普段シスプリシスプリと騒いでいる私だが、実はゲーム版には全然興味が
なかったりしてみる。
原因は声優だ。
ラジオの 3分スポットでやっていた「妹からの手紙」(イメージソングCD
“my sweet twelve angels” にBONUS収録)をわくわくして聞いたもののそれ
に愕然としたからだ。いや、声優陣が駄目とかそういうことではない。
イメージと合わないというのも個人的勝手な思い込みに因るものだから
問題は無い。ではなにかというと、声と演技が付いたことによって妙に
「具現化」してしまった事にある。なんというか、わかりやすく言うと
シスタープリンセスというものが「ただのギャルゲーと化してしまった」
というか。それだけこのコンテンツには強烈かつ強い個性を感じていたと
いうことなんだけど。
でまあ、ゲームが発売されてもそれを買わずにいたわけで。
同じ日に発売されたPS2の「パイロットになろう2」を買ってセスナ機で
大空を飛び回っていた次第。
しかし、WEBを徘徊して各所で撃沈されている戦友達の姿を見ていると
やはり気になってくるもので。う〜ん、これはやはりネタとしてもやって
おかねばならないか?とか思うと共に周囲からの期待の声などに後押しされ
結局購入…。
イメージアルバムCDをリピートで聞きまくっていたからボイスにも慣れたと
いうのも理由だったり。
「飛行機で大空を飛び回るのは男の子の夢だけど、12人の妹に慕われるのも
男の子の夢だよね!!」
はいは〜い、あなたのにいさまはここですよ〜☆(←ノリノリやん)
で、ちょっとだけプレイ。
ぐわははは、可憐が花穂が衛が咲耶が雛子が鞠絵が白雪が鈴凛が千影が
春歌が四葉が亞里亞が〜〜〜!!!
んが、なんか奥歯にもやしが挟まったような感覚を受ける。
…
……
………
ああ、そうか。問題は二点。
一点は「妹達の横の繋がり」。今まで霧賀ユキさんの差し込み漫画以外に
妹達同士が会話をしている姿を見たことが無かったんだ。こいつら互いの
ことをちゃんと知っていたんだなあって感じ。
(私がなんか雑誌企画であったことを見落としているだけかもしれないが)
読者投稿企画の段階では好きな妹との対一に近かったから別段必要なくて
描かれないだけなんだけど。なんとなく横の繋がりがあると世界観が違って
みえる。初期ギャルゲーのほとんどは主人公をハブとしたスター型トポロジー
で世界が構成されていたが、歴史を重ねるにつれ人間関係を複雑にした
バス型トポロジーを多用していくようになっていった。まあ、そういった
ことだ。だから、今まで気にしていなかった他の妹との衝突というのが
(裏的に)生じていくことになる。そこがなんか違う。
そしてもう一点は「主人公の声」。
今までほとんどのコンテンツでは「妹から兄への言葉」であり、兄は読者
だから明確に声を発することはなかった。(投稿はまあ別とする)
キャラクターコレクションにおいても兄への語りで書かれているが全てが
妹の一人称だ。
で、ゲームでもって初めて読者(プレイヤー)以外の形の「兄」という存在
を持つことになる。今までは自分自身が兄だったのに、ゲームではゲームの
中の兄を自分の分身とする。よするに、ゲームの中で「わあうれしいなあ」
とかかかれていてもそれはゲーム内兄が勝手に喋っている言葉で、プレイ
ヤーの心情と必ずしも合致するもので無いのである。たぶんこのゲームに
おいてゲーム内兄の心情を理解できなければ世界を受け入れることは不可能
であると思われる。
そんな全お兄ちゃんを代表するゲーム内兄であるが、かなりふにゃふにゃな
存在ではないか?個人的にはこの主人公の独り言が面白くてしょうがないぞ。
「妹と登下校するのは大変だけど嬉しいからいいか」(うろおぼえ)
その『うれしいからいいか』というのはどこから沸いてきた感情だ?
でも大多数のプレイヤー(含む私)にとってもやっぱり嬉しかったりするので
まあ良いのである。
時間が取れていないのでまださわりしかプレイ出来ていないので以下は
ファーストインプレッション。
コンテンツとしては「シスプリらしい」内容で問題無し。
というか、これはころがりまわるでしょう :-)
それ以外の部分はかなり気になったので一応指摘。
・プレイヤーフィードバックが無い
メニューを選択決定したときなどに、そこが点滅したりSEが鳴ったりといっ
たユーザーアクションのフィードバックが一切ないのでびっくり。
選択したりしたら「ぴろん♪」とか音がするのが当然でしょ〜。
・画面エフェクトが簡素だ
PSにしてはってことなんですが、画面効果的演出がえらいシンプルだと
思う。逆を返すと余計なことをしていないので軽快な進行に繋がっているの
だが。
・BGMが貧相だ
SPUのRAM領域がほとんどボイスに食われるとはいってもこれはあんまりで
はないかという気が。
ボイスはスゴイ量をもっているけど、シーン毎に音量のばらつきがあるのは
大きく減点。音量差を聞き取れないくらいに押さえて欲しかった。
プログラム的に見ると全体的に貧弱なんですが、文書の表示とスキップが
軽快でプレイに支障をきたすことはない。このことがこのゲーム最大の
長所ではないかと。また、その長所のためにその他欠点が全て許せてしま
えているのではないかと。
まあ、最もの長所はコンテンツ自体の「すごさ」であって、システムは
全てその文章とキャラとボイスで掻き消されてしまうんですが。
あとなにげに全てのシーンに口パクが付いているあたり、このへんもすごい
と思うよ。(たぶん)
製作担当会社の「スタックソフト」ってなんか聞いたことあるんだよなあ
と思って調べたら「ら〜じPONPON」「Pure MAIL」の「オーバーフロー」で
あることを思い出し膝を打つ。(オーバーフローはブランド名)
( http://www.stacksoft.co.jp/ )
会社概要を見たら過去製作作品(PC->カンシューマ移植)も結構なものじゃ
ないですか。色々な意味でなるほどと思う。
悪い意味でPCソフト的だったり、それでいてツボは押さえていてサクサク
遊べたりというあたりにつながるのかな。