TCGS for win を売ってみよう

GumroadAmeroad といった個人間少額決済代行サービスが話題である。
個人間売買ということでオークションとどう違うの?といった疑問はあるのだが、どうやらデジタルデータというコピー前提品を扱うことと少額決済を気軽に登録、購入できるあたりが目新しいらしい。

ダウンロード同人販売でもできていたやんとか思わなくも無いけれども、登録の手間もほとんど無いしメチャクチャ簡単なのは確か。
その分入金が引き出し可能額に達するかどうかの確度も無いけれどもそこは仕方があるまい。
WEB投げ銭感覚でいるのが良かろう。

こういうのをみると自分でも e-Book とか売ってみたくなるけどすぐに売れるようなデータは持っていないで焦れてみる次第。
また、システム的にもどんな案配なのだろうという疑問もいくつか沸いてきた。
やっぱり自分で販売登録して試してみようといったのが今回のお題。

新規で無くゴミでもいいからすぐに売れるデータはと考えてみたら、昔 PSP や GP2X 向けに作っていたゲームって実際に遊んだ人は少ないんじゃ無いかと思い至った。komevader なんて自作ハードだから、MTM1 で持ち込んで遊んでもらった以外は特殊なパターンを除いて動いているところなんか存在しなかったはず。
今でもソースコード含めフリーで公開しているけれども、それをまともに遊べる人は居ないはずだよなあ。
これらは SDL ベースなのでマルチプラットフォームなコードになっているし、実際開発は Windows+Cygwin 上でやっていたのだけれども Windows のバイナリを配布したことはなかった。
なので今回、VS2010 C++ でビルドし直して Windows で遊べるバイナリを作ってみた。これを販売ネタとしてみようと思う。

元々 Windows 版なりなんなりでバイナリを配布していなかったのは、画面が90度横倒しになっていたりキーだと遊びにくいとかそういった問題もあるからなので、あまし期待しないでね。


収録タイトルは
komevader for win
TCGS-CAR for win
TCGS-CAVE for win
の 3本。
Ameroad での販売はコチラ → http://ameroad.net/l/doH
Gumroad での販売はコチラ → https://gumroad.com/l/BDxI
ではよろしうに。

おまけ。
TCGS シリーズで TCGS-BLOCK というブロックくずしがあって、これも Windows バイナリを作ってあるんだけれども今回販売するパックには含めずここで無料配布しておく。
これは東方プロジェクトの二次創作物として作られているため。今のところ Gumroad の様な決済系で東方Project の二次創作物の販売が認められていない方向っぽいみたいなので、それを避ける意味合い。(将来はどうなるかわからんけど)
今回はTCGSパックがどんなものかというサンプルとして提示するアピール、という意味合いも持たせてフリーにしておく次第。

Download: tgcs-block_win_20120304.zip (5.54MB)

まあ、今回は Gumroad, Ameroad のお試しなんだけれども、それは気が向いたら投げ銭としてお願いしたい程度として。それとは別にブロック崩しで遊んでみてね。

[追記 Mar.07.2012]
今回 Ameroad/Gumroad に試しで登録したのは、一度販売したものを改定して更新かけることができるかを確認したいからであった。デジタルデータであるメリットの一つとして迅速な更新が考えられるからだ。
これで全仕様を満たしていない書きかけの電子書籍を販売し、逐次アップデートしていくといった形態がとれるのかどうかを知りたかった。

Ameroad は掲載時の Mar.04 時点ではデータと値段の差し替えができず条件を満たしていなかったが、Mar.07 の時点では全ての要素を更新できるようになっておりかなり融通の利く仕様に変貌した。おまけにカテゴリタグが半固定ながら付いており、徐々に使いやすくなっている印象。

Gumroad は基本コンセプトが「URL を販売する」ものなので、URL が指し示す先を更新すればアップデートに近い事は行える。まあシンプルであることが身上みたいなもんだしね。
URLの差し替えもできるけれども、それをやってしまうと既に販売した人たちに気づいて貰いにくいかもしれない。

まあなので、発売後の更新は一応できるけれども告知が面倒というあたりに落ち着くのかな。



ぐだぽよ~


2011年秋アニメで一番ツボにはまってプッシュしまくっていたアニメが『gdgd妖精s』
そのキャストさん達のサイングッズをもらったよという単なる自慢話。

シルシル賞受賞ですよ、シルシル賞。キャストの水原薫嬢にお褒め頂いたのですよ。
水原薫さんと言えば「『らき☆すた』のみさお」と良く言われるけれど、個人的には「『かなめも』の代理」なのですな。『かなめも』OP曲で劇中と違った綺麗な声での歌唱は別人じゃんとか思って感心したものです。最近では『フォトカノ』の先輩ですね。
水原薫さんボイスのUTAU音源「みずお」で作った曲も 2曲しかないし(1,2)。
その程度のライトなファンが賞をもらってしまってすいません。

