Archive for the 'コンテンツ' Category

gdgd妖精s にみるコンテンツの情報フィードバック

アニメ放送開始まで全くのノーマークだった「gdgd妖精s」。
もうメチャクチャ大好きで、今期はこれ以外のアニメ視聴がほとんど停滞してしまったくらいにリピートして見返している。
放送直後から『大穴』の声が上がり、ニコニコチャンネルではホストが『大穴』タグをロックすることで大盛り上がり。今期覇権アニメと冗談で持ち上げていたら「ニコ生PLANETSスペシャル 惑星開発大賞2011 アニメ部門」で堂々の1位を受賞。一押しではないけれども、みんなが準押ししていたので1位になってしまったという微妙さがまたたまらない。
地上波放送は TokyoMX 1局、しかも深夜3時の15分番組という本当に端っこのスポット番組が注目されているのはなぜだろうか。
地上波の他はニコニコチャンネルでの配信であったが、このニコニコチャンネルと非常に相性が良かったからではないだろうか。

放送前は本当に注目度が低かった。私も一応タイトルは見かけていたけれども、15分のCGアニメで見た目も安価なCGということもありノーチェックといった具合。
最初に見始めたのは声優ファンの層らしい。TokyoMXでは「明けテレ」という明坂聡美をパーソナリティとした番組をやっており、そこの宣伝から流れてきた者、ニコニコで新番組をクロールしていてキャストの三森すずこ、明坂聡美、水原薫という名前に釣られて来た者、そういった層がまず見始めた。
で、見た者の感想は総じて「あれ?これなんだか面白いぞ?」といったものだったようだ。
見た目しょぼいCGなのに面白い。そのしょぼいCGが逆にMMD臭くて「これMMDじゃね?」という疑問が上がるのは当然のことだった。そういった疑問に対し、CG監督の菅原そうた氏が Twitter で「MMDも使っていますよ」と発言し、MMD界を中心にニコニコ動画界隈で話題となった。
私はこのタイミングで興味を持ち、2話の放送を録画予約したくち。
まあ、実際には沢山あるツールの中でモーション補佐的にMMDを使ったこともあるという感じで、実際にMMDで映像レンダリングまで行われたわけでは無い。どうも、アニメーション製作自体は XSI で行われていたっぽい。
その後、妖精達のモデルがMMD化され Windows100% に収録されたが、これはキオ氏の手によってほぼ丸ごとリファインされたものになっている。(関連記事)
なので、本編にあまりMMDは関係ないのだが、話題をかっさらうには十分なネタとタイミングであった、
興味を持って一度見てしまえば後はただ笑い転げて夢中になるのみである。

この番組、絵に描いたような低予算番組だったため当初はDVDの発売予定もあるかないかだったようだ。
そんな規模でかつ短時間で制作を回しているので、状況に応じた変化というのを出せている。
例えば、人気が出たことでOP/EDの楽曲がダウンロード配信されることになったのだが、このフルサイズOPがどう見ても後付けで無理矢理作っている。歌詞の2番と3番の曲間で『番組の宣伝もしちゃおうよ』とトークが入っているのだが、そこで『妖精が三人森の中で房子と……』と語られている。この持田房子(42)というキャラクターは3話のアフレ湖で人気を博した(?)キャラクターである。このことから、OPフル盤は少なくとも3話収録後に付け足されたものだということが読み取れる。
小規模であること、短期間であること、視聴者に異様に近い事から実際の反響を見て盛り込まれたであろうネタが結構多い。
毎回変わるEDネタもそこから来るものだろう。仕込んでおいたらみんなが気がついて笑ってくれた、ならもっと加速してやれといった雰囲気で作られている。

8話の「gdgd生放送」回では、ニコニコ動画の中でニコニコ生放送っぽいネタをやるというメタなギャグを展開しているが、このときの画面を構成しているのはニコニコチャンネルから拾ったネタであり、タグの部分に書かれている単語は全てニコニコチャンネルに実際に付いていた単語である。つまりニコニコでの視聴者が、番組内に出てきた画像を作り上げたとも言える。
この回で番組内名コメントとして取り上げられている『アルセーヌみたいな声しやがってwww』という声優ネタは、実際にニコニコ1話で流れたコメントだという説がある。実際に1話が公開されてから3日分のコメントを見てみたが残念ながらそのものは無かった(「アルセーヌ様…」というのはいくつもあった)。もしそのものがあったとしたら、ニコニコでの視聴者アクションをフィードバックして番組作成をしているということであり非常に興味深い事例となるのだが。

