ニコゲーとスターの存在

ニコゲーというソーシャルゲームメイキングコミュニティサイトがあり、そこでずいぶんと楽しませてもらっている。
ニコゲーは、ニコニコ動画を筆頭としたドワンゴ系列のニコニコ系サイト(?)なのだが、制作と運営はドワンゴやニワンゴではなくゲーム会社のスパイクが行っている。そういえばスパイクってドワンゴ系列会社になっていたんだっけとふと思い出す様なエピソードでもある。
具体的にどのようなサイトなのかは各人で調べていただいたり、実際にアクセスしてもらうなどするとして、9月14日のオープンからこれまでの間に実際に遊んだ結果からの感想を書いてみたいと思う。


実際にどのようなゲームがあるのかといったことについては、お勧めの一部を「ぴこぱこサイクル、ニコゲー特別編」にて紹介しているのでこれをみるなどしていただきたい。
この「ぴこぱこサイクル特別編」自体、ニコゲーのアドベンチャーゲームジェネレーターで作成されている。そしてBlog等の他サイトに貼り付けることもできる。ニコゲー自体は会員専用のSNSでありログインしないと利用できないが、ゲームコンテンツ自体はこのようにタグ張り込みで外部に持ち出すこともできるので様々な応用展開が考えられるところ。

■広場にはスターが必要なんだ
9月14日のニコゲーオープンをWEB上のニュース記事で見つけ、早速飛んでいった私は「これはいけるんじゃないか」と思った。
SNS系やコミュニティサイトの類は苦手だし、いかにもなアバターがあったりフレンド申請なる仕組みがあったりして、これまであったSNSやゲームを餌にしたトモダチ系クローズドサークルサイトと大して変わらない様に見える。
しかし、他のゲーム無料(アイテム有料)を謳うサイトと大きく異なるところがあった。そしてそれこそが重要な要素であると見ているのだ。
それは何かというと、ユーザーが素材やゲーム作品といった「制作物」を投稿する場所であること、そしてコメントやスコアといったそれを評価する場所であること。
魔法のiらんどが「携帯小説」、pixivが「CGイラスト」の投稿と閲覧、評価を軸としたコミュニティスペースであるように、ニコゲーは作った「ゲーム」を囲んで語り合うコミュニティスペースなのである。
ニコゲーではジェネレーターと素材を使って割と手軽に誰でもゲームを作成することができる。その誰でもが良いかというと実はそうではなかったりする。創作物である限り、制作者の力量が如実に表れる。本当に才のない人が作ったゲームとセンスとスキルにあふれた人が作ったゲームでは面白さが違う。
そういった差を無くして誰でも作れる様にすることが成功への道だと考えがちだが実はそうではないと考える。
スゴイ人はスゴくて良いのだ。
むしろスゴくあって欲しい。そうしてスゴい人がいるもんだと言うことを見せつけて欲しい。投稿コンテンツ中心のコミュニティスペースはそれでいい。
そうしてスゴい人がスターとなり、そのコミュニティの中で人気者になることが重要なのである。
良いコンテンツを投稿した人に耳目が集まり、スターの周りに人が集まり、スター間のコミュニケーションでさらに場が活性化する。そしてスターに憧れていつか俺もああなってやると制作と投稿を繰り返した後に新しいスターが誕生する。そんな流れ。
場を作るにはこのようなスターの存在が不可欠であると考えている。そしてスターを生み出すには、作品の優劣、才能の大小、評価の高低といった良い意味での点数化が必要になってくる。ただし、その点数化の基準は厳格で納得性の高いものでなくてはいけない。いわゆる公平性というものも持ち合わせる必要があるだろう。
そういった優劣というある意味での差別化を恐れ「誰でも簡単」とか「みんなで使える」とかいった平均化をしたがるのが各種大企業サービスの悪いところでそれゆえにスターがおらず場が回らなくなるのが良くあるパターンではないだろうか。
そういった目でニコゲーを見てみると、確実に「制作者の力量」が現れる世界である。バランスの良い面白いゲームを作る作者、取り回しの良い素材を作る作者、魅力的なイラストを書く作者。そういった作者がスターになれる場、たり得るのである。
単純に「無料ゲームがたくさんあって友達が作れる場」であっては他のソーシャルゲームサイトと同じでしかない。
そうではなく「面白いゲームを作るスタークリエイターがいる場所」であり、その「クリエイターと友達になれる場所」であるところが重要なのである。そしてそのスターを目指す人がどんどん集まってくれば、そこは広場として成功するだろう。