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ニコニコ動画との出逢いを教えて下さい

ザ・インタビューズに質問が来ていたので返答を書いたのだけれども、どうやら絨毯爆撃なテンプレインタビューだった様なのでBlogにも掲載。
ちょっと気合い入れて書いてしまいもったいないので。

~~~~~
お話としてはずずずーーっと遡って 2003/08/23 の事になります。
「ふぁふぁファクトリー」というアニメレビューをメインとしたサイトを日記のようにやっていたのですが、そこと「Linux萌え萌え大作戦」というLinux系開発サイトの間で “VirtualSynchroChat” というWEBチャットページを開発し公開していました。
アニメ視聴の際に実況チャットをすると楽しいというのはパソコン通信時代からの定番であり、その楽しさをとてもよく知っていました。ですが、深夜アニメが主流になっていくに伴って実況チャットがやりずらい状況となっていきます。まず第一に、地方局では放送の日時が異なります。第二に、レコーダーに録画してみるタイムシフト視聴が当たり前になってきたこと。この二点から実況チャットがやりづらい状況であることを問題視していました。
そこで “VirtualSynchroChat” という時間軸をずらせるチャットルームを作成しました。
アニメが始まるタイミングでポンとスタートを押すと、以後時間が経つごとにログが表示されます。自分が発言をするとスタートボタンを押してから何秒の地点での発言かというのを時刻付きでログに記録し、それ以降の人が同様にチャットを始めるとコメントが発言時間に表れるというものです。このようにみんなで時間差でコメントを重ねていくことであたかもリアルタイムで実況をしている様な状況が作り出せるのです。
感の良い人はもうお気づきですね。「ニコニコDVD」とほぼ同じシステムです。

インターネットの発達で、情報の蓄積ができるようになった、距離を超越することができるようになった。じゃあ今度はサーバーへの蓄積に因る『時間の超越』が行われる時代だろうと当時は考えていたのです。
流石に私の様な名も無い人間がインターネットの端っこでひっそりと公開していたサービスなど日の目をみるわけがなく、VirtualSynchroChat は2004年末以降特にメンテナンスをすることもなく埋もれていきました。
しかし、VirtualSynchroChat のアイディアや疑似タイムシフトによるエモーションの同期という時代は絶対やってくると確信だけはし続けていました。

2006年12月末、当時はまだ2ちゃんねる管理人として名が通っていたひろゆき氏が自身のブログで「このサイトちょっと面白いんだけれども」という大胆なステマを行い話題となりました。「ニコニコ動画(仮)」が初めて世間の目に触れた瞬間です。
当時は Youtube にコメントを重ねるというシステムでしたが、VirtualSynchroChat 開発者として何をやりたいかはすぐに理解ができました。そして、同期のためのタイムラインソースを Youtube から持ってくるというアイディアに感服し凄く悔しい思いもしました。そしてこれは絶対に面白いぞと目をつけます。
ですが私もひねくれ者ですので、自分が成せなかった事を成功させたニコニコ動画に軽く嫉妬してしばらくは寄りつきませんでした(笑)。
そうこうしているうちに流行に敏感なサイトの人たちの間でニコニコ動画が定着していきます。2007年2月あたりになると「レッツゴー!陰陽師」と「テニミュ」がヒットコンテンツとして確立していました。あまりにも盛り上がっているので「そんなに話題ならみてみるかな」とそれら話題のコンテンツをニコニコ動画で視聴したのが実質初めての体験です。
そのとき初めてみた「弾幕」にいたく感心し、エモーショナルの時間軸共有というものがどれだけ面白いかを再認識しました。

さてそうこうしているうちにニコニコ動画が Youtube から閉め出され、smilevideo を自前で立ち上げます。
ここでようやく日本の投稿動画サイトが誕生します。
全然関係がないのですが、このとき私は「コメを噛め」という電子工作ブログの方で半田付け実演ビデオというものを作成していました。電子工作を再開して色々わかったのですが、最近は半田付けのしかたを知らない人も多かったのです。そこで、入門者に『半田付けはこうやるんだよ』ということを知ってもらううまい方法としてショートビデオが使えないかと考えての事です。