この様に、視聴者の反応を取り入れて短時間で反映させていくことにより一層面白くなっていくのが「gdgd妖精s」の楽しさなのではないだろうか。
アニメという枠組みではこれができる作品はそうそう無いだろう。
「けいおん!」でムギの眉毛をたくあんに見立てるというネタがフィードバックされていたが、最終話の時点だった。あれもぎりぎりの時間だったのではないだろうか。←原作1巻カバー裏マンガがネタらしい、カバー裏見ていなかったので気がついていなかった。ご指摘感謝
ユーザー側としては、こういったユーザーアクションが反映されたネタがあるととても嬉しいものである。
反面、コンテンツがハイコンテクストになってしまう問題はあるのだが、そこはバランス次第。

こういった、ユーザーのアクションやネタが番組に反映されるのが嬉しいという感覚は何に似ているんだろうと考えていた。
やはりこれは「アニメ声優ラジオ」の文脈なんだろうな。
自分のネタに対して声優が(精錬された)リアクションを取ってくれるのが楽しい声優ラジオ。それを作っている石館光太郎氏ならではな機微なのかもしれない。それを菅原そうた氏が映像的に面白く膨らませることで「gdgd妖精s」は作られているのだろう。

視聴者、制作者、配給者。その三者で距離が近く互いに情報をくるくるとやりとりできるようなコミューン形成がコンテンツを楽しくする経験の創造となっている。
一方向だったり押しつけだったりする情報の売り方は、もう過去のモノになっているのだ。



第3世代新型 Kindle 到着と日本語への期待

dsc00691.jpg
この8月末に Amazon から発売となった新型 Kindle が到着した。
Wi-Fi対応とコントラストの高い新型 eInk が売り。
dsc00694.jpg
前の世代の eInk と比較すると黒がより濃くなっているのが分かると思う。
ページ切り替えは正直そんなに変化無く感じるかなあ、意識しないほど短時間ってわけじゃないので。

以前の版である Kindle DX を持っているのに新型の Kindle を入手したのには理由がある。とある噂を入手していたからだ。
dsc00697.jpgdsc00698.jpg
日本語フォント、キターーーーー!
従来の Kindle は日本語フォントを持っていなくて、日本語の eBook を表示できなかったのである。PDF対応時にドキュメント内フォントを使ってレンダリングしてくれるようになったので、PDF表示でかろうじて日本語表示ができているといった状況であった。このことは逆に言うと日本市場向けの書籍販売はないということだったのよね。
で、新型のキンドルでは本体に日本語等の漢字圏フォントが搭載されネイティブに表示できるようになったというわけ。
日本語での書籍販売はどうだか分からないけれども、アマチュアが自作書籍を Kindle 向けの mobi 形式で作成して配布するという分には問題なく行える様にはなった。現時点では書籍管理画面のタイトルにアルファベットしか表示できていないので、書籍販売はまだまだ先かなあ。

そのへんの ePub 関連を試してみたい向きに、.epub, .mobi, .pdf の3種類の形式でデータを用意した。
手っ取り早く見てみたい人はダウンロードすると良い。

Download: moe_yosou2010.zip

中身は当Blog で正月恒例となっている「今年はこんな萌えコンテンツが来るといいな予想」をまとめたもの。適当に読み返して笑っておくれ。

Read more…



エア・ボンカレー

pic052.jpg
エア・ボンカレー、作った。

インタラクティブコンテンツの大本命、とかは書かない。
特に意味もないしとりたてて面白いわけでもない。



電子ペーパーブックの良いところ悪いところ

ブラザーが電子ペーパードキュメントビューワを発表ということで話題になっている。
良い感じのデバイスだけに「おおおっ!」とみんな盛り上がって、14万円と値段が発表されると同時にしぼんでいく姿が、いとおもしろく。
日本ではアマゾンの Kindle が売られていないので、現状電子ペーパーブックの類は iRex の iLiad を買うしかない(リンク張らないけどAmazon Japan で取り扱っているので入手は容易)。これも 6〜7万円するからどうだろうといった感じですな。

そんな様子を眺めていたら懐かしくなって部屋の奥底から引っ張りだしてみた。
dsc00865.JPG
電子ペーパービューアの第一号機、ソニーのリブリエである。発売は2004年。
こういうのは実際に所有して使いこんでみないと見えてこないところがある。というわけで、振り返ってのレビュー。ちょうど、電子本を販売する TimeBook も今年2月末で閉店、撤退したところだしね。そういうタイミング。
Read more…