■どんな人がニコゲーを使っているのか
当初はニコゲーの使い方がわからなくて模索していたのだけれども、最近になってようやくわかってきたところでは「とにかくゲームを制作して、制作者同士でコミュニケート」していくのが楽しいといったあたり。プレイヤーとしてハイスコアラーになったりコメントをつけまくって常連になったりといった形での利用ももちろんありなのだけれども、それよりかは制作者側に回った方が今は面白い。
良作を作る人とコメントを交わしたり、制作テクニックを相談したり、ジェネレーターのバグ情報を交換したり、素材の制作を依頼したり。
そういった制作者間コミュニティというのもいくつかできはじめているし、感嘆するような作品を投稿する制作者も出始めている。少しずつ温まって回り始めているといった状況になってきている様に見える。
その分一般のプレイヤーがどんどん減っている問題はあるのだけれども、このへん鶏が先か卵が先かといった問題か。

初期にニコゲーを見て去った制作者の多くはジェネレーターの機能の少なさというか作れるものの画一さに辟易してではないかと思う。
ロジック的なものが一切作れないので従来の視点で言えばゲームを作るという概念とはちょっと違うものに見えるだろうから。
平たく言えば自分でプログラム組んだ方がよっぽどスゴイものができるといったお話。むろんそれは当然の事なんだけれども、本当に重要なのは外を取り巻く環境であるといった視点に立てばニコゲーが用意してるものはかなり大きくありがたい。
そして、これが重要なのだが、ある程度の制約の中でこそ伸びるものがある。
ニコゲーのジェネレーターは制約が多いのだが、その制約の中でなにが作れるのか。それを模索してきた人たちがぽつぽつと成果を上げ始めている。要するにオープンから1ヶ月が経過して作り手側にノウハウがたまりはじめているということですな。
ずいぶんと面白いタイトルや完成度の高いものが増えてきたと思う。

ではそのようにニコゲーに居つき研鑽しているのはどんな人なのか。
私の目で見たところではゲームを作るための全てを備えていない人なんじゃないかと思う。
ゲームが好き、絵が描ける、音楽が作れる、デザイン(ゲームバランスとか)ができる、プログラミングができる。ゲームを作成するには全ての技量が必要となる。個人で全てを備えるのは困難なのでたいていはチーム作成となる。
でもチームを作ってまでゲーム作成がしたいってほどじゃないし、技能もどれかは備えているのだけれども一人じゃ作れない。そんなときにニコゲーはほどよくマッチするんじゃなかろうか。

道具は使いよう。
確かに従来のゲームに匹敵するものは作れないかもしれないけれども、その枠の中で楽しいものを作るには割と十分。特に一人で作るにはこれくらいの規模感と上限(制約)があったほうが手頃。そういった状況をニコゲーのジェネレーターは作りだしているんじゃなかろうか。
そして得意じゃない分野を補うために素材のシェアもある。
この素材については不足気味でまだまだ課題があるものの、あるおかげで助かっている人も多い様だ。

■この先の展開に期待
オープン時の印象が大きくニコゲーに失望している人も居るだろうけれども、こういうのは人が集まってなんぼ。その人たちが何を投稿してくれるか次第。
なのでじわじわとその様子も変貌しつつある。
この後どの方向に伸ばせば楽しい広場となりうるのか、もう少し見守っていきたい。




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