Archive for the 'ネットコンテンツ' Category

ニコニコ動画との出逢いを教えて下さい

ザ・インタビューズに質問が来ていたので返答を書いたのだけれども、どうやら絨毯爆撃なテンプレインタビューだった様なのでBlogにも掲載。
ちょっと気合い入れて書いてしまいもったいないので。

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お話としてはずずずーーっと遡って 2003/08/23 の事になります。
「ふぁふぁファクトリー」というアニメレビューをメインとしたサイトを日記のようにやっていたのですが、そこと「Linux萌え萌え大作戦」というLinux系開発サイトの間で “VirtualSynchroChat” というWEBチャットページを開発し公開していました。
アニメ視聴の際に実況チャットをすると楽しいというのはパソコン通信時代からの定番であり、その楽しさをとてもよく知っていました。ですが、深夜アニメが主流になっていくに伴って実況チャットがやりずらい状況となっていきます。まず第一に、地方局では放送の日時が異なります。第二に、レコーダーに録画してみるタイムシフト視聴が当たり前になってきたこと。この二点から実況チャットがやりづらい状況であることを問題視していました。
そこで “VirtualSynchroChat” という時間軸をずらせるチャットルームを作成しました。
アニメが始まるタイミングでポンとスタートを押すと、以後時間が経つごとにログが表示されます。自分が発言をするとスタートボタンを押してから何秒の地点での発言かというのを時刻付きでログに記録し、それ以降の人が同様にチャットを始めるとコメントが発言時間に表れるというものです。このようにみんなで時間差でコメントを重ねていくことであたかもリアルタイムで実況をしている様な状況が作り出せるのです。
感の良い人はもうお気づきですね。「ニコニコDVD」とほぼ同じシステムです。

インターネットの発達で、情報の蓄積ができるようになった、距離を超越することができるようになった。じゃあ今度はサーバーへの蓄積に因る『時間の超越』が行われる時代だろうと当時は考えていたのです。
流石に私の様な名も無い人間がインターネットの端っこでひっそりと公開していたサービスなど日の目をみるわけがなく、VirtualSynchroChat は2004年末以降特にメンテナンスをすることもなく埋もれていきました。
しかし、VirtualSynchroChat のアイディアや疑似タイムシフトによるエモーションの同期という時代は絶対やってくると確信だけはし続けていました。

2006年12月末、当時はまだ2ちゃんねる管理人として名が通っていたひろゆき氏が自身のブログで「このサイトちょっと面白いんだけれども」という大胆なステマを行い話題となりました。「ニコニコ動画(仮)」が初めて世間の目に触れた瞬間です。
当時は Youtube にコメントを重ねるというシステムでしたが、VirtualSynchroChat 開発者として何をやりたいかはすぐに理解ができました。そして、同期のためのタイムラインソースを Youtube から持ってくるというアイディアに感服し凄く悔しい思いもしました。そしてこれは絶対に面白いぞと目をつけます。
ですが私もひねくれ者ですので、自分が成せなかった事を成功させたニコニコ動画に軽く嫉妬してしばらくは寄りつきませんでした(笑)。
そうこうしているうちに流行に敏感なサイトの人たちの間でニコニコ動画が定着していきます。2007年2月あたりになると「レッツゴー!陰陽師」と「テニミュ」がヒットコンテンツとして確立していました。あまりにも盛り上がっているので「そんなに話題ならみてみるかな」とそれら話題のコンテンツをニコニコ動画で視聴したのが実質初めての体験です。
そのとき初めてみた「弾幕」にいたく感心し、エモーショナルの時間軸共有というものがどれだけ面白いかを再認識しました。