おっさんホイホイはもっと評価されるべき

はてな村のニコマスクラスタは今日も賑わっているなあと眺めながらぼんやりと考えたこと。
なぜにニコマス動画は未だに作り続けられるのかといった事を考えると結構興味深くは無いだろうか。また、はてな村で盛り上がって明らかに視認できるほどのクラスタを構成しているあたりも特徴的である。
なんでだろうと考えていたら、案外ファン層の年齢が高いことが関係しているのではないかというところに至った。おっさんホイホイパワーである。

なんかごちゃごちゃ書くほどの事でもないので飛ばしぎみに。
おっさんホイホイ的要素を持つコンテンツというのが成功の鍵なんではないか。UGC(ユーザージェネレーテッドコンテンツ)の形成と成功はおっさんが握っていると提唱してみる。

1) おっさんホイホイでおっさんがコンテンツにはまる
2) おっさんの豊富な経験と積み上げられた技術力でUGCや記事を生み出す
3) 技術競争でUGC盛り上がる
4) おっさんの経済力でUGC製作のための材料売れる
5) 凄いコンテンツが投稿されているらしいとヤング見に来る
6) 俺も作ってみたいと思わせる
7) いろんな層がコンテンツの作成を始める

おおざっぱに書いたが、初音ミクや東方プロジェクトも似たような感じなんじゃないだろうか。今はヤングが盛り上げているけれども、スタート時の牽引とレベルの上昇においておっさん達が担っていたものは大きい。
ここで重要なのが、クラスタ形成の前段階で驚くほどの技術力とそこそこの資金が投入されること。この技術力の投入というのが今までUGCがもてはやされるなかであまり語られなかった様な気がする。
単に人が集まればコンテンツが湧いてくるだろうと思っている人は絶対に成功することはできない。

だから「若者向けコミュニティ」を吹聴するマーケティングはうさんくさいものを感じるのである。
いや、ヤングが中心でも良いのだ。おっさんが紛れて楽しむことができる余地を残しておいてくれれば。



コンテンツは何のために必要なのか

私的録音録画小委員会: 「ダウンロード違法化」不可避に
やっぱりというかなんというか、普通じゃない数のパブリックコメントが集まっても状況は変わらずといった具合で。
この記事を読んだ段階では「しょうがねーなー」と元からあった諦めムードの延長だったのだけれども、その次の記事
私的録音録画小委員会: 反対意見多数でも「ダウンロード違法化」のなぜ (1/2)
この内容は流石に怒っても良いよね?

「タダで入手できないから買わなくなる、というのは全くありえない」と強い調子で反論する。

でもタダだからとこれまで視聴していた人「全員が買う」とは思うなよ?
それ以上に、これまでちゃんと対価を払って買ってきた優良消費者を心底怒らせたという事も認識しておいてほしい。どれだけ増えるかの計算ではなく、どれだけ(呆れて)離れていくかといった数字の方を注目していた方が良いと思うよ。
不買運動は起こさないけれども、静かに買わなくなっていく人達がいるに違いない。

私も5年くらい前は、月に2〜3枚CDを買っていたりしたんだけれども、CCCDの騒動で業界とパッケージ流通販売の世界に嫌気がさし「呆れた、もう買わない」と 1〜2ヶ月に 1枚買うか買わないかといったペースに意識して落とした。もちろん、海賊版を利用するわけでもなく、違法コピーで聞くわけでもない。今、ポータブルオーディオに入っているのは東方プロジェクトを中心とした「レコード会社を経由しない」同人音楽CDと、初音ミクを中心としたアマチュアオリジナル楽曲、それと昔買ったCD財産。正直これで十分である。
あとは「海外資本の」インターネットラジオを(有料なのを課金している)ちょろちょろ聞ければ、国内流通のCDは1年に1枚買うか買わないかでやっていけるだろう。
ちなみにテレビも地上波は見なくなって、CSだけ見ているというのは同じ様な理由。

でも、どちらかというと今はどうでも良かったりする。
そういった、今のお金を大切に思うが余り施行した法により、未来のこれから出てきたかもしれない革新的な文化活動の発展を萎縮させ、クリエイターの卵となるべき人たちの芽をたたきつぶしたといったことの大きさを憂える。ひたすらに。