まあ自分のブログに張る事はできたので目的は達成できたのですが、じゃあこのような自作解説ビデオのようなものを投稿できるベストな場所は無いかと探し始めました。権利的に問題の無い自作ビデオを久々に手にしたので、その頃いくつか立ち上がり始めていた Youtube 後追いの動画投稿サイトを試してやろうと思いついたのですね。
結果、ニコニコ動画以外はあり得ませんでした。
まあ、パナソニックやソニーのビデオカメラCMを見てるとわかるのですが、通常個人が撮影するものは家族のビデオだったり友達同士で撮影するといった『仲間内の記念撮影』であると定義されちゃっているのですね。それが有象無象の動画投稿サイトでも同じだったというと伝わるでしょうか。自分が取った身内の動画を、ネットで知り合いに見せるといったユースケースで閉じてしまっている。
私が目指すのはそこじゃ無かった。エンタテイメントコンテンツを自作して不特定多数に見てもらいたかった。
それに適した『場』がニコニコ動画しかなかったのです。

こうして投稿した初めての動画が
「スクロールクロックキットの作成」 (http://www.nicovideo.jp/watch/sm65811)
になります。
前述の通り、この動画は前もって自分のブログ「コメを噛め」で公開していたものの転載となります。

こうしてニコニコ動画に初投稿をしたわけですが、同時に一つ大きな野望を持っていました。
ニコニコ動画、ひいてはすべての動画投稿サイトが成功するのに一つ必要な条件がありました。それはテレビや映画からの不正転載ではないオリジナルな動画コンテンツを必要としているところにつきます。当時はニコニコ動画も Youtube もほとんど既存メディアの不正転載ばっかりでみなそれをお目当てにアクセスしているという状況でした。
Youtube はまだホームビデオが良く投稿されていたので新しいメディアの形を見せていましたが「日本人は顔出ししたがらないので動画投稿は成功しないだろう」というのが当時の定説となっていました。
かつて VirtualSynchroChat を思いついた身としてニコニコ動画はイケると思っていたというのは書きましたがそれ故思い入れもあります。このサイトが大成し、健全かつ新しいメディアの道を歩むためにはアマチュアが自主製作したコンテンツが必要であり、それが評価されるようにならなくてはいけない。そう考えていました。
そこで「動画投稿サイトにおいて素人の自作動画は受け入れられるのか」を自身の手で検証していこうと、権利的に問題のない自作動画を作って投稿を始めることになります。まあ、当時でも『描いてみた』は人気のジャンルだったのですが、そこは踏み込めないので自分の得意な分野でオリジナルな面白い動画を作れないかと日々考えを巡らせていたといった案配です。

後は大体ごらんの通りというか、なるようになっていきました。
今でこそ、ボカロオリジナル曲や動画、ニコニコ技術部動画などそこでしか見れない自作動画が沢山投稿され、当たり前の様に皆でそれを評価していますが、これこそまさにあの頃夢見ていた光景だったのだと思います。

ニコニコ動画上で「不在通知P」というP名をもらいある程度認知されたところでブログを書いたところ、ドワンゴの戀塚さんに「不在通知Pって VirtualSynchroChat の作者だったのか」というコメントをもらいました。
ああ、ニコニコ動画スタッフはあれを知っていてくれたのか、とちょっぴり幸せな気分になった次第です。

過去の関連記事: http://www.fumi2kick.com/rrtalk/archives/953



gdgd妖精s にみるコンテンツの情報フィードバック

アニメ放送開始まで全くのノーマークだった「gdgd妖精s」。
もうメチャクチャ大好きで、今期はこれ以外のアニメ視聴がほとんど停滞してしまったくらいにリピートして見返している。
放送直後から『大穴』の声が上がり、ニコニコチャンネルではホストが『大穴』タグをロックすることで大盛り上がり。今期覇権アニメと冗談で持ち上げていたら「ニコ生PLANETSスペシャル 惑星開発大賞2011 アニメ部門」で堂々の1位を受賞。一押しではないけれども、みんなが準押ししていたので1位になってしまったという微妙さがまたたまらない。
地上波放送は TokyoMX 1局、しかも深夜3時の15分番組という本当に端っこのスポット番組が注目されているのはなぜだろうか。
地上波の他はニコニコチャンネルでの配信であったが、このニコニコチャンネルと非常に相性が良かったからではないだろうか。

放送前は本当に注目度が低かった。私も一応タイトルは見かけていたけれども、15分のCGアニメで見た目も安価なCGということもありノーチェックといった具合。
