ラジオとメディアとコンテンツ

年末という事もあり仲間と飲んだり語ったり。
流行物ということで Podcasting の話題も肴としてあがる。
私としては iPod で Podcasting を実際に持ち歩いてみたり、そもそもでAMラジオ自動録音サーバーを持っていたり(それを iPod に転送したり)するので、ユーザーとして適当に語る。
んでまあ、アニラジって多いんだよとかいう話から「ラジオドラマってあるの?」と聞かれて「はて?」と考え込む。そう言われれば、今のアニラジは電波放送もインターネットラジオもパーソナリティ(声優)のトーク中心でラジオドラマってのはほとんど無いなあ。
ラジオでドラマをやることはあるけれども、番組の半分使ってあとの半分はトークだったりしている。昔は 30分枠全部ラジオドラマというのもあったけれども、最近はほとんど見かけない。
でまあ、そんな質問が出た意図というのは「Podcasting でコンテンツや音声学習教材などを販売するというのはビジネスモデルに成りうるか」というところからなんだけれども、それと現状のアニラジ界を比べるとなにやらずれている風味。

アニメやゲームを題材としスポンサーが広告の代わりに提供をしている声優トークバラエティ、いわゆる「アニラジ」。
その番組の作りとしては紋切り型であり、リスナーからのお便りを読んだりそれをネタとしてパーソナリティが面白おかしくトークをするといった形態がほとんど。番組の差違は主にパーソナリティのトーク展開のうまさや、トークのお題設定の楽しさにかかっている。
つまりだ、アニラジ(声優ラジオと言っても良い)を聞くのは、そのアニメ・ゲーム・声優が好きだから聞くというより、パーソナリティとの「双方向コミュニケーション」を楽しむために聞いているのだよ。
実際に自分がお便りを送らなくても、誰かが送ったお便りが読まれただけでもリスナーとパーソナリティのキャッチボールが成立していると認識することができる。
実際にお便りコーナーが無いトーク番組である、「小沢昭一的こころ」「ありがとう浜村淳です」でも同じ事である。これら番組はパーソナリティが自分の視点やニュアンスで世相や事件を語るのだが、それ行為自体がリスナーを含む大衆とのキャッチボールになっていると考えられる。ちょっとマクロな双方向コンテンツである。
そう考えると、リスナーが聞いていて楽しいコンテンツというのは双方向コンテンツであるべきだという視点で考えられるのではないだろうか。

Podcasting(RSSCasting) は単に配信手段が変わっただけで、ラジオである。少なくともユーザーが最終的に手にする(耳にする)ものとして違いはない。
今現在は Podcasting というものが出てきたばっかりなので、みんなこの手段をどのように使えば良いのか見当がついていない状態にある。
しかし結論は既に出ているのではないだろうか。

個人的に今最も頻繁に聞いている Podcasting はニュースでも英会話でも落語でもアニラジでもなく「はいてない.com」だったりする。
これは音楽系同人サークルが運営しているネットラジオなんだけれども、ギャグ系。ファミコンゲームをプレイしている様をみんなで実況したり、ギャラリーでもりあがったりとか如何にも同人サークルっぽいところが逆に面白い。なんつーか、ゲーム系仲良しサークルの会話が漏れ聞こえてくる様な感じ。
コンテンツクリエイターサイドの高圧的な一方向性がないのでしっくりくるのかもしれない。
もっとも、内容自体は肌に合う合わないがあるのでこれを一押しするものでもない。そういった、自分に合った番組が見つかれば Podcasting を利用する意味が生まれるかもしれないというだけである。
手段はあくまで目的のためにあるのですよ。

そういったことはひいて考えると「双方向性」というのはコンテンツ全体が常に意識していなければならないお題ではないかとも思える。
素晴らしい作品を作りました、さあ聞きやがれ、見やがれ、遊びやがれ、だけではお金は払われない。それを買って手にすることでどのようなコミュニケーションが生まれるのかを期待しているのである。
ひょっとしたらコンテンツというものそのものは売れないものなのかもしれない。

かといって直接な双方向性はかえって退かれるので、塩梅を考えないとね。
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