ハイパーリンクとオンデマンド

相変わらず WEB2.0 という単語が飛び交っている。
おそらく皆それがバズワードであるとわかっていても、理想郷に名を付けるために適当なのでそう呼び続け、夢を重ねているに違いない。
実のところ、Blog や WEB日記ひとつとっても、アメリカあたりでの出生と使われ方は日本のそれと異なって見えるので WEB2.0 についても同じ目線で論議できないのではないかと思っている。Forum と掲示板も同等のシステムでありつつ使われ方が異なる様に感じるし。

日本における Blog はやっぱり「日記」なんだと思う。もちろん自分の思考を記す「エッセイ」や、情報メモとしての「コラム」も多いけれども、大多数は「面白い物見付けたよ日記」なんではないだろうか。
ただ、面白かったと記すだけでは自己満足で終わるし、読者からの反応も得られない。だから「こんなの見つけたよ面白かったから見て見て日記」というのがより正確かもしれない。その面白かった物を読者にも見て貰うために記述者は「リンク」を張る(写真の時もあるけど)。リンクを張っておけばそれそのもにすぐ飛んでいって見て貰えるからだ。
ネット上で見つけた面白いコンテンツや、記事、自分が買った商品に関しての日記を付ける。それを見た人が、さらに反応し広がっていく。そんな現象を捉えて CGM とか名前をつけたらしいね。

最近はかなりの数の企業が WEB 上に情報を公開し、ほとんどの商品についての情報へとアクセスできるようになっている。
出版業界や音楽業界はこの手の情報提供に対し割と絶望的なぐらいに疎いけれども、幸いにも Amazon 等の販売店が有効なデータベースとなり、その商品情報を指し示すポインタがかろうじて存在していると言えよう。
日記からはこれらカタログにリンクを張って紹介したり、感想を述べたりすることができたりする。読者側は何時それを読むのかわからないので、オンデマンドで何時でも参照できる必要がある。
ここで重要なのはリンク先がいつでも参照できるという事である。

そういった「面白かったよ日記」の枠組みに入り込めないのが既存のメディアである。
テレビを見ていて、このシーンが面白かった、この CM が面白かった、このアニメの ED がすげえ、そう思ってもリンクを張って見られるわけではない。
そういった日記からのリンク先として非常に都合がよかったのが “You Tube” だったのである。面白かった映像をそこだけクリップして置いておき、そこに日記からリンクを張る「この映像が面白かったから見て見て」と。日本からのアクセスの大半はそういったリンクのクリックではないだろうか。
だから、Yahoo! や Gyao ががんばっても You Tube には勝てないのである。目的が違うのだから。同じ所を目指すのならばリンクで飛ぶだけでコンテンツの「ここからここまでだけを再生」というオプションを付ける必要があるだろう。もっとも、そんなことをしたら CM を挟むという収益モデルから外れるのでできないだろうけどね。

つまりだ、あらゆるコンテンツがパーマネントでオンデマンドでいつでもアクセス可能であれば存在はひとつで十分なのだ。後は周辺から必要に応じてリンクを張れば良い。
エンドユーザーレベルでの制作コンテンツに置いては、実際に現実となっているものも多いし、テキストベースの情報は娯楽(小説とか)を除いてほとんどのものにアクセスできるようになりつつある。
それ以外のコンテンツもそうなっていくべきなのだろうと思うし、変化を止めることはできないだろう。
今その流れに対しブレーキをかけようとしている人たちがまだまだ多い。理由は簡単だ、そうなったときに「儲ける方法」がわからないからである。
新しい物に対して従来の商習慣が通用しないのは当然のことだろう。しかし、だからといって旧体制の商習慣を強制し、それを当然として儲けを巻き上げること「だけ」に腐心している姿には疑問を感じざるを得ない。

Project Xanadu が目指す世界は近いようで遠いのかもしれない。
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