コメを噛め

コメを噛め

rerofumi の電子工作メモ

Archive for 5月, 2010


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Cupcake CNC 関連だけれども、3Dプリンタは全く出てこないお話。

3Dプリンタ系に対するみんなの印象を見ていると割と「完パケ」というか出てきたものそのものがゴールみたいに見ている事が多い気がする。
私の中での3Dプリンタに対するイメージってのはちょっと違って、頭の中にある形状を実体化するための装置といった感じ。3DCGなどで設計したモノを現実化してくれるのだけれども、それは形にしただけで完成に至るまではもう一手間二手間あるもんだと考えている。だからサポートの除去とか、整形処理とかいった作業もアリで見ている節がある。
もちょっというと、フィギュアとかで考えた場合。出力されたものはラフ造形で、その後パテとナイフでさらに造形していくといった作業が先にあるものだといった風味。

そのように「3Dプリンタで出力した後、パテで整形していく」といった作業のために、出力された形状を複製するといったアクションを行ってみよう。ABSよりウレタンの方が掘削作業がやりやすいのですよ。
今回はモデル界では当たり前の「シリコーンゴム型を使ってキャスト(発砲ポリウレタン)で複製」にチャレンジ。実はやったことがなかったのよねこれ。

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ダイヤブロックで型枠を作り、油粘土を敷き詰めた上に複製したい型を並べる。
今回は Cupcake CNC で作成したタクトスイッチカバーを複製してみる。
並べ終わったらシリコーンゴムを流しこんで硬化。8時間以上かかるので気長に作業。

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シリコーンが固まったら油粘土を除去してひっくり返し、再び型枠にセット。
くっつかない様剥離剤を全面に塗り、再びシリコーンゴムを流し込んでサンドイッチにする。

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シリコーンゴム型が完成。細かい不具合はカッターで切り整えていく。

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剥離剤を再び塗布し、型を組み立てる。
キャストは2液型なので等重量で混合して素早く型に流し込み。
数分で固まりはじめるので流し込んでいるうちに固まっちゃって面食らったりする。
十数分ほどでおちつくのでそしたら取り出し。

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ねじ止めタブのところが気泡で複製失敗したけれども、案外それっぽく複製ができた。
初めてのチャレンジだったので正直もうちょっとこっぴどく失敗すると思っていただけに嬉しいやら拍子抜けするやら。
これくらいの失敗だったら型の改良で克服できるので、次回複製はより良いモノにできそうだ。

てなわけで前からやってみたかった技能をまた一つ習得。Cupcake CNC と組み合わせてより良い造形作業を行っていけそうな予感。
このボタンキャップはボタンキャップでたくさん複製したいアイテムではある。


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ノズルすっぽぬけによるPlustruder熱障壁破損はなぜ起こるのか。
その原因については水星工房のメモにだいたい書いてあるのだけれども、自分のところで起きた理由とかメンテナンスをしながら気がついた事を書き起こしておく。
主にすっぽ抜けが発生する原因についての考察である。

Cupcake CNC では、出力最初の掃除時に素材が出てこなかったらすぐに利用をやめ原因を調査すべし。即座に素材を逆転して引き抜いてみる。もし逆転しても出てこない様なら完全に以下の事象が発症しているものと考えられる。
決して無理に押し出してみてはならない。

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通常のノズルの中は上図の様になっている。
ヒーターが先端だけなのと冷えたABSが次々と送られてくるのとで熱障壁のあたりではふにゃふにゃになりこそすれここでABSが溶けていることはあまりない。

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ノズルが十分に加熱していて熱障壁内部でもABSが溶けるようなことがあった場合、大なり小なりねじ切りの隙間にABSが入り込むことになる。これは先端でも入り込んでいたように確実に起こる現象であろう。

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出力中でノズルが暖まっているあいだなら良いのだが、出力が終わりヒーターが停止すると回り込んだ部位毎冷えて固まる。

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次に出力しようとした際、通常の状態だと回り込んだ部位はまだ溶けていないのでこのまま押しだろうとするとノズルにふたをした形で上からノズル自体を押す形になる。
こうなると、PTFEを破壊してノズルがすっぽ抜けてくる。
なので、一度回り込みが発生したら十分な余熱を行って回り込み自体も溶かしてしまうか、メンテナンスで回り込みを除去する必要がある。

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以上のことから考えるに要は熱障壁内部でABSが溶けるような事があってはならないということが言えるのではないかと思う。
熱障壁のすぐ下に放熱フィンを設置するなどで、そこから上が過熱しないよう遮断できると良いのかもしれない。

