Archive for the '書籍' Category

出版社間での書籍広告

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買った漫画をたらたらと読んでいたりしていたら、「怪物王女 11巻」の帯に目がとまる。
作家の光永康則氏がビジネスジャンプ増刊にも書いているらしく、そっちの「シンバシノミコ 1巻」と同時発売というタイアップ広告帯になっていた。こういった異なる出版社で一人の作家を持ち上げるキャンペーンというのはそんなに珍しいことでもなく、ひよひよ氏の3出版社からの単行本同時発売なども記憶に新し…くはないのか(2001年だし)。
「怪物王女 11巻」でちょっとすげえと思ったのは、通常は既刊広告になっている巻末最後の見開きページも「シンバシノミコ 1巻」の広告になっていたこと。帯だけでなく本の中にも広告があって、講談社の漫画の中に集英社の漫画の広告がある状態になっているのだな。

「怪物王女」でひとしきり感心した後傍らに転がっているラノベの帯を見て再び「おやっ?」と思う。(上の写真)
「ゴミ箱から失礼いたします 2巻」(著者:岩波零/イラスト:異識)、の帯でイラスト担当異識氏の4コマ漫画単行本の広告がされているのだ。「あっちこっち」も普通に読んでいたりするので、こういう形で3巻の発売日を知ることができてありがたかった。
しかしこの漫画、まんがタイムきららなので芳文社の広告なのよね。
ラノベでイラストレーターを持ち上げるという企画としては理にかなっているというか、なんだかずるい気もする。
イラストレーターが大作家とかでイラスト集が出るとか言うときにこういった帯広告をうつのはあったような気がするのだけれども全然関係なくタイアップしているのは珍しい気がする。単に私が見慣れていないだけで今は珍しくないのかなあ。
「ゴミ箱から失礼いたします」については著者の岩波零氏が1巻あとがきにて「異識様ファンです」とか「『あっちこっち』と抱き合わせ販売なんてどうかなぁ」等と書いていたのが元になっての事だとは思う。

こういった出版社間の協力というのも徐々にやりやすくなってきているのかね?
読者にしてみれば作家の作品が読みたいというのが多いと思うので、出版社を気にしながら買っている人というのはそんなにいなさそうではある。この出版社ならこういった系統のものが多いとかはあるかもしれないけれども、同じ作家だったらこの出版社の編集の方が優れているのでぜひともこの出版社で買っていきたいという意見はまれなんであろう。
ラノベの底辺のほうとか、新人の佳作レベルのとかだと明らかに編集の力で底上げして商品にもっていってるというのが見受けられるので、そのへんで出版社というか編集部の力量が出ることはあるとは思うけれども。

まあ、なんにせよ、読者は作家で本を買っているところがあるので、こういう「別なところで同じ作家が本を出していますよ」という情報はありがたい。



粘土をこねることの大切さ

「創るセンス 工作の思考」 森博嗣
(Amazonだとこのへん)

森博嗣の工作本という事で読んでみた。
いや、工作本なのかな?啓蒙本?エッセイ?なんだか説明が難しい本。
もの作りが好きだと言える人は迷わず読んで欲しい一冊。そうでない人は下手すると書いてあることは理解できるけれども納得できないかもしんない。
この本の難しい所は、読んで何かが得られるわけではないあたり。なんせ内容を要約すると

「技術のセンスは言葉で説明できないから自分で作って理解して!」

という投げっぱなしで終わっているのだから。もっとも、本を読むことで教えてもらおうという種類の人間はあまり相手をしていなくて、そんな暇あったら手を動かしてなんか作れと諭してもいる。

人間は古来より物を創ってきた。その、もの作りという活動を「工学」により経験の記述とシェアをし、「組織化」で作業分担化して誰でも行えるようにすることで大量生産化を果たしてきた。しかして結局の所、技術は末端の技術者一人一人に宿るものであり個人が身につけるしかない。そういった技術は「センス」であり、自身の経験と勘という形で体得するしかないものである。
だから手を動かし、物を壊し、物を創り、失敗をして工作を積み重ねて行きましょう、というそういったお話。

それだけじゃわかりにくいから「若者の技術離れ」とか「技術力はトラブル発生時に発揮される」とか所々わかりやすいお話でかみ砕いて伝えてくれている。その、たとえ話がわかりやすすぎるのでそこに目を奪われがちだけれども、本当に言いたいことはもうちょっと深いところにあるように思える。

技術屋として普段考えている事をときたまこのBlogに書いていたりするけれども、本当に考えている所とかこれからどうあるべきかとかは全部この本に書かれちゃった感じ。なので、個人的にはおすすめの一冊。
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印税70%の世界、ほか

もちょっと頭の中で固めることができてから書こうかと思っていたのだけれども、電子出版について今あれこれと語るのが熱いみたいなので時期を逃さぬようメモレベルで書いておく。