さてそうこうしているうちにニコニコ動画が Youtube から閉め出され、smilevideo を自前で立ち上げます。
ここでようやく日本の投稿動画サイトが誕生します。
全然関係がないのですが、このとき私は「コメを噛め」という電子工作ブログの方で半田付け実演ビデオというものを作成していました。電子工作を再開して色々わかったのですが、最近は半田付けのしかたを知らない人も多かったのです。そこで、入門者に『半田付けはこうやるんだよ』ということを知ってもらううまい方法としてショートビデオが使えないかと考えての事です。
まあ自分のブログに張る事はできたので目的は達成できたのですが、じゃあこのような自作解説ビデオのようなものを投稿できるベストな場所は無いかと探し始めました。権利的に問題の無い自作ビデオを久々に手にしたので、その頃いくつか立ち上がり始めていた Youtube 後追いの動画投稿サイトを試してやろうと思いついたのですね。
結果、ニコニコ動画以外はあり得ませんでした。
まあ、パナソニックやソニーのビデオカメラCMを見てるとわかるのですが、通常個人が撮影するものは家族のビデオだったり友達同士で撮影するといった『仲間内の記念撮影』であると定義されちゃっているのですね。それが有象無象の動画投稿サイトでも同じだったというと伝わるでしょうか。自分が取った身内の動画を、ネットで知り合いに見せるといったユースケースで閉じてしまっている。
私が目指すのはそこじゃ無かった。エンタテイメントコンテンツを自作して不特定多数に見てもらいたかった。
それに適した『場』がニコニコ動画しかなかったのです。

こうして投稿した初めての動画が
「スクロールクロックキットの作成」 (https://www.nicovideo.jp/watch/sm65811)
になります。
前述の通り、この動画は前もって自分のブログ「コメを噛め」で公開していたものの転載となります。

こうしてニコニコ動画に初投稿をしたわけですが、同時に一つ大きな野望を持っていました。
ニコニコ動画、ひいてはすべての動画投稿サイトが成功するのに一つ必要な条件がありました。それはテレビや映画からの不正転載ではないオリジナルな動画コンテンツを必要としているところにつきます。当時はニコニコ動画も Youtube もほとんど既存メディアの不正転載ばっかりでみなそれをお目当てにアクセスしているという状況でした。
Youtube はまだホームビデオが良く投稿されていたので新しいメディアの形を見せていましたが「日本人は顔出ししたがらないので動画投稿は成功しないだろう」というのが当時の定説となっていました。
かつて VirtualSynchroChat を思いついた身としてニコニコ動画はイケると思っていたというのは書きましたがそれ故思い入れもあります。このサイトが大成し、健全かつ新しいメディアの道を歩むためにはアマチュアが自主製作したコンテンツが必要であり、それが評価されるようにならなくてはいけない。そう考えていました。
そこで「動画投稿サイトにおいて素人の自作動画は受け入れられるのか」を自身の手で検証していこうと、権利的に問題のない自作動画を作って投稿を始めることになります。まあ、当時でも『描いてみた』は人気のジャンルだったのですが、そこは踏み込めないので自分の得意な分野でオリジナルな面白い動画を作れないかと日々考えを巡らせていたといった案配です。

後は大体ごらんの通りというか、なるようになっていきました。
今でこそ、ボカロオリジナル曲や動画、ニコニコ技術部動画などそこでしか見れない自作動画が沢山投稿され、当たり前の様に皆でそれを評価していますが、これこそまさにあの頃夢見ていた光景だったのだと思います。

ニコニコ動画上で「不在通知P」というP名をもらいある程度認知されたところでブログを書いたところ、ドワンゴの戀塚さんに「不在通知Pって VirtualSynchroChat の作者だったのか」というコメントをもらいました。
ああ、ニコニコ動画スタッフはあれを知っていてくれたのか、とちょっぴり幸せな気分になった次第です。

過去の関連記事: https://www.fumi2kick.com/rrtalk/archives/953



コンテクストレベルとテキストのあり方

THE INTERVIEWS というソーシャルっぽいテキストSNSサイトが話題になっていた。
誰かからの質問に答えてその回答をテキストと1枚の画像で表現するという情報ロギングタイプのサイト。特徴としては応答者を知っている誰かからの質問のみで構成されているところと、誰が質問したかは絶対に明かされないところ。これによって質問者は相手が著名人であっても気軽に質問することができるし、応答者にとっては質問に答えるという心地よいアクションのみを得ることができるという仕掛けらしい。

最初にそのサイトを知ったのは2011年9月に入ってすぐの事だったと思う。Twitter上で質問に答えたよとか質問をくださいとかいったtweetが散見されるようになってきた。
主にネタ系クラスタが最初に飛びついて使っていて、(知らない人から見たら中傷にしか見えないような)ボケた質問とそれをうまく受け流すとぼけた回答をしているというのがそれなりに楽しそうに見えたのである。
このネタクラスタの使い方、遊び方を最初に見てしまったのが私の中でのTHE INTERVIEWS評に繋がっているのである。
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第3世代新型 Kindle 到着と日本語への期待