[追記 May.24.2010]
「放熱すればよいんじゃね?」というのを試してみました。結論から言うと失敗です。
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こんな感じでなんか人工衛星みたいないかした形にしてみたのだが……
放熱が効いてノズル温度が220℃まであがらなくなりました!!(そりゃまそうよね

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なんだかうちのセッティングだと割とぎりぎりらしく、上の写真のようにナットでアルミ板を挟んで熱伝導を良くするだけで220℃を下回る結果となっている次第。

なので放熱作戦は大失敗です。
結局のところどうあっても回り込みは起こるので、こまめなメンテナンスとやばそうだったらすぐ止めるという運用での回避が一番確実そうです。


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さて、壊れた Cupcake CNC を復活させるべく Plustruder をバラしてノズルのメンテナンスを行うことにする。
破損した PTFE の熱障壁は Makerbot に発注したのだけれども、なんせ届くのに時間がかかるのでもうしばらく待たないといけない。

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そんな嘆きの私によしだまきさんから救いの手が!PEEK樹脂で作成した熱障壁を譲ってくれるとのこと。流石に国内なのですぐ届く。灰色の樹脂。
ノズル抜け問題については水星工房のメモにも書いてあるので併せて参照のこと。
PEEK樹脂だとPTFEより堅いので無理に押し込まれてもねじ山が壊れず破損することが無い。その代わりもっと上部のほうで壊れることになるだろう。

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ノズルのメンテナンス。この写真だとねじ切り筒の上部がちょっと綺麗になっているのだけれどもおわかりだろうか。この綺麗なところがちょっとだけ掃除したところ、その下の黒いところは何かというと溶けたABSが隙間に回り込んだもの。
ノズルと先端はそりゃきっちりがっちりと締め込んでいたのだけれども、それでもこれだけの回り込みが発生する。なんというかもはや流体を扱う以上避けようがないのかもしれない。
ちなみにこんな感じで回り込んでいるので先端を外そうとするとかなり困難である。私はバーナーであぶりながら外した。
この回り込んだABSを除去するため、どこのご家庭にもあるM6サイズのダイスできりきりとねじ切ってABSをそぎ落としていく。

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ABSをそぎ落としてすっかり綺麗になったノズル。
先端部分ははんだごてで暖めながら細いリード線なんかを押し込んだり、はんだごての先でぐりぐりしたりしながら綺麗にしておく。

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そんな感じでメンテナンス完了。
我が家の Cupcake CNC は無事復活したのでした


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なんとなくマイコン制御ボードのアップデートがよくわかんなくてほったらかしていたのだけれども、ようやくコツをつかんだのでメモしておく。

・RipRapマザーボード
普通にコントロールしているときのようにPCとマザーボードをシリアルで接続。
ReplicatorGからUpdateを選んでとんとんとんと選択していき、最後の “Upload” ボタンがあるダイアログに来たら書いてある指示通り
「マザーボードのリセットボタンを押して、その直後にUpdateボタンを押す」
マザーボードのリセットを押してみると、その直後DEBUGランプ(赤)が1~2秒ぺかぺかしている間が存在する。その間にUpdateをかければよい。
これはそんなに難しくない。

・Extruder Controller
PCからのシリアルケーブルをマザーボードではなく Extruder Controller につなぎ直す。直接 Extruder Controller にUpdaterを流し込んでやる必要がある。
ReplicatorGからUpdateを選んでとんとんとんと選択していき、最後の “Upload” ボタンを押すタイミングが難しい
「Uploadを押した0.5秒後くらいにExtruder ControllerのResetを押す」
このへんリズミカルにぽぽんと押していくのだが、そのタイミングが難しいっぽい。
何度もチャレンジして体で覚えるのが吉。

この Extruder Controller のアップデートが手こずった。
本当はもっと簡単で、うちの奴がおかしいのかなあ。


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Cupcake CNC が楽しくてがっしがっしと出力して遊んでいたらもう壊れてしまいました……
金属のノズルが上の樹脂製の筒にねじ込みで入っているんだけれども、それがねじ山を壊す形で押し出されて素材ごと下にすっぽ抜けてきました。こうなると樹脂製の温度障壁内部のねじ山がだめになっているので組み立て直しても使い物にはならないという状態。

このへんは先達である水星工房さんでも同様の問題に出会っていてその記事が大変参考になる。私は、ここの記事を前もって読んでいたので今回も何が起きたのかを瞬時に理解することができた。ナレッジメント大切。

