コメを噛め

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rerofumi の電子工作メモ

Archive for the ‘Tool’ Category


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はんだリール台を 3Dプリンタで作ってみた。
斯様な小物は Thingivers でもメジャーなアイテムで、“solder” で検索するとはんだリールだけでもいくつか見つかる。

こういったアイテムを自作していくのが家庭用 3Dプリンターでの醍醐味であろう。

さて、今回はこの小物を作ったよというお話ではなく、それを作る過程のお話。
どんな 3DCAD を買って、使って作成をしようかということについて。

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第八回『ドリルで穴あけ』

実際にCNCとG-CODEで加工を始めましょう。まずは穴開けからです。
パターン堀りとドリル穴のどっちが先かは特に論ずるほどの事は無いのですが、パターンを掘った後の銅箔は非常に細く剥離しやすいため「後ドリル」はなんだか怖くて「先ドリル」にしています。

■ 穴の深さと捨て板
CNCフライスでの穴開けは、刃を回転させた状態で Z軸を下方向(素材にめり込む方向)へ移動させることで行います。
素材の表面がゼロ地点な訳ですから、穴を掘り進めたい深さだけ Z軸を移動させることとなります。

角形のエンドミルならば掘り下げた距離がそのまま穴の深さになるので、板の厚みと同じ数値掘り下げるでも穴を空けることができます。ですが、一般的なドリル刃は先端がとがったV字になっているため板の厚みと同じだけ掘り下げても穴が貫通しない事になります。

そのため、ドリルで穴を空けるためには板の厚さより多く掘り下げて意図的に貫通させてやる必要があるのです。
私が 1.6mm のプリント基板に穴を空けるときはいつも 2.0mm ほどの掘り下げ量に設定しています。
それだけ掘り下げて貫通させるということは素材の下もある程度掘るということになります。なので、加工時には必ず捨て板が必要になるわけです。

■ ツールごとに穴あけ
個人用の卓上フライスでは「自動ツールチェンジャー」なる便利なモノは搭載されていませんから、加工内容によって刃を取り替えてやる必要があります。
Gynostemma ではドリル径毎に別々の G-Code を出力しますので、ドリル刃をセットして G-Code を読み込ませ加工、次のドリル刃をセットして G-Code を読み込ませ加工、といった作業を繰り返してやる手順となります。

刃を交換したら必ず Z軸のゼロ点出しを行うことを忘れないでください。
これを忘れてしまうと、素材にめり込んだ状態のまま移動しようとしたりして素材だけで無く刃もおってしまうことになります。
これまでに何本折ったことか……。

■ ねじ穴はどうするか
ねじ穴やパーツの固定穴で M3 や M2 といった大きな穴が必要になるときがあります。
2.2mm や 3.2mm といったドリル刃を用意すれば良いのですが、フライス用のドリル刃は高価で入手法も限られています。
ある程度大きな穴であれば以下のどちらかの方法で空けるのが良いでしょう。

  • 一旦 1.0mm 程度の細いドリル刃で穴を空けておき、後から手作業でドリルして目的径の穴にする
  • 1.0mm とか適度な幅のエンドミルで円を描いて目的径の穴にする

CNCフライスの作業っぽいのは後者の方ですが、穴が少ない場合は前者の方が簡単で手っ取り早いときもあります。
エンドミルで穴をあけるのは外周切り抜きの時に一緒にやると良いでしょう。


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第六回『刃(ツール)の種類』


CNCフライスでは目的の加工に応じて色々な種類や大きさの刃を利用します。
ここではプリント基板作成に使う刃を見ていきましょう。

■ エンドミル

エンドミルはCNCフライスで通常使われる刃です。
刃先の形状が丸いボール型と、矩形になっている角形の2種類が一般的です。
上記写真の刃は角形1mm径のものです。
角形は一番下の底面と側面のそれぞれに刃が有り、ここにふれたものを全て削り飛ばします。側面でも切削できるので、素材に突き刺して横にずいーっと移動すれば切断になるのですね。
プリント基板作成では主に基板の切り抜きとねじ穴の様な大きな穴開けに使います。
カッティングに使う分には径が小さいほど幅が小さく刃サイズを意識しなくて済みそうなところですが、細いと高い上に折れやすいので 1mm あたりの廉価セットが一番お得に使える気がします。
通常のエンドミルは金属加工も視野に入れているのですが、プリント基板で使う紙フェノール(ベークライト)はそれに比べて十分に柔らかいので最適というわけでもないようです。樹脂やアルミといった柔らかい素材専用のエンドミルも存在し、それを使うと幾分静かに切削できるようです。
ただ、樹脂用エンドミルは若干お高めで、効果抜群とまではいかないので費用対効果としては通常の廉価エンドミルで十分ではないかと思います。