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2010年1月21日に Amazon が Kindle Digital Text Platform の印税を70%まで引き上げるとの発表を行った(cnetの記事)。つまり Amazon が販売店として手数料30%をいただいて、あとは著者(掲載者)の取り分になりますよ、というお話。
この「印税70%」という数字が衝撃的だったらしく、各所で電子書籍と日本の有り様について語られ始めている。
問題はその70%という数字がどれくらい衝撃的なのかなのだけれども、私は何の感慨もなく聞いていた。なんでか。その世界は既に存在しているからである。
なにかというと、同人誌のダウンロード販売代行のこと。DLSiteとらのあなダウンロードストアメロンブックス.comやその他数十ある同人コンテンツのオンライン販売店。
これら同人コンテンツダウンロード販売サイトでの相場は手数料30%~40%が相場であり、その数字でかれこれ10年は運営されている。
当然ではあるが、紙の本を手にした方が嬉しいし、やはりイベント会場で作家から直に買えればもっとうれしい。けれども、なかなか手にする機会に会えない場合ダウンロード販売は強力な味方となりうる。それに、作家側から見ても印刷して紙の本をつくのには結構なお金がかかる。実際に本を売っても差額での利益は少ないものだったりもする。けど、ダウンロード販売なら手数料以外はほとんどかからないので率は良いし在庫切れもない。
なので、この同人コンテンツダウンロード販売は次世代オンライン商法のテストモデルとなりうるとして長らく注目し、利用してきた。(単に好きなだけだろというツッコミは置いておく)
もちろん、同人コンテンツの世界では作者が編集、装丁、デザインまですべてひとりで行うことが条件である。逆にそれができるのならば、印税70%の世界は既に存在しているのである。
また、逆に編集やデザインを他に委譲するこれまでの出版形態も残るだろうし、残ってもらわないとデザインワークができない人は困ることになるだろうね。DTPワークをすべて作者が行うことで、電子書籍の多くがへっぽこな装丁になってしまうという指摘はある意味正しいと思う。

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漫画雑誌は連載という形式で掲載し、ある程度まとまったら単行本を出すというモデルを続けてきた。
それにより雑誌掲載時は安めの原稿料しかもらえないけれども、単行本がでるとまとまったお金が入ってくることで作家はなんとかやっていけるとかいう微妙なモデルを作り出している。
それを逆手にとってというか、雑誌を持たないモデルも確立し始めてきた。つまり、無料のWEBコミックとして連載し人気があった漫画は単行本をだしそちらでしっかり儲けるというビジネスである。
FlexComixWEBコミックハイガンガンONLINEなどがそれらにあたる。
ガンガンONLINEはガンガンノベルズというラノベレーベルのカタパルトにもなっているから、もう少しいろいろなものを巻き込んでいる感があるかな。
私もWEBコミックハイで連載している「つぐもも」とか大好きで読んでいるんだけれども、単行本でたらやっぱり買っちゃうしね。この「つぐもも」の作者である浜田よしかづ氏は自分の執筆しているところ、つまり仕事風景をスティッカムでライブ配信していることでも話題になっている。
また、TVアニメという大きな広告をぶちあげて単行本の売上を伸ばしそこで稼ぐといったモデルもあるようだ。そのものじゃなくて、もう一つ大きな枠で全体的に稼ぐというか、これまでとはちがったマネーフローで稼ぐといった感じになりつつあるのかもしれない。

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同人誌即売会というと、昔はサークルのところに漫画出版者が名刺を持って訪れて周り新規の契約作家を探し回っていたという。でもここ最近は出版社各位そんな余裕はなくなり、編集もフリーの漫画編集会社が代理で受け持つことが多くなったとかでさっぱり数が減っていたとか。
その代わり昨年末名刺を持って絨毯爆撃をかましてたのが、携帯電話向け漫画配信を行っている出版社だったそうな。
携帯電話向け漫画配信というと大多数が女性向けのアダルトな方面だったのだけれども、ソッチ系が飽和かつ縮小を始めたのか一斉に「男性向け創作のブランドを新規に立ち上げそちらにも力を入れていきます」と言い始めたとか。
どうにも景気のよい話ではなく、原稿料がどんどん値下げされており1ページ3000円というのも本当の話らしい。既にある同人原稿を流すだけならともかく、そのために新規で書いていたのでは生活ができないレベル。おまけに、会社都合で締めは半年毎の年2回支払いで、大量に売れた時のインセンティブは数十万ダウンロード以上とかいう話も聞く。
まあすべての出版社がそうというわけでもなく、逆に出版社によっててんでバラバラというから携帯電話というメディアにおける相場というものが確立しないうちに進行していったのだろう。
ぜーんぶ伝聞なので間違った情報もあるかもしれないけれども、一応携帯電話サイトにてエロ漫画を今売っている友人から聞いたというか質問して裏をとった範囲。

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その昔、MP3を利用しているだけで泥棒扱いされた時代があった。だいたい1997~1999年ごろ。
MP3はファイルサイズが小さく、ダウンロード可能なサイズ故不正アップロードやダウンロードに用いられたのである。なので、MP3で音楽を聞いている人=違法コピー利用者というレッテル張りがされていたのだな。ちゃんとCDを買って自分の所有物を私的利用のためにMP3に変換していても、そしてそれを配布せず厳重に手元で管理していても泥棒と同等に扱われていたのである。今でいうとiTunesでCDをリッピングしただけで犯罪者予備軍とされる感じ。
確かそんな頃に書いた記事があったなあと掘り返してみたら、1999年6月の記事であった。