Read more…



で、あなたは何をしてくれているの?という疑問

ニコニコ動画がちょびちょびとリニューアルしているが、個人的にはニコニコニュースがふつーのBlog化しているのが一番衝撃的だったり。
これまでは業務連絡ぐらいしか書いていなかったのだけれども、外部のニコニコ動画に対する反応を反応返しする様になったらしい。
この記事からone hopで流れ弾を食らっているので多少影響があったりもするんですが。

その記事で紹介されている「クリエイター to コンシューマーな直通エコシステム」という記事に反応してみたり。
IOSYSという同人サークルがCDを自身の手でAMAZONにて販売しはじめたという事についてのお話。これ自体は賛否両論というか、きわどいバランスの上で皆静観している状態といったところ。
確かに言われてみれば、いろいろなモノをすっ飛ばしたダイレクトセルモデルであり、これこそネット時代の流通だよねという気がしなくもない。
ここ20年ほど色々変わったが、やっぱり流通が一番変わっている様に思う。
家電メーカーも直販に力をいれて、(顔色をうかがいながら)小売りの比率を下げていたりするし。
なんでもかんでも直販という訳にはいかないけれども、それぞれのメリットを生かして最も良いと思われる流通形態を利用するのが良いのではないだろうか。

で、話しは飛ぶようで繋がって居るんだけれども、旧来メディア業界に対して消費者が抱いている不満のお話。
音楽とか映画とか、テレビとか、やたらと権利者団体が強気で色々と消費者に「利用の仕方」を指導(という名の制限)したり、善良な消費者を泥棒呼ばわりしたりして対立する構造が強調されていたりする。
JASRACの様な徴収業務委託業者や私的録音録画補償金制度が毛嫌いされていたり、間に入って広告料を持って行く代理店に対して陰謀論を抱いてみたり。
でも、多くの人はコンテンツのエクスペリエンスに対して、楽しみに対して、対価を絶対払わないとまでは言ってない気がする。やっぱり好きなモノは応援したいし、対価を支払いたいと思うものだ。
問題はその対価が「正当なモノ(額)である」と認識できるかどうかなんじゃないだろうか。
つまり現在のCDやDVDがなんであの値段になっているのか理解しきれていないし、それを払ってもアーティストやクリエイターにお金が届くと思っていないから不満を述べるのである。アーティストやクリエイターに対し対価を払いたいのに、ほとんどが間に入る権利者団体が持って行ってしまう、なによお前らはと。
インターネットの普及で提供者に対しクリエイターからダイレクトに買えるようになったり、CGMで配給会社抜きの状態でコンテンツを楽しめたりする様になっているのでその「中間層」に対する疑問と不満は一層募っていく。

じゃあ、それらが無くなれば良いという論調になりがちだけれども実はそうじゃないんでは、というのが今回のお話。
つまり、いわゆる旧来メディアの権利者団体の営業不足ではないかという視点提起。
レコード会社や配給会社がクリエイターを発掘し、プロデュースし、お金をかけたからこそこのクオリティのコンテンツが供給できるのだよという状況があったとする。たぶんそれは本当のことじゃないかと思うのだけれども。
その中間層のマージンに見合うだけの賞賛を消費者から得られていますか?というあたりが疑問。そこの部分に必要性を見いだすことができれば、お金を払うことは当然の事と思ってもらえるのではないだろうか。
だから、配給会社や出資団体は「俺たちが居たから、俺たちの活躍でこのコンテンツが世に出た」とその仕事ぶりがっちり宣伝して存在をアピールするべきなんではないか。そして、それが消費者に受け入れられたとき、権利者団体に払われるお金はスムースなものになる。理解してもらえなかったとき、それは営業力不足でありお金を払うに値しない程度の仕事しかしていないと思われたということである。

やっぱりコンテンツを買う以上納得して買いたい物だし、あそこが作っているなら確実だねという安心感があれば一層良い。納得できるだけの必然性。

ダイレクトコマース主流という極端な市場になるのではなくて、いろんな物が混ざっていて適材適所で楽しくやれていてば良いんじゃないかなあ。楽しくやれない要因の一つに「著作権侵害」という言葉があったりするのですが。
つか、版権物を二次創作利用したとして問題ないので黙認されている状態を表す適切な言葉は無いものか。無断利用して、でも明確な金銭的損害はないし双方の利益になる状態なので黙認している、といった場合でも現状「著作権侵害」と言われてしまうのはちと忍びない。




You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can skip to the end and leave a response. Pinging is currently not allowed.