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この8月末に Amazon から発売となった新型 Kindle が到着した。
Wi-Fi対応とコントラストの高い新型 eInk が売り。
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前の世代の eInk と比較すると黒がより濃くなっているのが分かると思う。
ページ切り替えは正直そんなに変化無く感じるかなあ、意識しないほど短時間ってわけじゃないので。

以前の版である Kindle DX を持っているのに新型の Kindle を入手したのには理由がある。とある噂を入手していたからだ。
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日本語フォント、キターーーーー!
従来の Kindle は日本語フォントを持っていなくて、日本語の eBook を表示できなかったのである。PDF対応時にドキュメント内フォントを使ってレンダリングしてくれるようになったので、PDF表示でかろうじて日本語表示ができているといった状況であった。このことは逆に言うと日本市場向けの書籍販売はないということだったのよね。
で、新型のキンドルでは本体に日本語等の漢字圏フォントが搭載されネイティブに表示できるようになったというわけ。
日本語での書籍販売はどうだか分からないけれども、アマチュアが自作書籍を Kindle 向けの mobi 形式で作成して配布するという分には問題なく行える様にはなった。現時点では書籍管理画面のタイトルにアルファベットしか表示できていないので、書籍販売はまだまだ先かなあ。

そのへんの ePub 関連を試してみたい向きに、.epub, .mobi, .pdf の3種類の形式でデータを用意した。
手っ取り早く見てみたい人はダウンロードすると良い。

Download: moe_yosou2010.zip

中身は当Blog で正月恒例となっている「今年はこんな萌えコンテンツが来るといいな予想」をまとめたもの。適当に読み返して笑っておくれ。

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「たら@ばと」Twitterスクリーンネームバトル

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Twitter用のBot作成がわかってきたので、それを応用したBotサービス「たら@ばと」を作ってみた。
ちょいとした思いつき。

「たら@ばと」は、Twitter上でツイートするだけでエントリーできるスクリーンネームバトルゲーム。
エントリー募集時にエントリーしてきたTwitterアカウントをRPGのバトルっぽくバトルロイヤルで戦わせるというもの。
おまけ要素として、相手を倒したときの台詞をカスタマイズできる機能と勝った回数を数えておく機能がある。

お気軽なものなので適当に遊んでみてほしい。
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ニコニコ動画(9)だそうで

「9」といえばやっぱり「ジャンボーグ9」だよね!(挨拶

ニコニコ動画が(9)にバージョンアップだそうで。おつかれさまです。
なんとなく流そうかと思ったのだけれども、「ニコニコ技術部」のカテゴリタグ化というのが個人的に大きかったので取り上げておきます。ばんざーい。
理系的、技術的なネタで面白い動画が作れないかと手探りでやってきて2年半、ついに1つのジャンルにまでなりました。これも優秀な人たちががんがんと投稿してくれたおかげです。
参考過去記事> 「たまには振り返ってみようか」
ちょいと意外だったのは『つくってみた』ではなくて『ニコニコ技術部』だったこと。これでなんとなく、手芸・工作系もニコニコ技術部というのが暗黙のうちに構成された気がする。逆に「この程度のレベルでは『ニコニコ技術部』のタグはふさわしくない」という悪しきレッテル張りも行えなくなったのではないだろうか。カテゴリタグは分類であって称号じゃないからね。

