コメを噛め

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rerofumi の電子工作メモ

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第九回『パターンの切削』

■ 基板カッターによる切削
プリント基板加工最大の特徴&山場であるパターンカッターによる切削です。
最大の特徴という割には特殊な事はあまりありません。一番の特徴は基板加工用のV字カッターを使うくらいでしょうか。
昔は半月V字カッターを研いで使うなどが一般的でしたが、現在ではオリジナルマインドさんの基板加工用カッターである「美濃昌典」「土佐昌典V」を使うのが良いと思います。多少お値段が張っても切れ味の良さには変えられませんので。
V字カッター以前ではできるだけ細いエンドミル(0.5mm程度)のものを使っていた様なのですが、あまり細かい精度が出ない上に良く折れていたそうです。
現在の 0.25mm 幅でパターンが彫れるというのは、それなりに進歩した結果なのですね。

■ 注意点
パターン切削の注意点は「銅箔面を水平に保つ」最初から最後までこれにつきます。
パターン切削はフライスの刃で銅箔面を薄く剥いて絶縁させることで作っていきます。V字型のカッターは先端がとがっている事から、浅く削れば細く、深く削れば太く掘る事ができます。

そのため、銅箔板が水平になっていないと刃が浮いてパターンが途切れたり、逆に沈んで太く掘ってしまいパターンが無くなってしまったりということになります。あくまで銅箔面のどこでも同じ太さになるようにしなければいけません。
市販されているプリント基板加工用のV字カッターは表面から 0.1mm の深さで切削する事を想定して作られている様です。どこでも 0.1mm の深さで掘れるというのは案外難しく、目に見えない反りや傾きで容易に失敗してしまうものです。
個人的な経験から、プリント基板のパターン切削にはクランプ固定は適していないと思います。
両面テープを加工領域全域にまんべんなく張りつけ、均等な厚さで貼り付けるのが
もちろんそのときに傾いたりしないように、両面テープが折り返していたりゴミを巻き込んで厚さが不均等になっていたりしないよう最善の注意をする必要があります。

■ カッターが切れなくなるとどうなる?

基板加工カッターも刃物ですのである程度使ってくると切れ味が鈍ってきます。
半月V字カッターの頃は自分で研ぎ直すというのも良く行われていましたが、2枚刃の奴は磨げるのでしょうか?個人的には試したことはありませんし、なんだか上手くいかなそうで怖じ気づいています。
その基板加工カッターを実際に使い込んでいき切れなくなるとどうなるかですが、これは掘ったパターンの後、カットのサイドに「バリ」が現れ始めます。刃の切れが悪くなるほどにバリの量が増えていく感じです。なので加工後基板表面を素手で撫でてバリがあるかどうかを確認してみてください。
切れなくなってバリが出るのにまだ使い続けているとどうなるかというと、これが先端の刃がぽっきりと折れてしまいます。
彫れないのに進む力は一定なので、横方向に力がかかるようになりポキッといってしまうのですね。
折れたら寿命だと刃を交換するのも良いのですが、その直前で新しい刃に変えた方が精度の高い工作が続けられることでしょう。

「美濃昌典」でどれくらいの寿命があるのかというと、大体 150x100mm サイズの銅箔面を 10枚つかったあたりで1本といった所ですかねえ。
1本3480円+板1枚180円×10 = 5280円がランニングコストなのですが、それでも自作基板の魅力と天秤にかけるとお安い方では無いかと思うのです。

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