コメを噛め

コメを噛め

rerofumi の電子工作メモ

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Cubify(3D systems)が発売した 3Dスキャナー ‘Sense’ を購入してみた。
Cubify は3Dプリンターを売るブランドで、Sense はそのプリンター用のモデルをスキャンで作るという一連の流れのためにラインナップされた。

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センサーから見当付くように PrimeSence社の奥行きセンス技術を使ったもの。大きさも思ったより大きくて、平たく言うと Kinect に取っ手が付いたもの。
んじゃ Kinect で良いじゃんという事になるんだけれども、Kinect は人間のをセンスするためのものだから人の大きさにあわせてあって小さな小物をセンスするには役立たない。……と思っていたんだけれども、Kinect for Win だと 60cm サイズのマクロもいけるとかいう情報があるな。
Sense は 35cm 距離もサポートしているのでこれは、と思ったのだけれども Kinect との差違はなんかなさそう。

Sense は3Dスキャンソリューションですので、アプリがセットです。重要。
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Sense アプリで撮影を押したら対象物の周りを動かして撮影。その際、背景もトラッキングしていて PTAM 的な演算からカメラの移動と視線を認識し対象物を捉えていく。
この辺は他の Kinect 利用の 3Dスキャンアプリも大体同じ。
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撮影が終わると3D空間として構築される。
撮影していない裏面は当然存在していない。
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ここからが Cubify らしいところで、3Dプリンターに適したデータとなるように加工ができる。
必要な部分だけクリッピングしたり、穴を塞いで厚みのある形状に変換したり。結構無茶な穴が空いていても埋めてくれる感じ。
そもそもで背景除去は自動的にやってくれる、カメラの移動が少なかったから床も写っているけれども本当になめ回す様にオブジェクトを撮影したら床や背景を削って対象物だけを抽出してくれる。状況によっては余計なお世話かもしれないけれども、このへんの機微が「3Dプリンター用」として手軽に扱えるようになるためには必要なのかも知れない。

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モデルのメッシュはこんな感じ。
スカルプトモデラーの技術が入っていて、アダプティブなメッシュになっている。凹凸が多い所はメッシュが細かくなっていて、そうでないところはそれなりにってやつね。

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皆さん知りたいであろう、完成品フィギュアをスキャンしたらどうなるか。
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正直きつい。
30cm は離さないと情報が取れないのだけれども、それだけ離すとねんどろいどのサイズでは完全に解像度が足りなくてつぶれてしまう。むしろヘルパーがスキャンできている方が面白かったりする。
フィギュアに限らず、大きさとして 25x25x25cm 以上のものでないとまともにスキャンできないというのが結論か。

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でもやっぱり諦めきれないよね、フィギュア。
ちょっと頑張って撮影してみるよ。試験に使ったのは「XPたん」のフィギュア。

撮影が辛い。
カメラで対象を中心に据え距離を一定に保ちつつ円形に移動するというのが難易度高すぎる。
ちなみに背景のトラックから現在のカメラ位置を演算しているので、対象物が回転する形の撮影はNG。頑張ってカメラマンが廻る必要がある。
一周なんてとても無理なので 240度くらいで妥協、一応全周は撮影できている。
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スキャン結果はこんな感じ。
難しいんだって。

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Cubify Sense のソフトからエクスポートしたモデルを一切修正無しで 3Dプリンターで出力してみた。
サポートが下に付いているのでなにがなにやら。

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超音波カッターを駆使して頑張ってサポートを除去。

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クリアPLA だと見にくいので軽くサーフェイサーを吹いて、原型と並べる。

どうですか!
3Dスキャナーと3Dプリンターでフィギュアコピーし放題で産業に革命で市場が崩壊ですよ。そんなわけあるか。
現実、これが現実!

と、こんなんしかできないんだよ今の 3Dスキャナーと 3Dプリンターと言いたかったのだけれども、普段モデリングと3Dプリンターで遊んでいる身としては「えっ、ここまで撮れるんだ。意外と頑張っているじゃん」という感想を抱いてしまったのでした。
スキャンもプリントも普段目にしている工業完成品のクオリティにはほど遠すぎる感じだけれども、それでできることを理解してそこまでの範囲で上手いこと利用すると使えるんじゃ無いかと思えてくるところ。

使える使えないはともかくとして、面白いからいまのところはこれでいいや。

さて、Sense のハードは思っていた以上に Kinect そのままで、ソフトウェアも下層に OpenNI が居たりしてほんとそのまんま OpenNI デバイス。
なので、Kinect 用のスキャンアプリがそのまま使える。
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skanect は撮影結果を動画で保存して、後でそれをもう一回読み返しながら力一杯計算して精度を上げるのでかなり綺麗な結果を得られのが特徴。体験版で試したのだけれども、購入するとテクスチャも出力できるらしい。
けど、空間全部撮影しちゃって Sense みたいに対象物を切り出すのはやってくれない。
結果のモデルデータを編集すること前提かなー。

と、取りあえず一通り遊んでみたレポートでした。

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