アニオタは音楽配信をシニカルに見つめるか?

ちょいと前に勃発した「アニメ涼宮ハルヒED『ハレ晴レユカイ』をオリコン上位にしよう」ムーブメントですが、結局オリコンウィークリー 5位を果たし、その後もゆらゆらとゆっくり順位を下げアニソンの割りには 3週間 TOP20 に入っていたという健闘ぶり、だと思う。
先週分のウィークリーでは堀江由衣の「ヒカリ」(「いぬかみっ!」OPテーマ)が 5位に入り、「ひぐらしのなく頃に」が 18位に入り、「ハレ晴レユカイ」が 20位に入ると、アニソンの頑張りぶりが目に付くところ。

ふと思ったのだけれども、そういう一定の市場を持つアニソンではあるけれどもネットワークダウンロード音楽販売(いわゆる音楽配信)では未だに冷遇され続けているような気がする。
最近の楽曲で買えるのは「ARIA the NATURAL」の OP「ユーフォリア」と、「.hack//Roots」の OP「Silly-Go-Round」くらいか。これらはビクターがアーティストをプッシュしている様なので入っているというか。FictionJunction は毎度といった感じだしね。
なんでせっかくの「ハレ晴レユカイ」が買えないのじゃ。
ちと気になったので Mora と iTMS で、「ハレ晴レユカイ」ランクイン時のウィークリーTOP10楽曲のダウンロード販売状況を調べてみた。

Mora iTMS
○ × チャンピオーネ
○ × HEAVEN/メビウス
○ × Precious
× × 旅人
× × ハレ晴レユカイ
× × 純恋歌
○ ○ 気分上々↑↑
× × Dear WOMAN
× × Real Face
× × ハートに火を付けて

まあ、こうしてみると別段アニソンだからというわけでもなく、レーベル会社の意向でしかなさそうだというのは見えてくる。iTMS は単に日本の楽曲に弱いだけか。
では、以前話題となった「ハッピー☆マテリアル」ではどうか。「おしえてほしいぞぉ、師匠」と並んでランクインした週の結果。

Mora iTMS
○ ○ SMILY/ビー玉
× × ここにしか咲かない花
× × ハッピー☆マテリアル
× × おしえてほしいぞぉ、師匠
○ ○ STEP you/is this LOVE?
× × 仮面/未来航海
× × ループ
× × トンガリキッズ�
○ × 全力少年
○ × 抱きしめたい

んー、一年も前に人気だったタイトルでもオンライン扱いにはなっていないものなのねえ。
この辺、扱っているか扱っていないかはレコード会社次第ではあるし。
でもって、アニソンを扱っている会社は大抵オンラインに乗り気ではない。

もちょっと利用者が多くて、利用層も若そうな携帯電話でのいわゆる「着うたフル」ではどうか。私の所有は AU なので、そのサービスを眺めてみる。携帯は検索性が悪いのでおおざっぱなブラウズで勘弁。
携帯だとアニソン専門の着うた販売サイトがいくつも存在している。
そういった着うたサイトを見ていて気づいたのだけれども、多くのところでランキングの上位傾向がほとんど似たり寄ったりで大体 1位が「残酷な天使のテーゼ」になっている。そして以下ほとんどが「懐かしアニメ」で埋まっている状態。つまりだ、携帯で着うたを購入する層はディープなアニオタではなく、大衆層が多いと考えられる。それゆえに別段最新作を入荷する必要も無い。
丁度見て回ったとき「灼眼のシャナ」関連の楽曲がリリースされたところであった。他にもぱらぱらと見かけなくは無いのだけれども、どれもアニメの放送が終わってしばらくしたところで着うたリリースされている感じ。
アニメ主題歌を最も買いたい衝動に駆られるのはやはり番組が始まった直後の事である。CD ですら放送開始から数ヶ月離れてリリースされるので熱が冷め気味だというのに、番組が終わった後となってはことさらである。おそらく、CD が売れなくなったところで出がらしを絞るように着うたリリースしているのではないだろうか。それでは買い手の気持ちを捉えては居ない。
リリースが早いオンラインの方を先行させるべきではないのだろうか。
ちなみに携帯では「にじちぅ?」が異彩を放っている期待株。「巫女みこナース愛のテーマ」とか「はいぱーやっちゅーめがみなみん」とか平気で配信しているし。ここのランキングだけはオタとして納得だ。

先日日本版がスタートした Real MUSIC。私は元々 Real Radio Pass 会員だったのでそのままスライドで利用している。
ちとびっくりしたのは、この Real MUSIC に「アニメ」というジャンルがあったことだ。
といってもこのジャンルをサポートしているのは SONY Music。最近は SONY Music もアニソンをピックアップして特集を良くしてくれているんで、その一環といったところか。
残念ながら SONY Music の場合はアニソンといっても、ミュージシャンありきでアニメはそのタイアップアイテムでしかないような感じなんだよね。聞いていても流れてくるのはハガレンやナルト(とタイアップ)で使われた楽曲がメイン。それはそれでアリなんだけれどもさ、個人的にはちーっと違うんだよね。たまにシティハンターやキャプテン翼が混ざってきてちょっと微笑んでみたり。

こんな長々と何が言いたいかというと、ダウンロード音楽販売が「イノベーションの普及過程モデル」でいうところの「多数導入者」にいきなりアプローチしようとしているのではないかということ。本来は革新的導入者が市場の先鞭を付け、初期導入者が利用数を引っ張る。この初期導入者(へたすると革新的導入者すら)を軽視しすっとばしているんじゃないだろうか。
丁度面白いニュースがある。ITMedia でみつけたのだが、Gyao の視聴数 TOP20 のうち 8つをアニメタイトルが占めているというものだ。
まあ、アニメだと25分なので見やすいというのはあるけれども、40%という数は少数とはみれない数字ではないだろうか。
また、先日 PSP のファームウェア 2.71 が公開された。案外ひっそりと公開されたアップデータだったが、P-TVへアクセスするアイコンがトップメニューに追加され、P-TV から PSP へダイレクトにムービーがダウンロード購入できるようになったのだ。なんでみんな驚かないのだろうというくらいに大きな追加だと私は思っている。
まあ、その P-TV も開始から数ヶ月は大したコンテンツもなく利用価値は無いに等しい(かみちゅ!だけは早期から提供されていた点は評価)状態だったのでわからなくもないけれども。
久しぶりにアクセスしてみたら、コンテンツがどばっと増えている。内訳は「音楽カラオケ」と「アニメ」が増えたからだ。なんでアニメが増えたのかというと「バンダイチャンネル」が追加されているからですな。バンダイチャンネルは映像配信系ではかなりがんばっていて、タイトル数も豊富。これくらいそろっていると「懐かしいのでちょっとみてみようか」的タイトルをレンタルビデオの様に楽しむ事ができる。
そんなこんなで P-TV におけるダウンロードランキング TOP10 のうち、実に 8タイトルがアニメーションとなっている。残る 2タイトルはお笑いコンテンツ。
アニオタ(お笑いファンも)はダウンロード販売におけるイノベーターとしてのパワーを秘めているという見解はできないだろうか。そして、その層をどう扱うかは戦略として健闘している必要はあるんじゃないかな。

アニメに限らず、オタクは新しいことが好きなのでそこが食いつくことがスタートなんではないかといったところで〆。
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