今は、まだ混沌としていても音楽のネットワーク配信や MP3 といったフォーマットは確実に定着していくと思う。 (キリッ

などとカッコつけてるなー、当時の自分。
MP3はともかくとして、この時に本をスキャンして上げるのはなんで問題にならないんだろうということを疑問として書いている。きっと当時は問題にしていなかったのではなくて、問題だと認識すらできていなかったのだろうな。
音楽の方は先に問題視することができて、DRM化、DRMの敗北、オンラインショップ化とこの10年で歩んでくる事ができたのだと思う。それもこれも 2001年にiPodとiTunesが出てきて、2003年にiTunes Music Store が始まったからであろう。これらが成功しこれまでを反省することでようやく芽吹くことができた。
じゃあ電子書籍の方は?DRM化とDRMの敗北は既に味わっているか現在進行中なところで、携帯電話というゆりかごの中もそろそろ終焉だ。ちょいとスタートは遅かったけれどもようやく始まりだすのかもしれないね。



PLUSの裁断機PK-513Lの導入

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散財記録。
裁断機として以前から好評なPK-513を購入。ずーっと欲しかったのだけれども、満を持しての導入。悩み続けていたのはやはりその置き場所の確保。結構な大きさがある上に、ハンドルが上に上がった状態でロックされるものだから、普段たたんでどっかに置いておくといったことができない代物なのですな。
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これまた散財なのだけれども、先日 Kindle SDK 発表を受けて「面白そうだ」と購入した Amazon の Kindle DX が発端。
PDFが表示できるので、Kindleで読みたいものは自分でスキャンしてPDFを作れば良いのですな。で、その作業をさくさくこなすために裁断機が欲しくなったという次第。
PK-513はこの手の用途で使う裁断機の定番なれど、1万円代で「400枚切れる」という中国企業産の裁断機もあり肩を並べる人気。でもこっちにしたのは、実はPK-513の方が12kgと軽いのですな。それに刃に触れない様安全対策が施されまくりなのもポイント。その分150枚しか切れないけれども、そこは十分な数値かと。
で、使ってみてその便利さにビックリ。「ちょっと」苦労するかもしれないけれどカッターでも切れるしなー、とか思って導入を渋っていた過去の自分にグーパンチをお見舞いしたい。
いろんな人のレビューを見ていたのだけれども、自分で切ってみるまでその凄さがさっぱりわからなかったのも事実。
なので、本を切るところを動画にしておいたよ。

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絵本「こねこのパヤパヤ」とファンブック

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アマゾンさんからお荷物届いた。
説明の必要もなさそうな絵本とファンブック。「こねこ」が絵本で、「子猫」がファンブックね。

しかし、「子猫のパヤパヤ」とタイトルは付いているけども中身は本当に「ワンカップPの」ファンブックですな。ファンは買うとよいよいよい。
最近流行の「ニコニコ動画からメジャーデビューしたアーティスト」という風でもなく、「みんなのヒーロー」でも「有名人」でもなくて、「にんきもの」なんだよなあ。だから昨今のネット上の著名人とはベクトルが違っていて、妙にふんわりとしている。



ちょっと前にカップ酒ブームというのがあってだなあ

sake_no_hon_!
酒の本♪

ニコニコ市場15人目は私です。
読んでいるとやっぱり飲みたくなってきて、あれこれとカップ酒を買い込んできてしまう罠。



萌え萌えうにっくす

てなわけで「萌え萌えうにっくす! UNIXネットワーク管理ガイド」を買ってくる。やっぱり、ねえ、キャシャーンがやらねば誰がやる、じゃなくてせっかくだから。
http://www.timemachine.ne.jp/

あー、うん、「UNIX管理ガイド」という方針は良いかも。
UNIX サーバー管理と称してアプリケーションのインストールと設定しか載ってない軟弱な本とはスタンスが違ってて、サーバーを建てました、で次に必要なことはなんでしょかといったあたりを説明してくれている感じで。
前回の著作権&法律ガイドもそうだったけど、他とは違ってここを説明したいんだという立ち位置が非常に明確で良い本。最初の方で基礎知識を説明してくれるのは良いんだけど、その部分がちょっと冗長な感じもするなあ。

問題点としては普通に本として良くできていて「何が萌えなの?」といった状態になっているところだろうか。キャラクターの漫才はそこそこ面白いし、本文より注釈の方が本体だぜと言わんがばかりの(間違った方向に)気合いの入った注釈がいかしてはいるものの。
「萌えの一手」という良い単語を生み出しているものの、実際にシステム管理に萌えているわけではないし、萌えキャラの存在によってそれらが楽しくなっているわけでもないのでいかんとも。重要な部分はやっぱり手堅く説明しているので普通の本なのだ。

それと「口癖や語尾が変な女の子」という萌え記号は既に賞味期限を過ぎております。その手の記号は時期を逸したり、使用範囲を超えてしまうととたんに陳腐に見えてしまうのでお気をつけを。




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