ところで、今回の新機能で『任意のサイトに外部プレイヤーが張れる』というのがあって、これが地味に大きな改革だと思うのだけれども誰も全然触れないねー。

新しい動画ではないけれども、試し張りしてみる。

これまでニコニコ動画とYoutubeを大きく分断していた物に「ログインしないと視聴できない」というのがあったと思っている。
ニコニコ動画はIDを取得してニコニコ動画という場に入り込んで楽しむ必要があった。この行為がコミュニティを構成しやすい空気を作っていたのだが、逆にアンチに対しては「IDを作らないから見れない(見てやらない)」という理由を与えてもいた。
Youtubeはよっぽどのお目当てジャンルがないと検索という行動以外で動画発掘を行うのが難しく、コミュニティを構成するのもやりにくい環境だと思っている。それでも利用されている大きな理由が、外部プレイヤー貼り付けで外に持ち出せるからなのではないか。ブログや情報サイトに貼り付けられた動画で視聴されるというパスがどれくらいの再生数を生んでいることだろうか。
まあ、ニコニコ動画も特定のブログで外部プレイヤーが利用できていたのだけれども、その制限が無くなったことでYoutubeとおなじく動画の置き場所として利用し自分のサイトにプレイヤーをはって直接動画を見せる、といった流れがいっそうやりやすくなった。
そういった動画だけを外に持ち出す事ができるという流れは、みんなで広場に集まってくねくねするといったコミュニティ指向から、面白い動画自体へのコンテンツ指向への変化を起こすかもしれない。ひょっとして誰も利用せずに変化しないかもしれない。
でも、ニコニコ村内部で盛り上がっているという状況だけではなく、面白い動画を外に持っていくことができるというパスを用意したことは後々効いてくる様な気がする。
ところでこれ、国外のページでも外部プレイヤーが使えるのかな?使えると他国で「日本の面白い動画紹介サイト」というのができてガンガン紹介されたりするかもしれない。



ニコニコポイントとニコニコメダルゲーム

なんとなくポイントを買ってメダルゲームをだらだらと遊んでみたり。
どのゲームも初回開いたときにお試しメダルをもらえるのでニコニコポイントを持っていなくても一巡遊んで廻る事ができるなりよ。ギャンブル系が一通り苦手な私はメダルゲームもあまりやらないのだけれども、唯一ビンゴだけはなんとなく好きでだらだらと遊んでしまうジャンル。ニコメダのビンゴは割と遊べるかも。色と役が今ひとつ余計な要素な気もするけど。
「アリスの危険な冒険」はRPG風だけれども、先に進むのにメダルが必要で、途中の駆け引きや変化がほとんど無いので結局面最後の宝箱開け部分がクジになっているだけなんだよな。遊ぶのにメダルがガンガン減らさないといけないというのがわかっているので、ゲーム要素が無い。
取り敢えずビンゴがあればいーや。

PS3のアップデートでFlashPlayer9相当になりニコニコ動画が見れるようになったと話題騒然。
実はニコニコメダルゲームも普通にPS3で遊べたりする。もちろんフロートウィンドウではないので、ながらゲームはできないけれども。PS3でニコニコメダルゲーム、って売りにならんもんかね。ならんか。
Flashのゲームなら遊べるということで “Tower Defence” とか遊べちゃったらどうしようとアクセスしてみたけれども、動作が重すぎてタイトルが出るまでがまんできませんでした。ぽっくん。

ちなみに “Ai Sp@ce” は入国整理番号7万番台なので、制限解除待ち。



動画共有サービスの今後に期待すること

ぶっちゃけ、ニコニコ動画が「才能の無駄遣い場」の次に目指すべきところ。

キャラクター抱き枕で痛いデビュー(褒)をし、現在はCQ出版の雑誌付録基盤を脇道に逸れながら試している御仁がいる。


やっていることは電源をつないで動作を確認しているだけと、まったくもって大したことではないのだけれどもダメネタと交互に持ってくるあたりでついつい最後までみてしまう。
毎回みているうちに、これはこれで必要なんではないかと思える様になってきた次第。いままでマイコン工作をまったくやったことがない人にとっては、同じスキルのうpによる体当たり実践動画というのは貴重なチュートリアルとなり得るのではないか。
正直、私の目から見たらぬるい事しかやっていないのだけれども、それはそれでよい。世の中いろんなスキルの人がいる。その人たち全員を魅了するコンテンツなんてのは実質存在しないものだ。
そういったスキルレベルを認識した上で、同じレベルもしくは一つ下のレベルの人に向けたコンテンツというのはちゃんと存在意義がある。作るほうも見る方もそれをわかった上で適したコンテンツを介せば幸せになれることだろう。
「才能の無駄遣い」は見ていて楽しいが、自分でそれをやろうというのはかなーり大変な物である。

