暗闇を照らすもの
LED、発光ダイオード。
私がはんだゴテを手にしてラジオキットを作る楽しさを覚えた頃、それは新しいデバイスであった。そんなに高くはなかったけど、電源をつなぐとうすらボンヤリと赤い光を放つそれは使いみちのほとんどないものでもあった。電化製品のパイロットランプはネオン管が主流だった。
そんななか「高光度LED」というものが商品化となる。暗くてボンヤリと光でしかなかった LED を実用的な「明るい」と感じる明度を持ったデバイスへと改良されたのである。その研究者は日本人で周囲は馬鹿にしていたが努力の末その高光度LEDをものにしたということでサクセスストーリーが NHK 特集で組まれていたのを覚えている。記憶がたしかだったら SHARP の人だったと思ったが。
そんなこんなで LED は実用になったわけだがそれでも青色の LED だけはどうしても作れないと言われていた。ふうんそんなものなのかーと思っていたとき愛読書である「初歩のラジオ」の片隅に「青色の LED 開発に成功」というニュースが小さく載っていたものを見つける。なぜかこの時私は異様に興奮していたのを覚えている。
だがその興奮を分かち合える人間が周囲にいなかったのでどうしようもなかったのだが。
そんなあこがれのデバイスが手にはいる様になるまでさらに数年を要する。やがて秋葉原のパーツ屋にて青色 LED が 1個 900円ほどで販売される様になり、小躍りしながらそれを買いに行った。当時の青い色 LED は本当に薄暗く昼間は点灯していることが認識できなかったぐらいだ。部屋を暗くしてぼんやりと光っている青色のそれをみて、ああ綺麗だなあと思ったのを覚えている。
話はずーーーっと飛んで。
先日 PC のケースを買った。恵安の KN1000A 前面アクリルの憎い奴だ。
http://www.keian.co.jp/new_pro/kn1000a/kn1000a.html
これの電源を入れてびっくり、パイロットランプが高光度青色 LED だった。前面のアクリルに青色がひろがって綺麗。思わずおおっと感嘆する。
しかしだ……。
明るすぎるんじゃあああああああぁぁぁぁぁーーーーー!!
寝ようと思って部屋の電灯を消しても部屋はあまり暗くならず青く煌々と照らされている。PC ケースの LED だ。
なんか明るすぎるのも問題かなあと思わざるを得ない事象。