コメを噛め

コメを噛め

rerofumi の電子工作メモ

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“DSO 138” は JYE Tech が発売しているオシロスコープキット。
前回作成した “DSO 068” の後継機で見やすい高精細カラー LCD になっているなど進化が見られるけどお値段が下がっているという嬉しいモデルで現在の主力。

寸評

組み立て難易度 ☆☆☆☆- ムズい、中級者以上向け
操作しやすさ ☆☆☆☆- ボタンは少ないけれども混乱しない
表現力 ☆☆☆☆- キレイな波形
使える度 ☆☆☆-- 解像度が実質50kHzに下がったのが痛い

LCD や表示される波形はキレイなのだけれども、068 がサイン波で 500kHz まで行けたのに対し、50kHz 止まりというのは残念ポイント。
そこまで解像度が必要の無い初心者が手にする事を考えると扱い易くて悪くないのだけれども、キットとしての難易度が妙に高くて電子工作初心者にはお勧めしづらいという感想。

初心者には組み立て安さと使用感のバランスが良い “DSO 068” を強くお勧めしたい。使っている内に 068 の解像度に不満が出てきたところで 138 に手を出すというのが良いパターンであろう。



マニュアルは英文のみだけれども、わかりやすさは向上していて組み立てる際はそんなに英文を読まなくてもいける。
秋月電子通商のページでマニュアルが読めるので、これを見て作れそうだと思った所で手を出すことをお勧めしたい。


キットにはチップ部品のみハンダ付け済みのモデルと、チップ部品も手でつけるモデルの二種類がある。
チップ部品も付けるモデルでも、マイコン(STM32)だけは実装済み。
これはよほどの自信が無い限り、チップ部品実装済みを選択した方が良いと思う。


手実装するのはチップ抵抗と三端子レギュレーター、オペアンプの三種類。
チップ抵抗は 2016 なので、普段 1608 以下を手ハンダしている人にとってはおやつ感覚でサクサク付けていける。


リード部品がかなり多くてこっちのが大変。
組み立てマニュアルには抵抗とコンデンサーの値しか書いていないので、カラーコードや容量をパッケージから読み取るスキルが必要になる。そのへんはマニュアルでフォローされていない。
Engadget JP の記事内にもあったけれども、添付の抵抗が 5本カラーコードな上に色が本当に判別できない。赤と茶と紫の区別が本当にできない。困った。
結局テスターで1本1本測定し分別してから使うという羽目になった。
そういう意味ではテスター必須よ。

コンデンサーは値を読むのがそんなにめんどくないので目で見て分別する。


ひーひー言いながら何とか完成。
068 もそうだったのだけれども、ランドが小さくて本当に半田づけが難しい。BC型のコテ先でガッツリ温めながら組み立てていくことをお勧めする。

トラブルシューティング

残念ながら私が組み立たとき、一発で動作させることはできなかった。残念。
そこから計器(既に持っているオシロスコープ)を使って調査を始めるのだけれども、オシロスコープキットを直すのにオシロスコープを使うという鶏卵もんだい。

引っかかった所は以下の点。

・LCD が点灯するものの真っ白
緑色のLEDがあってこれが点滅はしているのでプロセッサは動作しているのだけれども LCD の表示が行われないといった状態だった。

組み立てマニュアルにはこの辺のトラブルシュートフローが丁寧に書かれている。
どうもこの状態は LCD のコネクタが不備っぽい。LCD コネクタを調べるために信号線1本1本 ON/OFF していくテストモードもあるらしい。用意周到だ。

で、トラブルシュートフローに「LCDコネクタが全部繋がってないんでね?」と書いてあったので、試しにコネクタの半田を1つ1つ溶かして行ってみたら無事治った。どこかイモ半田になっていたらしい。

・動作するものの直線しか表示されない
これが本当に分からなくて、オシロスコープで信号線を確認しながらおかしな所をあぶり出していった。
で、結局これらも全てイモ半田、てんぷら半田が引き起こしていたものというしょんぼりした結果に落ち着く。

ランドが小さくハンダ付けが難しいというのは先に書いたが、そのせいでハンダ付けが不十分になりやすく一見良さそうでも実は接続されていないという状態を引き起こす。あとなんか付いてくる部品の足も半田が乗りにくい。

問題部分の半田をコテで再度溶かしてみると、きゅぽっとコテ先に吸い付いてホールが見える奴がいる。
これがハンダ付けできていない奴だ。
きちんとハンダ付けするためには、ホールの中に半田を流し込まないといけない。そしてなかなか流れていかないときたもんだ。

ハンダ付けの際には十分に注意されたし。
正直これならチップ部品の方がやりやすかったよー。


苦労したけれどもなんとか完成。


マニュアルにもあるように可変コンデンサーでプローブの容量を調整して矩形波が鈍らない様にするのだけれども、この時の調整には通常金属でないプラスチックのドライバーを使うのだけれども、これは添付していない。既にプローブを持っている人なら手元にあるだろうから容易に行えるだろう。


OKボタンを長押しすると数値情報がオーバーレイ表示される。周波数カウンターもここにある。
これは割と良い感じ。
068 であった FFT は無くなった模様。


波形表示はなかなかキレイで良い感じ。
といっても二現象できるわけじゃないし、だいたいの波形見れれば良いという向きには 068 でも十分だったので LCD の綺麗さのみでお勧めできるかというとちょっと考えてしまうところ。

初心者が始めて触る計測機としてはかなり良い感じなのだけれども、キットの作りにくさが利点を相殺している感じ。
サンプルレートが低いのが残念だけれども、お安いし、安い割りにはそこそこ使えるのでテスターの次に揃えるツールとして是非試して貰いたい。

キットとしての難しさもそれはそれで楽しいもので、作る楽しさを得たいという方向には良いかも知れない。

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