以前の記事でスローアーティクルという言葉を使った事がある。未来の誰かの役に立つだろうといった事を目的としたがつがつしないブログの書き方についての提案だった。
ニコニコ動画ではどうだろう。ランキングや新着に振り回されない、スローコンテンツ。目を見張るような視聴数ではないけれども、公開から半年たった後も毎日視聴数が伸びていくような動画というのはそれはそれで素敵ではないだろうか。
では未来に対して動画として残せる物はなんだろう。
それは「経験と知識の共有」ではないかと私は考えている。

「作ってみた」系で意外に面白いのが、やってみたけれども失敗したという動画である。
人が失敗する様というのはなかなか見られるもんじゃないから、ついつい笑ってもしまうし突っ込みたくもなる。そういった動画にはアドバイスがコメントされることも多く、コメントが参考になることも多い。
そして失敗にいたった経験を、実践していない人も共有することになる。
これってちょっとすごいことじゃない?
だからブームになることはないだろうけれども、経験と知識を共有するような動画の投稿が地味に定着して欲しいと思う。ありとあらゆる経験談があつまったとき、将来的にそれで助かる人がどれくらい現れるか。そういった世界を動画共有サービスに託したい。

今までそれが語れなかったのは「(YouTubeも含め)このサービスいつまで続くんだろう」といった不安を持っていたからだったりする。なので、今後できるだけ長くサービスを続けてください、といった要望も含む。
既に、コンテンツの移管なく簡単にサービス終了できるような状態では無くなっていると思う。ここにしかない貴重なコンテンツが無数にあるのだから。

1999年あたりのWEBサイトは既に無くなっているものも多かったりして、情報の維持というのは案外大変かつ考えないとならないものだったりする。書籍などの紙メディアはいくら残るといっても、後から新規に手に入れるのは困難で、そういった面ではWEBの方が優れていたりといろいろ難しい。



勉強になるのはニコニコブックマークの方とする説

最近はニコニコ動画の一挙手一投足が注目されて連日ニュースサイトを賑わせている次第。なんというか、ニコニコ動画は成功したサービスであり勝者であるとされている。
そして、お金の臭いがするとばかりにビジネスマンが群がって来ているあたりに妙なむず痒さを感じてみたり。
ユーザーコラボレーションは初音ミクだけじゃないんだよ?愛犬『てつ』とかチーターマンとかもすごいんだよ?とか言ってみる。(フタエはちと面白さがわかんない)

ニコニコ動画がどうして成功したかなんてのは実は分析してもなんにも役にたたないんじゃないかと思っている。なんでかというと、ほとんどがユーザーサイドの側にある都合で、運営の努力が結実したものではないと考えているからだ。
むしろ全く同じ思想と手順でサービスを行い失敗したニコニコブックマークを分析することの方が勉強になるのではないかといったことを提案したい。
私がニワンゴすげえと思ったのは、他でもないニコニコブックマークをあっさりと止めてしまったところにある。ああ、ここは本当に決断と行動が早い所なのだなとしみじみ感じた。

ニコニコブックマークは世間にあるWEBページに任意のコメントを付けることのできるサービスであった。このこと自体ははてなブックマークのコメントと同じ様なものだからうまくいきそうな気もする。
だが、WEBページに付箋紙のようなコメントを付けても感想を述べている感には乏しく、ページに落書きをしているもしくはされている様な気分にしかならなかったのが直接的な失敗の理由だろう。
(はてブのメタコンテンツを「陰口の場だ」と怒る人も居りますが)

実はニコニコ動画とブックマークはコンセプトが同じだったりする。WEB上(YouTubeとか)にある動画にコメントを付けられることから始まったニコニコ動画。WEB上にある記事にコメントを付けられるニコニコブックマーク。
ニコニコ動画が幸運だったのは、コメントを付けながらの鑑賞に味をしめたユーザーが「コメントを付けるために」わざわざ動画を持ってきてニコニコを利用した事にある。なので「私の動画を勝手に利用して笑いものにしている」と怒り出す人がほとんどいなかった。
だけれども、WEBページはニコニコでコメントしてもらうために作るという余地がほとんど無かった。つまり、ネタ職人が腕を振るうことができなかったのである。
この「コメントしてもらうためにネタを作り投稿する」というスタンスが大きな差違を生むことになっていく。
しかもある意味幸運なことにニコニコ動画はYouTubeから締め出しを食ってしまい自前の動画共有サービスを作ることになってしまう。このことが一層「ニコニコでコメントしてもらうための動画を投稿」という色を濃くしたのだ。
最初からコメントされるのを意図したコンテンツなので制作者も怒りようがない。
(動画の中で勝手に絵を使われた絵描きとかは怒っていることがあるが)

