つぶやき 07/13/2000
とあるところで見掛けた文章。
「『萌え』の語源は美少女戦士セーラームーンに出てきたセーラーサターンこと
『土萌ほたる』に由来する」
いや、確かにこういう説があるのは知っていたのだが実際は違う。
こういったお話は過去何度も見掛けており、その度に識者が訂正してくれていた
様も見てきている。
とりあえずここでは、私が見てきた「萌え」の語源とその歴史(?)について書いて
みようと思う。
時は1993年、場所はパソコン通信形態の草の根BBS「CAT-CG-NET」。
当時はインターネットという単語がまだ確立する直前で、一般的なパソコンユー
ザーは Point to Point のパソコン通信という形態でネットワークを楽しんで
いた。そんな時代。
「CAT-CG-NET」というのは「CAT-NET」という草の根BBSに端を発し、当初は
名前の様に猫好きが語る場所だったようだが、主要メンバーにCG描きが多く
いつのまにかCG描きの集まる場へと成長していった。
当時私もCGというかコンピューター上で描かれた娘絵に多分に興味を持っていて
福島県在住でありながら東京にあるこのBBSへ毎日アクセスしていた。
単刀直入に言って「萌え」の元は「燃え燃え」である。「〜ってさ、燃え燃え
だよね」といった用例であり、取り上げた事象に対し情熱的に入れ込んでいる
様の事を言う。
当時、NHK教育の「天才テレビくん」という番組があり、その番組中アニメで
「恐竜惑星」という物があった。CAT-CG-NET に集まる一部の濃いメンバーは
このアニメーションを良く観ていた。対外的に言ってマイナーなアニメだと
思うのだが、それに注目し盛り上がっていたところにメンバーの濃さというか、
逸般的なパワーを感じていた。
この「恐竜惑星」の主人公兼ヒロインが「萌ちゃん」という。
「いや〜今日の『恐竜惑星』の萌ちゃんかわいかったよね〜」とかいう話が
良くBBSに書き込まれていたのだが、あるとき妙に盛り上がっていた回があって
「萌萌だよね」とかいった一文が書き込まれた時があった。
流石に今となっては原文を覚えてはいないし、発言者が誰だったのかも曖昧
であるので詳細は割愛する。(確か「みの3」だったと思うんだけどなあ)
おそらく誤変換に因るものだったと思う、ある程度意図していたところもあった
のかもしれないが、そんなに大きな意味合いを持ってはいなかったはずだ。
しかしこの「萌」という春の芽吹きを連想させる初々しい単語は、多くの人の
心を打った(笑)。まあ、みんなちっちゃい娘が好きとかいうのも、理由として
重なる要因でもあるのだろうけど。
最初は件の書き込みをちゃかす様に「萌萌だよね(笑)」の様に使用されていた
ものの、みなかみさん(http://www.linkclub.or.jp/~minakami/)や、みの3
といったほわほわした系の絵を描く人たちが好んで使うようになり、そういった
メンバーが当時大きな影響力を持っていたことからデファクトスタンダード
となるまでにそんなに時間はかからなかったと記憶している。
以後「萌萌」は「萌え萌え」と記述する様になり、単語として一人歩きをした
結果意味合いも若干変わったように見受けられる。
「萌え」とは何かという議論も良く行われる様だが、結局各人の嗜好対象の
問題であるために統一見解は出ていない。あたりまえだってば。
で、セーラームーン説がどこから出てきたのかを逆に知らないのだが、年次的に
言って「恐竜惑星」は93年で「美少女戦士セーラームーンS」は94年であること
から原点とは言いがたい。
似たような事象として「ショタコン」という単語は「石ノ森章太郎先生の描く
男の子に思い入れるところから」という嘘語源がある。これも初めて聞いたとき
「なんやそれ〜」とツッコミ入れまくったものだった。
正確には(元祖の)「鉄人28号の正太郎くんがかわいいので少年好きはショタコン
と呼びましょう」というのが語源であり、ファンロードの質問コーナーにおける
「ロリコンの対義語として少年好きはどう表現すれば良いのですか」という
ハガキに対する回答である。
むーん、あのころのファンロードも懐かしいですな。
以上実際に見てきた事ですが、記憶的に曖昧な部分もいくつかあると思いますの
でその点はご了承ください。