2008年はこんな萌え?

なんとなく2005年あたりから恒例として書きつづっている「今年はこんな萌えが来る!」。
当てる気もなく、予測でもなく、振り返ることもなくただの放談なのですが今年も行ってみましょー。

ちなみに、昨年はテンプレート化した属性から離れて、リアル化しにくい「形のない萌え」が来るよ!とか書いてあった。もちろん、このときには「初音ミク」なるヴァーチャルアイドルがブレイクするなんて思ってもいなかったのだが。

2008年に来るね!と観ているのは「萌えのポリモーフィズム」。
大昔、アニメのヒロインは一人しかいない物であった。ヒロインとそれを支持するユーザーが一対一であったのだ。これがゲーム(主にエロゲ)によって、ヒロインの複数化・パラレル化が始まり、「セーラームーン」によってマルチヒロインが定型化し現在に至る。その結果どうなったかというとオタク(ユーザー間)における好みの多様性肯定であった。
「おや、おたくは亜美ちゃんですか、私はレイちゃんなんですよ。はっはっは」と、それぞれの好みの違いやひいきなキャラの違いを認めつつ、「セーラームーン」いう大きな枠の中で楽しんでいる状態。派閥同士で争わず、もっと大きな共通項で結びついているというコミュニティ。
そういった他を認めつつ自分を主張するといったファン心理は現在まで続いていくのだが、そのなかでも「オレの嫁」合戦や信者拒否といった様に他の許容が徐々に細っているように思える。

そんな閉塞感を打破したのがこれまた「初音ミク」であった。
初音ミクはヴァーチャルな存在であり、色が付いていなかった。なおかつ商品である。このため初音ミクという存在は唯一のものではなかったのである。つまり、ユーザーである一人一人の手元にその人だけの初音ミクが存在している。
このことは、これまでの提供されていたコンテンツの様に絶対的存在を「オレの嫁」と奪い取る形ではなく、自分の手で自分が可愛いと思ったかたちでのキャラクターを作りだし、それを見せて語り合うといったコミュニケーション形態の変質をも意味する。
クラスとして継承可能なキャラクターが存在するだけで、ユーザーの形態に合わせてインスタンスが変わるポリモーフィズム。
最も極端な例で言うと「亞北ネル」や「弱音ハク」といった「初音ミク」をスーパークラスとして派生、継承し新たなクラスを作り上げたキャラクターが存在している。「弱音ハク」はさらにユーザー毎のインスタンスが存在しているため、従来の提供型キャラクターでは説明できないような世界を持っている。

ツンデレだのメイドだのテンプレートで作られたアルゴリズムだけの存在は唯一供給元としては都合が良いのだが、そういった固定されたメソッドにユーザーが合わせていく時代は終わりつつある。一人一人のユーザーに合わせたキャラクターが作り出せる様な、ポリモーフィズム・多様性が求められるのではないだろうか。
そしてそのようなポリモーフィズムをユーザー間で認め合いつつ、共有していくコミュニケーションが今年はさらに加速することであろう。




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