PSP自作アプリの斜陽とゲーム開発環境

PSP自作アプリ(英語で Homebrew)の情報や、普通にゲームの情報を掲載している海外サイトのひとつに “DCEmu PSP-News”(英語) という所がある。
そこのフォーラムに「PSP自作アプリは斜陽か?」という投稿があり、興味深く眺めていた。
かつて人気アプリを送り出したプログラマーは次々と去っているし、ファームウェア Ver3.0 がリリースされたら皆アップデートしてしまうだろう。そうしたら、PSP自作アプリという世界は忘れ去られてしまうのではないかという論調。まあ、実際最近元気は無くて細々とした楽しみになってはいるけれどもね。

最も、それは当たり前の話だと思うわけで。
インプレス AV watch でのインタビュー記事の最後の方にあるコメントが的確な纏めになっているが、PSP自作アプリを動作させるには特定のバージョンのファームウェアが必要である。そして SCE はそれを防ぐためにファームウェアをアップデートしてふたをしてしまった。
PSP自作アプリ自体ではなく、コンテンツ悪用(具体的にはUMDのコピー)を防ぐのが目的だと思われるけれども、結果として自作アプリの実行も「SCEが是が非でも禁止させたい事項」となってしまった。
単にオリジナルのソフトを作って遊びたいという行為も SCE によって「それは悪しき行為である」と定義されてしまっては、通常の善良なゲーム作家志望のプログラマは裸足で逃げ出すしかないわけである。ダメと言われた悪行(かもしれない)行為を犯してまで、アプリを作りたいわけではないのだから。
結果、残るのは最初からグレーゾーンやブラックである覚悟で挑んでいる物達のみ。エミュレーター界隈とファームウェアハック周辺となる。
健全なプログラマーは潰えたと宣言しても良いかもしれない。
そこで踏ん張って続けたとしても今度は見てくれる人遊んでくれる人が居ないという問題にぶつかっていく。自作アプリのために古いファームウェアを維持している人というのはそんなにいないものである。

ではゲームを作りたい人間はどこへ行くのか。
世間で注目されているのは XBox360 上で動くゲーム開発が行える XNA と ‘Creators Club’ プログラムである。
最初に断っておくが、私はこれに全く興味がない。
なんというか、PS2 Linux や「ゲームやろうぜ」の反省が生きていないのだろうか。確かに自作ゲームを XBox360 上で動かすこともできるが、それができるのは ‘Creators Club’ の会員のみであり、他の人が作ったアプリを動作させる事ができるのも同会員のみである。そんな高級会員制クラブで「おたくのゲーム良くできているじゃありませんか」「いえいえ、おたくもなかなか」と褒めあっても意味はないのである。見てくれる人が居ないんじゃ始まらない。
作る側はともかく、プレイヤー側はあくまで無料(もしくは安価)でないとならないのだ。
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では Microsoft の思惑はどこにあるのかというと「PC(Windows)上での配布は無償、自由」という所ではないかと思っている。XBox360 は客引き&可能性の提示であり、Microsoft 的には Windows 上で Windows のゲームを作ってもらいたいんだと思う。このあたり、OS屋というかファウンデーション屋の思惑で考えると繋がっていく。こうして「ゲームを作るなら Windows」とゲームプログラマ、およびその卵達を抱え込んで「Windowでは無い環境」においてはプログラミング「できなく」してしまうのだ。
この「Windows以外でのプログラムの仕方を知らない」というのはソフトウェア業界の若い衆を見ていると案外洒落では無くなってきている。それと同じ事をゲーム業界にも仕掛けて「他社がどんなにすぐれたハードを出してきてもその上でソフトを作る優秀なゲームプログラマが存在しない」という状況を作り出す究極の青田刈りを仕掛けているのではないかと考えている。
組み込み系開発や自社OSとライブラリ、良くて Linux という他のゲーム開発環境を一蹴するのは実に容易そうではないか。
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しかしまあ、確かにゲームコンソールに拘らなければ、Windows 上でゲームを作って Windows 用としてネットで配布するのが最も安価かつ容易で多くの人に見て貰える手段なのですな。純粋に、コンテンツ提供をしたいという考えであればそれが一番素直だ。
これからのゲーム開発スタイルというものを体感しておくためにも XNA を囓っておかないとなあ、という危機感はいくらかあったりはするけれども……。

もっとも Windows 上でヘボゲーを作っても多数の良作に埋もれてしまってあまり見て貰えないし、当たり前すぎて面白くも何ともないわけですが。と思考のループに陥っていくのでした。

ちなみに GP2X はどんな感じになっているかというと、こちらは元々ぜんぜん盛り上がっていないので相対的にじわじわと活気づいている様な気がしなくもない。国内だと片手に入るくらいしか情報がないのでなんとも言えないけれども。
そもそもゲーム機として見るとスペックが低いので、どのように使うかというあたりを割り切らないとならないあたりが難しいのではないかと思う。

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