電子書籍端末は双方向化を目指せないのか

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いつものように通勤電車の中でラノベを読んでいた時に、ふと文庫に挟まっている「愛読者カード」に目がとまる。いわゆるアンケートはがきという奴だ。
書籍が紙の本という形態をとり続けることについては、実は読み手にとってもメリットが多いのでこのままでもある程度はかまわないのだけれども、この愛読者カードが読者の郵送によるものという形態をとり続けるのは果たして良いことなのだろうか。

作家さんにとって「ファンレター」なるものはうれしい存在であると聞く。そういった作品に対する反応というのはどんなジャンルの作者であっても気になるものだろう。
まあ、今ではWEB上にあるレビューサイトやBlogでの読後レビュー記事などを作家本人が読んで回るといったことも可能ではあろう。しかし、そういった記事はどこにあるかわからないし偶発的な存在でしかないことが多い。
そうではなくて、アンケートや感想といった読者側にある情報を出版社はもっと低コストで数多く集める努力をしてみても良いのではないだろうかということを考えたのである。
ラノベ界隈でざっくりと見たところでは、WEBやメールでファンレターを集めている出版社はなかった。かろうじて全部ひっくるめてのご意見フォームを設置しているのがファミ通文庫のFBオンラインのみであるという状況。電撃はBBSを設置しているけれどもあんまり稼働していないなあ、publicに見える場というのも使いにくいのかもしれない。

そこで考えた。KindleでもiPadでもSONY Readerでもなんでも良いから、本を読み終えたときに端末以上で読後アンケートをとってその場で出版社にネット経由送信してしまえば良いのではないかと。これなら、読者アンケートの敷居はグンと低くなるし、出版社も数多くの反響を手にすることができる。
そして、それが行えるというのがデジタル端末ならではな付加価値なんじゃないかと。
その後、アンケートを集計して再配信したり、作家からのコメントが寄せられたりといった風に展開すれば低価格なファンサービスにもなるのではないか。

この提供者と受容者の相互関連性というのが今後ことさらにクローズアップされていくのだと思う。
そんな中にあって、旧来然としたメディア提供者は一方通行であり続けようとしている。メディアによっては確かに一方通行になりがちなのはしょうがないのだけれども、デジタル化オンライン化によって相互通信が可能になってきている。そして、人々はその相互作用性に価値を見いだし、依存し始めている。
そのような流れを生かしてこそのデジタル化なんじゃないだろうか。

プロのメディアクリエイターであっても「視聴者の生の声が聞けるから」といってニコニコ動画に投稿している例は少なくない。それと同じで、読者の声を拾う手段がいつまでたっても現れないのであれば novelist.jp の様なネット上の作品発表空間が力をつけていくのかもしれない。

[追記 Apr.04.2010]
「ラノベ界隈でざっくりと見たところでは、WEBやメールでファンレターを集めている出版社はなかった。」と書いちゃいましたが、MF文庫Jが既にアンケートはがきを廃止してWEBでのアンケートフォームへと移行していました。おそらくは2009年10月以降の刊行本からだと思うのですが、奥付にQRコードがつくようになりました。それを経由してアンケートフォームへ飛べます。
アンケートに答えると、携帯電話用待ち受け画像がもらえるということでご褒美としても手頃で良いサービスだと思います。
ただし、このアンケートフォーム、携帯電話からのアクセスしか受け付けません。DoCoMo経由のAndroidでははじかれました。読者層を若いあたりに想定していると推測するに携帯電話(除くスマートフォン)のみというのでも良いのかもしれませんが、もうちょっと幅があった方がうれしい気がします。




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3 Responses to “電子書籍端末は双方向化を目指せないのか”

  1. th Says:

    海外だと、そういった電子書籍(のエンジン?)の開発を始めているところがあります。ここまで大がかりではなくても、twitter辺りにでもにコメントなり感想なりを投げられれる機能はほしいところです。

    英出版Penguin Books、インタラクティブなiPad向け新世代電子書籍を目指す
    http://journal.mycom.co.jp/news/2010/03/05/092/

  2. th Says:

    日本にもありました。

    「GQ JAPAN」「VOGUE」、iPad版電子雑誌を開発 – 記事ごとのSNS形成/Twitter投稿機能も
    http://journal.mycom.co.jp/news/2010/03/17/024/index.html

  3. rerofumi Says:

    おー、情報ありがとうございます。
    開発中なのですね、楽しみです。

    今回「アンケートはがき」にこだわったのは、
    ・読書履歴を明かしたくない人がいるだろう
    ・むき身の文章ではなく善意のフィルタリングをして作家に渡す人が必要だろう
    という事を考えたからでした。
    publicなコメントにすると読者間での衝突が発生する可能性もあって、それは誰のためにもならないですし。

    多分、TwitterやSNSへの投稿は読者のためのコミュニティモデルになるので、出版社や作家がそれをプラス方向に利用するためにはもうワンアクション蒸留する必要があるのではないかと思います。

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