■ ドリル

おなじみのドリル刃です。
金属に穴開けするわけでも無いので特筆することもないのですが、CNCフライスのスピンドル(後述)にセットできる径である必要があるのでCNCフライス専用のドリル刃となります。ホームセンターで売っているドリルの刃を買ってきてセットできるわけではありません。
取り付けの軸径は大体 3mm のものが多い様です。
刃の径は必要に応じて揃えてください。
私は以下の3種類を揃えて使いわけています

  • 0.8mm 通常の DIP ホール
  • 1.0mm ピンヘッダ等のコネクタで使う
  • 0.6mm 2面貼り合わせのスルーピン用ホール

■ PCBカッター

プリント基板のパターンを掘るための刃です。
大体 0.2~0.4mm 幅の溝を掘ることを目的としています。
通常は先端がV字型をしており、基板にめり込ませる深さで切削幅を調整します。カット基板の銅箔の厚さは 35μm くらいなので 0.1mm も下げれば十分に切断できます。
写真の刃はオリジナルマインドの「美濃昌典(先端53度)」です。ちょうどエンドミルの先端を細めたような形をしていますし、0.8mm径のドリルとしても使えます。
先端53度というのは、深さ 0.1mm に沈めたとき切削幅が大体 0.2mm 近くになるという設計の様です。

■ コレット
CNCフライスでは回転するスピンドルの部分に刃をセットするのですが、このスピンドルの穴の径で使える刃がきまります。

スピンドルに刃を差し込んで芋ねじで固定するのですが、スピンドルの径ちょうどの刃を使わないといけません。しかし、刃によってこの径が 6mm, 4mm, 3.175mm, 3mm と様々です。(iModela はハンドリューターサイズの2.35mm)
刃の軸径に合わせてスピンドルを用意しそれを差し替えるのが推奨されている使い方となります。

しかし、スピンドルはスピンドルホルダーに取り付けられフライスに固定されているため、交換するにはZ軸をほとんどばらしてまた組み立てるという作業が必要になってしまいます。

そこで私は径変換のスリーブコレットを利用しています。

コレットを使うと偏心する可能性があるため推奨ではないのですが手軽に径の違った刃を交換できるようになります。
私はキデッジショップさんで購入したのですが、現在は在庫なしになっているようですね。探してみると同様のコレット(もしくはスリーブという名称)で扱っているところがいくつか見つかりますのでそういったところで在庫があるところから買い求めるとよいのではないかと思います。

今使っている刃だと、ドリルと美濃昌典が 3mm 軸、エンドミルが 4mm 軸なのでこの二種類があれば事足りている次第。
オリジナルマインドさんは、この軸の違いを考慮してできるだけ1本の刃で交換なしに仕上げるようにという方針の様子。「土佐昌典」シリーズはそういうコンセプトの刃。これだとスピンドル径が一つで済むからね。
他の刃を使いたい、特にエンドミルを使うところをどうにかすれば 3mm 軸一本で済ますことができるかもしれません。


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■ プリント基板CAD

回路図が書けて何を作るかが決まったところで、今度はその回路をプリント基板に起こします。
プリント基板のパターンを設計するためには専用のプリント基板CADがあるのでそれを利用します。CNCでプリント基板を作成する際はガーバーデータを介して出力しますので、ガーバーデータを作成できるCADであることが必須の条件になると思います。
プリント基板設計CADにも色々種類があり特徴もそれぞれですので、手になじんだ物を使うと良いでしょう。

私はちょくちょく出てきているように K2CAD を使用しています。あまりメジャーではないと思います。
K2CAD を選んだ理由は、

  • サイズ制限が無い
  • レイヤー数が127まである
  • 商用利用に制限が無い
  • ラッツネットを備えている
  • 「P板.com」さんでの出力実績がある
  • シェアウェアとして安価である(3150円ほど)

といったところが良かったからで、悪いところは

  • マニュアルの整備が不十分で使い方がわかりにくい
  • 不安定でクラッシュすることが多い
  • ライブラリが無く自作する必要がある

とまあ割と致命的な感じもします。それでも使うのは玄人肌というか、苦労を楽しむというかそんな方向かもしれません。
しかし、基板を製作して MTM とかで販売しようと考えたときにそれは商用利用かどうかというのは割と悩むところです。特に EAGLE LIGHT はサイズ制限だけでなく商用不可というライセンスなのがどうにもひっかかり鞍替えすることにしました。
昔色々なCADを一通り試したところ個人的な要望は「オートルーターは使わない(使えない)けれどもラッツネットは欲しい」というあたりに落ち着きました。しかし、アマチュア向けでラッツネット対応のCADはあまりなくてその頃唯一使えた K2CAD にたどり着いたといった流れでした。

