posted by rerofumi
2010/11/29 月曜日 2:53:39
パーソナルファブリケーションという単語に乗ってか乗らなくてか物作りのための楽しそうな機械を色々と導入してきた。
Makerbot の CupcakeCNC パーソナル3Dプリンター。オリジナルマインドの卓上CNCフライスキット。
どちらも小さくて安価なものだし、なにより操る人(私)の腕が大したことないのでそんなに凄いものができるわけじゃない。でも、それで作れるようになった物がある。
凄い物や完成度の高いものじゃないけれども、そこそこの物をそこそこの手間と時間でそこそこそこそこに作成できる環境が手元にあるのだ。
これで割となんでも作れるぞ!!と思ったところで「それで何を作るの?」という壁が目の前にあった。これまでもおぼろげに見えていたものの、工具を手に入れ、それをある程度操れるようになったところでさてどうしようと考え込んだのである。
技術屋は割と道具に惚れ込んで、道具を使いこなすことに腐心しがちである。極端な話、道具を使いたくてそのために何かを作ろうとする。道具が目的であり、その目的を満たすために仮の成果物を据えるような行動をとってしまうのではないか。
それは良くない。
道具はあくまで使うためにあるのであり、何のために使うのかというと目的を遂行するために使うのである。
つまり、本当に作りたい物を持っていなくてはいけない。
そしてそれを作るために最適な道具を選んで駆使するのである。
道具もそろってパーソナルファブっぽくなってきたはいいものの何を作ろうかと悩んでいた私のところに 1通のメールが届いた。
ごえもんP というか Magical-Soft の人というか、学生時代に SPS-NET というパソコン通信で知り合った人。インターネットへ場を変えた後もトゥルーラブストーリーのファンコミュニティーで再会したりゆるゆるとおつきあいさせていただいている。あの頃 TLS に入れ込んでいたメンバーはこぞってアイドルマスターというかニコマスクラスタへシフトしていったのだけれども、私はそんなに入れ込まなかったから久しかったのですな。
まあ、そのへんはいいや。で、メールに何が書いてあったかというと
「アイマスのライブで振りたいからフルカラーLEDのコンサートライト(サイリューム)を作ってくれ」
といった要望。
LEDコンサートライトといえばニコマスクラスタやニコニコ技術部界隈ではメジャー(?)なアイテム。yytuneさんの実装が一番有名どころ。
簡単に済ますのであればこの yytuneさんのコンサートライトを作成して渡せば良いのだけれども、いやまてよと思いを巡らせた。この「コンサートライトを作って欲しい、作ろう」という要望こそが貴重な『制作の目的』である。物自体は目新しくもないけれども、それを自分の手と工具を使って再実装していくというのは得難い体験となることだろう。
設計、フライスでの基板作成、マイコン電子工作、ファームの実装、外装を3Dプリンタで作成、組み立て、リリース。これらの行程をすべて自宅でできたなら、それはパーソナルファブリケーションと言えるのではないだろうか。
そう考えた私はフルカラーLEDコンサートライトの作成を請け負った。
焼き直しでも二番煎じでも良いのである。実際にできる機会に出会えた事が重要なのだから。
そんなこんなでコンサートライトを作成します。「いるみさん」はそのコードネーム。
プリント基板のフライス作成やそのツールをちびちび作ってきていたのを見ている賢明な方はもうお気づきのことであろうが、制作依頼が来たのはもうずいぶんと前の事である。たしか7月末あたり。
そして次のアイマスコンサートは 2011年1月10日である。それまでに完成させなくてはならない。しかもできれば冬コミに間に合うといいなとかいわれているし。
依頼を受けてからある程度のところへくるまで水面下での作業だったのだけれども、そろそろ形になりつつあるのといい加減期限が近づいてあわあわし始めているので表に出そうというあたり。
はてさて、どうなることやら。
12月 2nd, 2010 at 13:14:25
こんにちは rerofumi さん
パーソナルファブリケーションの真髄を極めるような内容ですね。
「無いものは作る」工作好きにはたまらないですね。昔カッターナイフぐらいしか持って無かった工作少年が個人所有のCNCを使って物を作る工程を楽しめる幸せって事ですかね。
完成を楽しみにしてますよ。
12月 7th, 2010 at 0:20:18
そうそう、子供の時にできなかったことを今できるようになるという楽しさはありますよね。
同じように、これまで既製品を買うしかなかったものが自宅で作れるようになるというのもうれしいものだと思います。それがどんなにしょぼいものでも。
その楽しさ、うれしさをみんなで味わっていきたいところです。