posted by rerofumi
2012/5/5 土曜日 21:59:06
第六回『刃(ツール)の種類』
CNCフライスでは目的の加工に応じて色々な種類や大きさの刃を利用します。
ここではプリント基板作成に使う刃を見ていきましょう。
■ エンドミル
エンドミルはCNCフライスで通常使われる刃です。
刃先の形状が丸いボール型と、矩形になっている角形の2種類が一般的です。
上記写真の刃は角形1mm径のものです。
角形は一番下の底面と側面のそれぞれに刃が有り、ここにふれたものを全て削り飛ばします。側面でも切削できるので、素材に突き刺して横にずいーっと移動すれば切断になるのですね。
プリント基板作成では主に基板の切り抜きとねじ穴の様な大きな穴開けに使います。
カッティングに使う分には径が小さいほど幅が小さく刃サイズを意識しなくて済みそうなところですが、細いと高い上に折れやすいので 1mm あたりの廉価セットが一番お得に使える気がします。
通常のエンドミルは金属加工も視野に入れているのですが、プリント基板で使う紙フェノール(ベークライト)はそれに比べて十分に柔らかいので最適というわけでもないようです。樹脂やアルミといった柔らかい素材専用のエンドミルも存在し、それを使うと幾分静かに切削できるようです。
ただ、樹脂用エンドミルは若干お高めで、効果抜群とまではいかないので費用対効果としては通常の廉価エンドミルで十分ではないかと思います。
■ ドリル
おなじみのドリル刃です。
金属に穴開けするわけでも無いので特筆することもないのですが、CNCフライスのスピンドル(後述)にセットできる径である必要があるのでCNCフライス専用のドリル刃となります。ホームセンターで売っているドリルの刃を買ってきてセットできるわけではありません。
取り付けの軸径は大体 3mm のものが多い様です。
刃の径は必要に応じて揃えてください。
私は以下の3種類を揃えて使いわけています
- 0.8mm 通常の DIP ホール
- 1.0mm ピンヘッダ等のコネクタで使う
- 0.6mm 2面貼り合わせのスルーピン用ホール
■ PCBカッター
プリント基板のパターンを掘るための刃です。
大体 0.2~0.4mm 幅の溝を掘ることを目的としています。
通常は先端がV字型をしており、基板にめり込ませる深さで切削幅を調整します。カット基板の銅箔の厚さは 35μm くらいなので 0.1mm も下げれば十分に切断できます。
写真の刃はオリジナルマインドの「美濃昌典(先端53度)」です。ちょうどエンドミルの先端を細めたような形をしていますし、0.8mm径のドリルとしても使えます。
先端53度というのは、深さ 0.1mm に沈めたとき切削幅が大体 0.2mm 近くになるという設計の様です。
■ コレット
CNCフライスでは回転するスピンドルの部分に刃をセットするのですが、このスピンドルの穴の径で使える刃がきまります。
スピンドルに刃を差し込んで芋ねじで固定するのですが、スピンドルの径ちょうどの刃を使わないといけません。しかし、刃によってこの径が 6mm, 4mm, 3.175mm, 3mm と様々です。(iModela はハンドリューターサイズの2.35mm)
刃の軸径に合わせてスピンドルを用意しそれを差し替えるのが推奨されている使い方となります。
しかし、スピンドルはスピンドルホルダーに取り付けられフライスに固定されているため、交換するにはZ軸をほとんどばらしてまた組み立てるという作業が必要になってしまいます。
そこで私は径変換のスリーブコレットを利用しています。
コレットを使うと偏心する可能性があるため推奨ではないのですが手軽に径の違った刃を交換できるようになります。
私はキデッジショップさんで購入したのですが、現在は在庫なしになっているようですね。探してみると同様のコレット(もしくはスリーブという名称)で扱っているところがいくつか見つかりますのでそういったところで在庫があるところから買い求めるとよいのではないかと思います。
今使っている刃だと、ドリルと美濃昌典が 3mm 軸、エンドミルが 4mm 軸なのでこの二種類があれば事足りている次第。
オリジナルマインドさんは、この軸の違いを考慮してできるだけ1本の刃で交換なしに仕上げるようにという方針の様子。「土佐昌典」シリーズはそういうコンセプトの刃。これだとスピンドル径が一つで済むからね。
他の刃を使いたい、特にエンドミルを使うところをどうにかすれば 3mm 軸一本で済ますことができるかもしれません。
6月 9th, 2017 at 16:32:56
PCBカッターに興味があります。溝幅と深さが共に0.2mmの溝をガラエポ基板に入れたのです。
用途と入手先を教えて下さい。
以上
今村