情報商材と同人誌

過日、縁あってこのような本(Amazon)の著者とメールを交わす機会があった。

最初はピンとこなかったのだが、色々教えて貰ううちに「情報商材」なる商品を売買する世界があるということを初めて知った。単に私がそっち方面に寡聞なだけだろうけど。
「情報商材」とは、さまざまな起業やサイドビジネスのノウハウやテクニックを記した教材であり、それを売買するビジネスを始める事が「情報起業」というらしい。
取り扱われている情報でわかりやすいのが「アフェリエイトで儲けるテク」とか「mixiで稼ぐには」とかいった方面なので、wikipedia あたりではネガティブな記述となっている様だ。
確かに、扱っているのがノウハウなので、誰かが言い始めたことをコピペして終わりとか、買ってみたら大したこと書いてありませんでした的な詐欺まがいなものも多いのだろう。

しかし、私としてはこの「情報商材」というものに対し全面否定するには至らなかった。なぜなら、その情報商材に対し「ビジネス書における同人誌」という認識を持ったからである。
書店流通の書籍にも似たようなのはいっぱいあるし、それが流通ではなく個人販売というルートになった様な物であろう。
同人誌と考えると、逆にそのメリットも見えてくる。
まず、書店流通の書籍よりも短いタイムスパンで出版できるので活きの良いノウハウがタイミングを損なわずに届ける事が可能であること。部数を絞れるので、ニッチなマーケットに対して提供ができること。そして、販売者と購入者が対面で購入できる可能性があること。(購入者は販売者に質問ができるし、販売者は購入者を人脈として活用することができる)

まあ、確かに楽して儲けたいがあまりに詐欺まがいな商品を売りつけてくる人も多いのかもしれないけれども、ジャンルがジャンル故に真剣にコンテンツを作っている人も多いのではないかと思う。
コンサルタント業とかも肩書きとか実績とかいった箔が付いているか居ないかで大体同じ様なもんじゃないかねえ。

「ビジネス書における同人誌」と見た場合、今後の発展性もマンガ同人誌に見ることができるんじゃないかねえ。
信用したまえ、オタクは先駆けにして万能であるぞ。
まず、同人誌で重要なのはジャンルだよな。今人気があるジャンルを出して、有象無象に潜り込むことで適当に売り抜けることができるパターン。逆にニッチなジャンルに対して出すと、ニッチなお客様しか付かないし部数も出ないけれども、そのジャンル定番のサークルとして定着するし常連客も付くようになる。
一番重要なのは信頼だけれども、それはある程度のレベルを保ちながらコンスタントにリリースしていけば後からついてくる。一発で当てようというのではなく、この継続していくことが重要。継続の大変さはみな知っているからそれだけで信用の土台となる。
次にキャラクター性。書いているのが人間であるから、万能というのはまず無理なわけで。沢山書いているうちに「ああ、この人はこういったキャラクターなのだ」というのが購入者側に植え付けることができれば、内容に多少の揺らぎがあってもキャラクター性で補ってもらえるし、「この人の切り口で読んでみたい」と思わせることができる。
次に可能性がありそうなのが「著名作家によるアンソロジー」じゃないかね。ひとつのお題をその筋の作家がよってたかって書き下ろすのですよ。Aさんのファンだから買ってみたけれども、Cさんのノウハウも結構いいね!とか、ちょい切り口がちがうけれどもこれがこの人のテイストなんだよな!とかで著者だけでなく購買者同士の交流も生まれるかもしれない。何より、それで著者同士や購買者の間で「コミュニティー意識」が生まれることを期待している。

まあ、好き勝手書いているけれども、既存の書籍は存在し続けるとして、ネット媒介や同人コンテンツがより強まって広がっていくであろうという見識を持ち続けているからこんな感じになってしまうということで。

実のところ色々試してはいるけれども、技術書の類もそういった同人誌化していくんじゃないかとは思うのよね。電子工作書とか CQ出版の寡占状態だけれども、そこに乗らないようなお題とかで色々展開できそうな気がしている。
ゲームプログラミングやドット画という職人技を伝えていくとかそういった方面でも。
—–




You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can skip to the end and leave a response. Pinging is currently not allowed.

Leave a Reply