NHKスペシャル「世紀を越えて・第4集ロボット」をみる。
本田の二足歩行ロボットを中心に、人に近いロボットを夢見る研究のお話。
内容自体は本田ロボットがたくさん見れたー、って以外特に深くもなく。まあ、あまり
技術的な事に深いと視聴者がついてこれないか。
で、一点気になったところがあったのでどうしても書きたい。
「鉄腕アトムみたいなロボットが理想形」(アメリカだとHAL9000の様なコンピューター)
というあたり、どうよ。日本でロボットというと必ず出てくる定型句である。
確かに今まではそうだったし、目標として良いとは思うけど。今の研究者、特にこれ
からを担う若い発想力の持ち主らが鉄腕アトムで育ったとは思えない。
やはり世代的にはガンダムだろう、ガンダム。って、これは重工機か。
いや、でも本当に、今の大学生だったら「マルチ(HMX-13)」を作りたいとか言い出す
のではないだろうか。そしてそれは非常に正しいと思う。給仕ロボットは介護型ロボット
に等価である。そして、インターフェースとしても武骨な箱よりかは愛くるしい容姿の
方が良いに決まっているのだ。故に「マルチ萌え」を胸に秘めている工学系研究者および
学生はそのことを誇りに堂々と研究してもらいたいと思う。
でだ、NHKの番組故しょうがないのではあるが、どの研究も直球勝負で堅苦しい。
研究室から AIBO は生まれないのだ。
例えばの話をしよう。
コンピューター内でテニスのシミュレートを制作し、将来は誰でもコンピューター内で
テニスが出来るという未来図を描いたとする。
テニスのボールをコンピューター内で表現するために、ボールの弾み方をシミュレート
しなくてはならない。飛行中の空気摩擦係数と空気流動の影響、ボールの回転速度と
空気抵抗が産み出すバイアス、湿度の変化による影響の変化、コートの材質とリバウンド
係数、ボールの回転とコートとの摩擦によるリバウンド後の方向決定、コート上の微細な
凹凸の影響…。それらすべての要素を計算し、ボールの弾みをコンピューター内で表現
することが出来ました、次はラケットとの衝突をシミュレートするところとか。
だが、そんな計算をしなくとも「テニス」なるビデオゲームは存在する。ビデオゲームに
おいては、物理演算はほとんど徹底的に簡素モデル化され原型をとどめてはいない。
だがプレイヤーはゲームをプレイしてテニスをした気分にはなる。もちろん本物のテニス
とはまったく違うものだけれども、ビデオゲームにはビデオゲームなりの面白さが
あるのだ。それは技術的な側面からでなく感覚的側面からテニスをとらえて、テニスの
面白さだけを抽出しているからである。
人間とのインターフェースということを考えると、エンターティメント産業は独特の
ノウハウを蓄積しており、しかも直接的にお金にしている業種である。
そういった娯楽系(ゲーム、マンガ、アニメ、3DCGアニメ、イラスト)が持つ「見掛け」
に関する物はどんどん進歩するだろう。音声入力技術もあっという間にゲーム業界が
消化してしまった。会話型ゲームというのも今後はよりゲーム性が増し精度も上がって
行くだろう。やはり一番の使いどころは「萌え系」ではないかと。
自然な発声の音声合成システムを具現化したのは「ときめきメモリアル2」だったのだし。
今後は人工会話系がトレンドっすよ。今までのシナリオ型を基本として、それに枝葉を
つける形で出てくるのではないか。もっとも、音声入力というインターフェースは思考を
遮るためゲームには向かないと思うが。トランシーバーみたいに交互に喋るというのも
不自然だしね。
先日知ったのだが、「リアルドール」というドールワイフ(等身大性玩具)があるのだ
そうだ。それをWEBで見たとき、これにスイッチを組み込んで音声を発したり、目を
伏せたりするだけで十分クル(なにが?)のではないかと思った。
案外ロボットよりこっちの発展の方が重要でかつ早いのではないかと予測する。
そしてお互いが進歩したあかつきにはそれらが組み合さって、大衆の求める「ロボット」
が誕生するのだよ。てなわけでマルチ。
いやいや、いきなりマルチは難しいから、取りあえず日本人としては「コロ助」の制作を
目指していただきたい。まずはそれからナリよ。コロッケ。