魔法少女はいつから戦う存在になったのか

仲間とエロマンガやエロアニメについて語っていたときのネタより。故に出てくるタイトルがそういった方面に傾倒しているのはご容赦。

そもそもで私らには触手属性が無く、世の触手スキーのパワーに圧倒される事が多い。なんで奴らはあんなに触手が好きなんだ、というのが度々話題に上るのだが明確な結論は出ていない。そんだけ好きなのは原体験に因るところがあるのではないかと歴史をひもとくのだけれども、あんまり良くはわからない。
魔法少女が敗北を喫して触手に襲われる、というのが良くあるシチュエーションなのだけれどもこの魔法少女はいったいどこから出てきたのだ?というのが今回のお話だったりする。

魔法少女と触手の組み合わせというのは『エロゲー』というよりもうちょっと性描写が過激でそれメインなどっちかというと『抜きゲー』の方に多いと思っているのだけれども、美少女と触手という『ファンタジー』はそういったエロ系統の方が本流だというのには異論がないところだろう。
触手責めの原点は葛飾北斎あたりまでさかのぼるというのは行き過ぎなので置いておくとして、マンガでいつあたりから定着してきたのかというとだいたい、ちみもりお作品あたりまでさかのぼれる様な気がする。これが 1983年あたり。その後その触手責めの流れをアニメに持ち込んだのが 1984年の「SF超次元伝説ラル」あたりか。まあこれは18禁作品なので置いておくと、1985年の「戦え!イクサー1」「ドリームハンター麗夢」「コールミートゥナイト」あたりで定着したものと思われる。ドリームハンター麗夢も18禁作品だけれども、一般向けもあったから良しとしておこう。アメリカあたりで『HENTAIアニメ=触手責め=日本人スゲー』な構図が作られたのはアニメ版「うろつき童子」のせいだろうけど、これは1987年だねえ。

1985年に戻ると、このころは OVAブームという奴で「幻夢戦記レダ」以降『女の子が異世界で戦う』というシチュエーションがわんさと出てきていた時代。この辺を境に大きなお友達向けに『女の子が戦うアニメ』というがフツーになってきた。それ以前は本当になかったし、TVで子供向けにそういうアニメが出てくるのは 1991年の「美少女戦士セーラームーン」までほとんど存在しなかった。
80年代というとピエロの魔法少女物な時代なのだよね。戦ったりするのはかなり斬新な方向だった、だから「トップをねらえ!」もそういう文脈あってこその作品だったし。
今でこそ「一騎当千」みたいに現代劇で女の子同士が殴り合っている作品なんてのが普通にあるけれども、昔は女の子が肉弾戦を行う作品なんてのは想像できないものであった。そういった範疇で戦うというシチュエーションを盛り込むためにはリアルでない舞台設定が必要だったのだと考える。つまり『異世界ファンタジー』『SF、異星系』ちょいと譲って『対魔物』。
セーラームーンは『変身ヒロイン物』であって魔法少女じゃないけれども、アニメとしては秀逸で 80年代前半の変身魔法少女アニメの変身シーンを演出として取り入れている。ここで『変身ヒロイン』と『魔法少女』の境界が曖昧になったのではないだろうか。
そして変身ヒロイン物の大流行と粗製濫造をへて、90年代中盤の「魔法少女プリティーサミー」や「カードキャプターさくら」へと逆輸入され魔法少女がだんだんと戦い始める。

ちょいと離れるけれども、80年代前半の美少女漫画界隈には割と普通に『エログロ』が存在していたんじゃないかなあと、今から振り返ると思う。この場合の『エログロ』は最近で言うところの『either エロ or グロ』じゃなくて『both エロ and グロ』な表現というか嗜好のこと。
1985年以降になるとグロ要素はとたんに薄まりマイナー化していく。グロが忌避されたというのもあるとは思うけれども、主要因はメジャー化して層が広く厚くなっていったからじゃないかなあ。今でも強くそういったジャンルが好きな人は1980年代前半に痛烈な影響を受けた高齢層になりつつあるんじゃなかろうか。
人道的な理由もあって直接的なエログロは鳴りを潜めていくのだけれども、でもやっぱりそういった方面のファンタジーを好きな層というのは一定数いて、そういった層にも受け入れられる『ソフトグロ』が触手責めという表現なんじゃないかという説も考えられる。
まあもっとも、昨今は肉体的な攻撃よりも精神的な攻撃の方を嫌がる傾向が強くてファンタジー内での暴力という形も肉体的な物から精神的な物へと変化しているのだろう。『陵辱』という単語が好まれるのはそんなあたりからじゃないだろうか。

戻って。
カードキャプターさくらも戦ってはいたけれども最近の『戦う魔法少女』とはちょいと違っている。だけれども、ここに至るまでに必要な素材はだいたいそろいつつあって、それを混ぜ込んでひとつにしたキッカケがさくらのオマージュである「まじかるカナン」であった。一番最初のゲームのほうね、1998年作品。魔法少女(?)同士が魔の力で戦ったり、人を操って攻撃させたり。触手系はその次あたりからの発展形(魔法少女アイとか、2001年作品)で王道になっていったんじゃないかと思う。
で、今回は触手の話じゃないので『戦う魔法少女』にシフトするけれども「魔法少女リリカルなのは」の様な熱血格闘魔法少女物が現代のスタンダードになったキッカケは何かと問われたら私としては『成恵の世界』の劇中劇である『魔砲少女四号ちゃん』なんじゃないかなと思う。2000年のことだね。

以降は最近の作品なので省略するとして、魔法少女は『戦い』『捕らわれ』『緊縛、拘束され』たりするのが割と当たり前というか王道になっていった。
もちろんそれらは王道というかテンプレートであって、属性に昇華したようなものだからどっちかというとひとつのジャンルやお決まりのパターンになったといった感じだろうか。
「魔法少女リリカルなのは」などはそういった魔法少女物を下敷きに、作品としての完成度を別なところにもっているため賞賛されている。テンプレートだけではツンデレと同じにネタ程度にしかならないだろう。

そんな系譜がありつつ 2011年には「魔法少女まどか☆マギカ」がスタートするわけだが、少女達が得物を持っていたり「血だまりスケッチ」と揶揄されたりしてもまったく違和感を感じないのは過去のそうした流れの先端にあるからではないか。
この作品が10年代の『魔法少女』を見せてくれることを期待している。




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