そういう風に考えると重要なのはネタを提供する「職人」と、その職人を喚起するに十分な数の「視聴者」ということになる。
「提供者」「職人」「消費者」という三層構造になっていてその層の境界が限りなく曖昧であるというところがこれまでの、「生産者」「消費者」しか見えていないビジネスモデルと違うところなのだろう。
この三層については「デジモノに埋もれる日々」のCKさんが過去に語っており、そこから引用している。
ニコニコと「アイマス」と「初音ミク」 – 企業とユーザと鑑賞者の関係変化

セカンドライフも三層構造を持っているのだけれども、職人しかいなくて消費者が思ったように増えなかったのではないだろうか。いや、良く知らないのだけれども。

ニコニコ動画の成功譚よりも、ニコニコ市場の方が凄い。
あれは最初から狙ってストレートにストライクを決めている。しかも、お買い物という行為にネタで買うという要素を取り入れ、娯楽としてしまったのだ。
さらに言うと、ユーザーが買えばニワンゴにお金が入るというマネーフローがあれだけ明確なのにそれでも気にせずニコニコ市場で買い物をさせることができている。ニコニコ動画の枠を崩さず、さらにプラスとした手腕には正直感服せざるを得ない。



数は力となりうるか?

『「文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理」に関する意見募集の実施について』のパブリックコメント募集が開始されているのはご存じの通り。
これまでの経緯からネットワーク上で声を上げても駄目で、実際に人が動いて影響していかないといけないというのが見えてきている状況。
そんなのんびりしていられない状況であるということで「MIAU」が設立された、というのはニュースサイトで取り上げられていたからみんな知っていることと思う。
取り敢えずどれだけパブリックコメントを集められるかという状況なんだけれども、この問題に敏感に反応しうる集団にどうやら火の粉が飛び移ったみたいである。ニコニコ動画に集まるニコ厨のみなさまですな。直接自分たちに影響があることだからこれは良く燃え上がるよー。
MIAU の記者会見ビデオも Youtube だと 50前後の二桁しか再生されていないのに対し、ニコニコでは数千Viewを超えている状態。問題を問いかける動画は 18万View を超えているし、関連動画がどこどこ投稿され、支援コメントがじゃかすか打ち込まれている。
あの空気に乗れるのならば、ちょっと熱いお祭り騒ぎ(の前夜)といった雰囲気だねえ。

丁度「初音ミク」で激震が続いていたのに繋がってしまうかもしれん。
結果はわからないけれども、面白い事になりそうだなあ。



アマチュアが撮るものはポートレートのみなのか

インプレスのAVwatchで連載している “Electric Zooma!” で Premiere Elements 4 のレビューを読んでいて色々と違和感を感じた。
おそらくはここで挙げられている新機能や改善点および使い方などについて、私の使い方、使う目的とはまったく異なるからなんだと思う。もちろん、私自身の事を庶民中の庶民、超一般層であるとか思ってはいないので私の方がヘンだということで片付けて貰っても構わない。

思えば Photoshop Elements も 3 からは大衆指向となり色々な機能が追加されていった。んが、それが非常に余計なお世話でありだんだんと使いにくくなってしまったので Photoshop は Elements を使うのをやめてしまった。
2 までは YMCK やベクターパスを必要としない人にはお手頃な Poormans Photoshop であったのでどう使うかは使う人次第で純粋に道具として存在していたと思う。3 以降は「写真整理」が中心と据えられてしまい、ゼロから絵を描く人のクリエイティブツールには向かなくなってきたのだよな。
初心者にとって便利なように「お膳立て」を行った結果「このような目的に使いやがれ」という、提供者側が想定したユースケースができあがっちゃっているのですよ。
自分の手で何かを作ることを目的としている私にとってそういった「想定」があるのは煩わしい以外の何ものでもないのです。純粋な道具を提供してくれよぅ、となると結局プロフェッショナルツールズになってしまうといった次第。