こういう状態になるのはノズルのどっかで素材の樹脂が詰まってしまうのが原因。
Plustruder は先の細いノズルからとけた樹脂を射出するために、かなりの圧で押し込んでいる。なので、なんらかの原因でノズルが詰まったときも上から強い圧力で素材を押し出すのが止まらないためそれに耐えきれなくてノズル全体が下に押しやられてどこぞが破損する。
このような状態になりやすいのは

  • ヒーターが暖まっておらず素材が溶けなかったため
  • 熱障壁とヒータの間に素材が入り込んで詰まってしまったため
  • ヒーターのニクロム線が切れて温度が下がったため
  • ノズル内にゴミがあり、素材が詰まったため

といった原因が考えられるらしい。

私の場合はヒーターで加熱した状態でうっかり長い時間(20分くらい?)放置してしまった事が原因だと思われる。ヒーターは220℃で調整されるが、実はこの温度ではABSは「焦げていく」。通常は溶けて柔らかくなったあとすぐ押し出されるのと冷えた素材が矢継ぎ早にやってくるので問題はないのだけれども、じっとしているとだめで焦げてくるんだよな。
たぶんそれが原因でノズルの先端がつまり気味だったのだと思う。

こうなると熱障壁(耐熱樹脂の筒)のスペアを購入して交換するしかないので、Makerbotに発注をかける。どっちかというと今後のメンテナンスのためにノズル部分一式のスペアパーツキットを買っておくのが良いと思われ。
使い込んで分かってきたけれども、このヒートノズル周りとステージは消耗品に近くてこまめなメンテナンスが必要。
その辺のメンテナンスノウハウもナレッジベース化しないとならないねー。

そんな風に嘆いていたら水星工房のよしだまきさんが予備のPEEK樹脂熱障壁を譲ってくれることになった。感謝。試してみたかったのですよね。
PEEK樹脂だと堅くてねじ穴を壊してノズルがすっぽ抜ける悲劇は無くなるらしいけれども、障害発生時はその分一つ上のアクリルリングが壊れてノズル全体が落ちてくるらしい。
まあ、リングの方が筒より補修しやすいかなー。


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Cupcake CNC は積み上げ式の3Dプリンタなので空中に浮くような形になっている形状は正常に出力ができない。以前、フィギュアヘッドを出力した際にあごが落ちている写真を見せたと思う。

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一応 Skeinforge の Raft という設定を行うと、こういう宙に浮いた形状の下に土台を生成して解決してくれるオプションが存在する。
これを使うと型はできるけれども、土台を引っぺがす作業をしなくてはいけないので少々めんどくさい。
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サポート付きで出力するとこんな感じ。一見なんじゃこりゃーという風にみえるけれども、サポート部分は本体部分とそんなにくっついていないし薄い板状になっているので手やラジオペンチを使ってもぎゅもぎゅともぎり取っていける。
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サポートを取っていく様子。
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左がサポートあり。あごの形がちゃんと残っているのがわかるでしょ。
なので必要なところでサポートを使うと本当に効果的だったりする。

サポートというか土台出力があるのであれば 3Dプリンタ らしい複雑な形状も出力できるはず。
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いぜんちょろっと紹介した “Wobble Arrester” を作ってみることにする。
http://www.thingiverse.com/thing:2151

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部品を出力、これだけあると丸1日くらいかかったりするけれどもそれもまた楽しみである。

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Zテーブルナットの振動をわざと遊ばせる部分についてはシンプルな改良パーツが提案されていたのでそちらの方を利用する。
http://www.thingiverse.com/thing:3076

このパーツはさらに改良されてピンを用意する必要もなくなったようだ。
http://www.thingiverse.com/thing:3079

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Zテーブルの移動を上下のみに制限するためのガイドレール。シャフトを取り付けるために、Cupcake CNC の前面にねじ穴を開ける必要がある。
シャフトの軸受け部分は、オリジナルではプラスチックブッシュを使っていたが1/4インチシャフトとそのブッシュは日本で手に入りにくいのであきらめる。シャフトは 6mm のアルミパイプを使用。
よしだまき氏によると 8mm のパイプをブッシュ代わりにすると 6mm のパイプに合うそうなのだけれども、ちょうど良い肉厚の 8mm パイプがすぐ手に入らなかったのでそれもあきらめる。
結局、6.2mm の穴を開けて直接パイプを通しているのだが、シリコーンオイルをつけておけばそれなりに使える模様。若干滑りが悪いけれども、Plastruder の重みでなんとかなっているみたい。

