったのでこんなもんだろうとか思ってしまった。アーケード版を知らないと、そんなものだよねで済ませて遊んでしまう感じかも。
重たくなる理由は主に 加算合成のエフェクトがたくさん出る場面で、もともと加算合成の速度が遅めのPS2では荷が重い演出だということですな。ピクセルフィルレートがあまりとれないので、かなりぎりぎりの描画になっている模様。
それよりもアーケード版にこだわるのであったら、24khz モニタ専用だったアーケード版アルカナハートを、インタレース表示の家庭用ゲーム機とテレビ受像器にもってきた時点でどっか納得のいかない表示になっているはず。
まあ、何かというと PS2 はもはやアクションゲームを作るには非力なマシンですなあということ。そして興味深いのが「XBox360かPS3で出しやがれ」という声が割と普通になっていること。XBox360やPS3が「そんな新しくて高いハード持ってねーよ」という時代ではなくアクションを遊ぶプラットフォームとして地に足がつきつつある時代になってきているということである。逆にPS2でこれほどのプレイアビリティを維持するためによくやった(ぎりぎりまで削って遊べる状態まで持っていった)、と言えなくもない。削りすぎではあるけど。
PS2はもはやギャルゲーや乙女ゲーといったマシンパワーを要しないジャンルでしか使われなくなりつつあるのだろう。SRPGとかでも複雑になってきていい加減メモリが足りなくきついはず。
マスを狙って無理に移植しても「劣化移植」と称されてたたかれるのでは、わざわざPS2をターゲットとする意味が薄くなる一方なんではないか。

しかしまあ、家庭用ゲーム機がアーケードゲーム機よりも遙かに性能が劣っていた時代。ゲームタイトルの移植なんてのは、必ず劣化移植で無理があるものであった。それでも、移植のニュースに沸き、ソフトを買っていたものだった。それはアーケードゲームが最先端であり、あの憧れが(劣化しても)家庭で楽しめるという事にわくわくしていたから。
その状況が変わるのは、PlayStationが発売され、アーケードゲーム基板よりもコンシューマの方がハード性能が良くなって以降である。具体的には以降のアーケード基板がコンシューマゲームと同じチップを使ったものになる。アーケードとコンシューマに技術的差異がなくなって、移植についての価値が大分変わってしまった。
今、アーケードゲーム機はPCと同じハードとOSになってしまい、またコンシューマ機とは微妙な違いを持ちつつある。じゃあPCならアーケードゲームが完璧移植かというと、汎用性の高いPC用OSと用途特化のゲーム機OSではタスク管理に差があって難しい様な気がする。
なかなかうまくいかないものだが、だからこそアーケードゲームは存在意義を持てているのかもしれない。

しかし、こういう場面での「総統MAD」(ニコニコ動画)ははまりまくるなあw