ここでは私の実作業例として K2CAD を使った手順を記載します。

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第三回『回路図の作成とネットリスト』

■ 回路図を書きましょう
ユニバーサル基板での工作に慣れてくると「取りあえず作りながら回路を考える」ということをやりがちになってしまいます。
それはそれで完成するため問題は無いのですが、完成した物が本当に一点物になってしまい現物以外シェアするものがなくなってしまいます。
電子工作において成果の共有を考えたときに最も基本になるのが回路図だと思います。これを発表し、共有すれば他者が同じ物を作成したり、参考にしてさらに発展させたものを作ったりできるようになるのです。
なので回路図が無い工作は世界に対して広がりを持ちません。できるだけ回路図を書きましょう。

また、CADやCNCを使ったプリント基板製作は、デジタルで設計した物がそのまま実態として製造できるといったメリットと楽しさがあります。その代わり「設計してから製造」といった作業フローに対して厳格です。
いきなり作り始めたいところをぐっとおさえて、最初に設計を行うという手順に慣れてください。
デジタルで設計さえしておけば、いろんな方法で具現化ができるという時代になってきています。電子工作、マイコン工作で最初に設計するものは何かと言ったら回路図なのではないでしょうか。

■ 回路図の作成
私は回路図の作成にはフリーウェアである BSch3V を使わせて貰っています。
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主にプリント基板製作のためにCNCフライスを導入しておおよそ1年半ほど。1年半という時間はかかったけれども、まあ大体思った通りのプリント基板を作れるようになった次第。
自分の中ではやはり 0.5mm ピッチの作成がピークでこれができてしまえば技術的なものはそこで終わりで、あとは作りたいマイコン基板を奔放に作りまくるだけとなる。

先達のメモは WEB のあちこちにあるもののやはり情報不足なところが否めず、結局ほとんど手探りでここまで来たようなもの。
じゃあ今なら十分な情報があるのかといったら、やっぱりまだまだ不十分。自分がこの Blog にメモしてきた内容も断片的で情報としてはいまひとつなところ。