そういった「利用の想定」で最も多くて不快なのが、「自作ビデオは顔出しのファミリーポートレートである(しかない)」という奴ですな。これは国内の動画投稿サイトの大半に見られる臭いだと思う。
私もここしばらくは色々な動画を作って投稿してきたが、そういったライフスナップは一切存在していない。あくまで自分の腕で何かを作っている動画、もしくは作った結果の動画である。自主製作映画とか自作アニメなんかもホームビデオとは異なる存在である。
そういった意味で先の Premiere Elements 4 のレビュー内にあった

米国におけるYouTubeの受け止められ方は「Broadcast Yourself」のキャッチフレーズ通り、自分を放送するメディアとして捉えているようだ。このあたりは日本とはすでに温度差が違ってきている感じがする。

の部分に異を唱えたいところである。
その温度差をどう感じるかはニコニコ動画の信者であるかどうかで変わるんじゃないかと思っている。
正直、先に書いた様な自主製作コンテンツを掲載するにふさわしい動画投稿サイトはニコニコ動画以外に存在していないと思う。色々見て回ったが、他の所にはとても投稿する気になれなかった。そして、逆にニコニコ動画ほどファミリーポートレートを投稿するに向かない場所も無い。
ニコニコ動画は今やオタクリエイターが凌ぎを削る闘いの場なのだ。(例:初音ミク)

まあ、そんなところからはちょっと離れて別の話題に。
今し方ニコニコ動画を覗いたところ総投稿動画数は 475,396本であった。内容はさておいて、この47万本の動画は何を使って作ったと思う?
そう考えると、動画編集ソフトにとってもの凄い需要市場がここにはあるのではないだろうか。
実際利用者を眺めていると「ニコニコに投稿したいので動画編集ソフトを使ってみた」という超ビギナーがゴロゴロと存在している。そういった人達が何を使っているかというとWindowsXP添付の「Windows ムービーメーカー」である。なんせ、無料で使えるわけだからね。結構良くできたMADであってもムービーメーカーを使っているとかいう人がいたりして逆にびびったりもする。
先に書いたようにニコニコ動画はネタコロシアムでもあるので、動画編集無しの投稿などほとんど考えられない状況にある。「ねこ鍋」だって大盛り、特盛りとかテロップが入っていたしある程度編集されコンテンツとして完成していたからいっそうの人気を博した。
そういった点でムービーメーカーを作成し添付し続けていたマイクロソフトは評価されて良い。

今度はそれとは逆のお話。初音ミクインパクトである。
VOCALOID2 初音ミクはある意味話題になりすぎた。本来買わないような層まで買っちゃったのである。その結果どうなったかというと「音楽って何で作れば良いのですか」である。
DTM はセミプロ以上の世界でしか生き残っていなく、それ以下ではほとんど存在を忘れられかけていた。そもそもで、PCの大衆化において音楽はなぜかリスナーとそれ向けのプレイヤーばっかりが注目され、音楽を創るという行為がさっぱり語られてこなかったと思う。
Windows においてはあれだけ山ほどの添付ソフト(あれはOSじゃないアプリの塊だ)があるのに、音楽作成や編集となると WAV編集すらままならない状態である。
なにせ初音ミクが15000円であることを「1万円以上もするソフトなんて高すぎる!」とか言っているのが普通なご時世になってしまったのである。そんな層に 3万円以上もする DAW をほいほいと勧めるわけにもいかないよなあ。
そういった事を考えると Macintosh はすげえのである。GarageBand が標準で入っている。
思えば PodCast が流行ったときも「じゃあどうやって作るの」だったのだけれども、Macintosh においては GarageBand を使えば良いだけの話だったし、ちょっとしたメニューを追加して「PodCast対応にしました」とか言っちゃってた。
Windows にも GarageBand ほどのサウンドクリエイティブツールが付いていれば、今回の初音ミクインパクトに呼応できただろうし、良質な楽曲をもっと早いスパンで沢山生み出せたかもしれない。
そもそもで、ムービーを作る事ができてなんで音楽を作ることが置いてけぼりにされているんだろう。オリジナルコンテンツは全ての要素をまんべんなく創る必要があるというに。

CGMとかご大層な用語もあるけれども、現代は様々なメディアがユーザーの手の内にあって、ある日突然コンテンツ作成供給側に回りかねない状況にあると思う。
その、不意に作成供給したいと思った芽をつぶさず伸ばすように先行者は土壌を用意しておくべきではないだろうか。




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