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Zテーブル受け。多少軸がゆれてもここが遊んでZテーブル自体は動かないというのが目的。ナット受けのピンはこの型だと回転時に壮大に遊ぶので丸めたビニールテープを隙間に挟んで動かない様にしてみた。

そんなこんなで改良を施したおかげで出力モデルの縦方向に周期的な波がでる現象は押さえられるようになった。
すごい効果的かというと、まあまあな感じ。今度は Plastruder の質が気になってきてそっちの揺らぎで劇的に良くなった様には見えないのが難点。
でもこの改良部品の製作そのものも楽しく、ずいぶんと出力慣れしてきた。


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Cupcake CNC が実際に動作している様子は眺めていても楽しいので動画に仕上げてみた。
内容はいつもの文脈なのでニコニコ動画。

自分が情報を集めている時に、通しでの作業を見てみたいと思ったもののそういう動画が存在していなかったので編集なしのものも作ってみた。41分という時間自体がネタでもある。

動画中で使っているBGMはこちら。利用はご自由に。
Download: cupcakecnc_bgm01.mp3


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Thingiverse に makerbot upgrade part というタグがある。
そこのタグには、Cupcake CNC 用の便利小物が集まっている。それらの多くは3Dプリンターで出力すれば使えるので、Cupcake CNC 自身でどんどん作れるという面白い循環を生み出している。

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よしだまき氏に先日イベントで配布したという Cupcake CNC 紹介小冊子を見せてもらったのだけれども、そこにあるおすすめ改造パーツの “Fanboy” が気に入り是非とも作ろうと思い立つ。

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いやー、もう何度も言うけど、こういった形状を自宅で形成できるのはすばらしいわ。
しかもデータのやりとりで世界中の人が同じ形状を手にすることができるわけだしね、自宅がパーツ工場になる以上の意味を持っているよこれは。この感覚は分かっているようでいても、実際に体験してみると全く違うというか、なんか物凄く未来的かも。趣味の電子工作とかも、どうやってみんなにそのものを伝えるかという命題があったのだけれどもそういったものの答えの片鱗を垣間見させてくれる。そんな感じ。

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出力したマウンターに40mmのファンを取り付けて、あとはこれを Cupcake CNC のZテーブルにくっつけるだけ。
ちなみにファンの電源は 12V で、Extruder の C+/- に接続。

もうひとつスゲーと思って制作準備を進めているのが ”Wobble Arrester”
これも、よしだまき氏が自身の Cupcake CNC に組み込んでいるので気になったものだけれども、最初なにをするものかさっぱりわからなかった。動画でただ Zテーブルがきゅりきゅり上がっていく画をみてようやく理解。以前書いた、ねじ切りとボルトの中心がずれていることでZテーブルが周期的に動いている現象を押さえるためのクッションとテーブルを押さえるスタビライザーだった。これは欲しい。
Cupcake CNC の問題点をユーザー達が解決していく姿がまた面白いのです。


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前回ちょびっと書いたけれども、うちのCupcake CNC はXステージとYステージの移動量アスペクトが違っていてYステージの方が正常量移動していない。
40x40mm正方の物を出力しても40×42.25mmとなってしまい、Y軸方向にちょっと伸びた形ができてしまう。
これを修正したくてその直し方をずっと調べていたのだけれども、この度ようやく判明した。

修正する箇所は ReplicatorG のマシン設定ファイル machines.xml というファイルの中。
マシン設定の中で Cupcake CNC を探すと、そこに <geometry> という構造があって、その中で定義されている。


<geometry type="cartesian">
<!-- different pulleys on X and Y axii -->
<axis id="x" length="300" maxfeedrate="5000" scale="11.767463"/>
<axis id="y" length="300" maxfeedrate="5000" scale="11.767463"/>
<axis id="z" length="300" maxfeedrate="150" scale="320"/>
</geometry>

という記述の y scale 部分を変更すればよい。
うちの場合は 40mm が 42.6mm になっていたので、11.767463 を 11.049261 (= 11.767463 * (40.0 / 42.6)) に変更した。

これで出力はばっちり修正。正方形が正しく正方形として出力されるようになった。
いや、すっきりした。

ちなみに Z軸も計測したけれども、こちらはズレがなかった。本当に Y軸だけだったみたい。
このへん、個体差が考えられるので、Cupcake CNC を入手された際は是非とも 2x2x2cm くらいの立方体を出力して自分のマシンにおかしいところはないかをチェックしてみて欲しい。