なので、CADで回路図を書くところから、CNCフライスでプリント基板を彫り、できたモノにフラックスを塗るまで一通りの手順を書き起こそうかと思っている。

なので数回そういった連載が続くかもしれないよというご連絡。

~~~
CNCフライスでやりたい事はプリント基板作成が第一なのだけれども、第二にキャラクターフィギュア作成というのもひっそり持っていたりする。
完パケが一発で掘り出せるわけは無いので仕上げ前の粗彫りレベルになるのはわかっているけれども、それでも 3DCG で自在にモデリングしてそれを出力するというのに憧れ続けている。

CupcakeCNC による3Dプリンター出力の方では、フィギュアっぽい設計と分割ができるようになってきてそれなりの成果があがっている。

けれども CNCフライスで削りだし造形のほうはちーっともで、フライスを導入したてのときに軽くケミカルウッドを削って「こりゃ難しい」と思っただけ。
なのでこの辺を次は攻めてみたいな、と。


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私が使っているCNCフライスはオリジナルマインドさんとこの mini-CNC BLACKII 1510 なのだけれども、このたびモデルチェンジした KitMill シリーズが発売となり全種出そろったようだ。
従来モデル最大の問題点であった「パラレルポート必須+Mach3を買え」もしくは「追加でUSBCNCを購入してなんとかせよ」という部分が、USBCNC 準拠のインタフェースと CNC が標準となり、USB接続で利用できるようになったあたりが超改善点である。うらやましいなあこんちくしょうめい。
しかしま、既に BlackII で一通り揃えてしまい動いているとすぐに乗り換える動機は無いので私はのんびり様子見。これから購入しようという人にとってはトータルでお安くなったと思う。

個人用 CNCフライスもじわじわと盛り上がっており(?)、PCBミリングさんでは iModela 用 3.175mm スピンドルシャフトを発売している。iModela はツール径が 2.34mm と一般的なリューターのそれで、基板加工用の刃を始めとした強力な刃が使えないという問題があったのだけれども、このスピンドルシャフトを使えばそれが解決するといったお話。
iModela はちょっと非力で音もけたたましいのだけれども、なんといってもお値段が安いので目を付けている人も多いのではないかな。

さて、オリジナルマインドさんの KitMill シリーズに話題を戻すと、今回は「基板加工専門機」である KitMill CIP100 がラインナップされているのが目を引くところかと。
「CNCフライスでプリント基板作成ができますよー」と私がアピールしつづけてきたように、このジャンルは結構な潜在需要があるはず。狙いどころとしては悪くないですよ。
CIP100 最大の売りとしては、オリジナルマインドさんオリジナルの(ややこし)ガーバー変換アプリが添付されていること。これまでなにげに、このパス変換アプリがネックで CNCプリント基板加工が難しかったという側面があったりします。私もアプリを自作するにいたったわけだし。
そのオリジナルソフト ORIMIN PCB が開発中だったころから「みなさんの基板データをおよせください」とあったので、私もひとつ送りつけておいた次第。それが「ATMEGA328P AVR V-USB 実験基板」という奴。ここの過去の記事でいうと「AVR V-USB Eval1 その2」の奴。
秋月で 250円のフラットパッケージ版 ATMEGA328P が自作基板で使い放題ですよ、という作例。QFP もさることながら、USB B コネクタの穴が綺麗に開けられるトコロもおいしいよね。
そういう丁度良い感じの作例であると同時に K2CAD の出力ガーバーでもあることから「K2CADにも対応してくれますよね?」という圧力をオリジナルマインドさんにかけてみたという。案の定、最初は無理だったようだけれども、なんとか対応して頂けた次第。

ぱっと見たところ ORIMIN PCB は CIP100 添付専用で別売は無いのかな。
お値段も安いし立体加工も入門したいから BT100 にしようといった場合の別売ルートもあるといいのに。
まあ、そういう場合には拙作の gynostemma をどうぞ、と言っておくことにしよう。

[追記]
PCBミリングさんのところで iModela を使って 0.5mm ピッチを掘るのに挑戦されています。その作例として拙作のデータを使ってもらいました。>iModelaで基板を作ろう
iModela なかなか侮れないです。


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以前から書いている様に、私は基板設計 CAD に K2CAD を使用しているのですが、マイナーな部類に入るため部品パーツライブラリがほとんど公開されておらず自分で作成する必要があります。
まあ、そのパーツ作成も楽しくて毎度ちびちび作りながらやってきたのですが、それなりに使い回しで作業できるくらいになってきたので適当に公開することにします。

最近は CNCフライスで基板を作っている関係上ほとんど面実装パーツなのですが、まあそれでも皆様の用途にフィットしたら使ってやってください。

ファイルは K2CAD の kcd(図面)ファイルになっています。
パーツはライブラリ化してありますので、使いたいパーツを選択してマウス右クリックのコンテキストメニューから「部品ファイルに部品を登録」で、ご自分の部品ライブラリに追加してください。これでパーツとして利用できる様になります。

Download: k2cad_parts_komekame1.zip


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Gynostemma Ver.1.50.0 (20110910)をリリースした。

お待たせしましたというか、ようやくというか、特殊なパターンで内側にゴミが残るバグを修正することができた版となる。

通常私が使っている分には出会わない現象だったので確認が遅れたのだけれども、

時たま上の画のようにパターン内側にひげゴミが残る事があった。
出る状況も限られていたのでなかなかわかりにくかったのだが、乱数で任意のパターン線を数本引いて問題ないかを評価するユニットテストで回数ぶんまわすことでようやく不具合が生じる単純パターンを見つけ出すことができた。

わかってしまえばどうと言うことも無い簡単なバグであった。

その不具合を修正することでようやくゴミ残りバグを根絶することができた。

まあ、それが無くなったからといって完璧では無いことは作った本人が理解しているのだけれども、ひとつよろしくお願いいたします。


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Gynostemma の不具合を修正した Ver.1.40.0(20110807版)をリリースした。
これまで時たま線が消えるとかいう不具合があって自分で使ってても気がついていたのだけれども「運用で回避(基板CADでパターンを変えて出にくくする)」していた問題をちょっとまじめに修正。まだ完全じゃ無いあたりが残念だけれどもこれでまた使っていこうと思う。
過去の記事を見返すとGynostemmaの元となる基礎研究を8月に始めているのでちょうど一年。CNCフライスを購入したのは昨年7月なのでそっからみてもだいたい一年。先日の記事にあるように0.5mmピッチのプリント基板を作るのが目的だったのでこの一年の積み重ねでようやく到達することができた次第。ゴールじゃないよ、ようやくスタート地点に立ったのだよ。
CNCフライスだけじゃなくて3Dプリンターも全部つながっているので色々と振り返ってみる記事。
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