世界の料理ショー

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「世界の料理ショー」(原題 THE GALLOPING GOURMET)というTV番組をご存じだろうか。
1970年前後にカナダで作成され、日本では74年から70年代後半にかけて放送されていた、料理エンタティメント番組である。
私は子供の頃この番組が大好きだったのだが、先日奇跡のDVD-BOX発売とあいまった。もちろん予約して購入したのだけれども、買ってしまうといつでも見られるという安心感から逆にほったらかしになってしまうものでようやく再生してみたのだった(苦笑)。

番組の内容はというと、料理研究家のグラハム・カーが(今聞くと結構辛い)70年代ジョークを飛ばしながら手際よくしかしながらおおざっぱな感じで、アレンジされた世界各国の郷土料理を作って行くというもの。ジョークと料理が一つになっているというのは当時大変珍しいスタイルだった。観客を笑わせながらもグラハムの手でどんどんと作られていくごちそうにTVの前でワクワクしながら魅入っていたものだ。
当時の料理番組でこの「世界の料理ショー」にあって、日本の料理番組になかったものは何かと言うとそれは「食事の時間」だ。
番組の最後でグラハムは、作られた本当にうまそうな料理を、実においしそうに食べる。そして、その姿をうらやましそうに見つめる観客の顔がカットインされるのだ。この「うあーおいしそう」という瞬間が実に重要で、かつ堪らない演出だったのですよ。最後の締めに、グラハムは観客の中から任意の一人を招待して料理を振る舞うというのが番組の流れになっているのだけれども、それで選ばれた人達がまた嬉しそうで、料理をほおばる姿も見ていて楽しい。
(ちなみに、最近の「きょうの料理」では試食のシーンが入っていたりする)

しかし、子供心に「おおざっぱに作っているなあ」と思っていたものだけれども、今見返してみると本気でおおざっぱなのに改めてびっくりする。でもできあがった料理のなんと美味しそうなことよ。
それと「高カロリー料理」と揶揄されているけど、本当にびっくりするくらい溶かしバターを使いまくる。でもそれがきっとおいしさに繋がっている要素でもあるんだろうな。時代を反映しているとも言えるかもしれないけれども。今のグラハム・カーは、そのへんを反省して健康的な食事の研究と活動を続け、高く評価されているらしい。
数年前、ふと「世界の料理ショー」のことを思い出してWEBを巡っているときにグラハム・カーのサイトにたどり着き今でも料理研究をしていることを知って安心したもんだ。

モノを作るというのはそれだけでエンタテイメントになり得る行為である。
おもしろおかしく見せながらモノがどんどんできていくという番組において「ボブロスの絵画教室」と「世界の料理ショー」は偉大な金字塔なのではないかと思う。

[追記]
「できるかな」も忘れちゃいけないね!




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