最初に見始めたのは声優ファンの層らしい。TokyoMXでは「明けテレ」という明坂聡美をパーソナリティとした番組をやっており、そこの宣伝から流れてきた者、ニコニコで新番組をクロールしていてキャストの三森すずこ、明坂聡美、水原薫という名前に釣られて来た者、そういった層がまず見始めた。
で、見た者の感想は総じて「あれ?これなんだか面白いぞ?」といったものだったようだ。
見た目しょぼいCGなのに面白い。そのしょぼいCGが逆にMMD臭くて「これMMDじゃね?」という疑問が上がるのは当然のことだった。そういった疑問に対し、CG監督の菅原そうた氏が Twitter で「MMDも使っていますよ」と発言し、MMD界を中心にニコニコ動画界隈で話題となった。
私はこのタイミングで興味を持ち、2話の放送を録画予約したくち。
まあ、実際には沢山あるツールの中でモーション補佐的にMMDを使ったこともあるという感じで、実際にMMDで映像レンダリングまで行われたわけでは無い。どうも、アニメーション製作自体は XSI で行われていたっぽい。
その後、妖精達のモデルがMMD化され Windows100% に収録されたが、これはキオ氏の手によってほぼ丸ごとリファインされたものになっている。(関連記事)
なので、本編にあまりMMDは関係ないのだが、話題をかっさらうには十分なネタとタイミングであった、
興味を持って一度見てしまえば後はただ笑い転げて夢中になるのみである。

この番組、絵に描いたような低予算番組だったため当初はDVDの発売予定もあるかないかだったようだ。
そんな規模でかつ短時間で制作を回しているので、状況に応じた変化というのを出せている。
例えば、人気が出たことでOP/EDの楽曲がダウンロード配信されることになったのだが、このフルサイズOPがどう見ても後付けで無理矢理作っている。歌詞の2番と3番の曲間で『番組の宣伝もしちゃおうよ』とトークが入っているのだが、そこで『妖精が三人森の中で房子と……』と語られている。この持田房子(42)というキャラクターは3話のアフレ湖で人気を博した(?)キャラクターである。このことから、OPフル盤は少なくとも3話収録後に付け足されたものだということが読み取れる。
小規模であること、短期間であること、視聴者に異様に近い事から実際の反響を見て盛り込まれたであろうネタが結構多い。
毎回変わるEDネタもそこから来るものだろう。仕込んでおいたらみんなが気がついて笑ってくれた、ならもっと加速してやれといった雰囲気で作られている。

8話の「gdgd生放送」回では、ニコニコ動画の中でニコニコ生放送っぽいネタをやるというメタなギャグを展開しているが、このときの画面を構成しているのはニコニコチャンネルから拾ったネタであり、タグの部分に書かれている単語は全てニコニコチャンネルに実際に付いていた単語である。つまりニコニコでの視聴者が、番組内に出てきた画像を作り上げたとも言える。
この回で番組内名コメントとして取り上げられている『アルセーヌみたいな声しやがってwww』という声優ネタは、実際にニコニコ1話で流れたコメントだという説がある。実際に1話が公開されてから3日分のコメントを見てみたが残念ながらそのものは無かった(「アルセーヌ様…」というのはいくつもあった)。もしそのものがあったとしたら、ニコニコでの視聴者アクションをフィードバックして番組作成をしているということであり非常に興味深い事例となるのだが。

この様に、視聴者の反応を取り入れて短時間で反映させていくことにより一層面白くなっていくのが「gdgd妖精s」の楽しさなのではないだろうか。
アニメという枠組みではこれができる作品はそうそう無いだろう。
「けいおん!」でムギの眉毛をたくあんに見立てるというネタがフィードバックされていたが、最終話の時点だった。あれもぎりぎりの時間だったのではないだろうか。←原作1巻カバー裏マンガがネタらしい、カバー裏見ていなかったので気がついていなかった。ご指摘感謝
ユーザー側としては、こういったユーザーアクションが反映されたネタがあるととても嬉しいものである。
反面、コンテンツがハイコンテクストになってしまう問題はあるのだが、そこはバランス次第。

こういった、ユーザーのアクションやネタが番組に反映されるのが嬉しいという感覚は何に似ているんだろうと考えていた。
やはりこれは「アニメ声優ラジオ」の文脈なんだろうな。
自分のネタに対して声優が(精錬された)リアクションを取ってくれるのが楽しい声優ラジオ。それを作っている石館光太郎氏ならではな機微なのかもしれない。それを菅原そうた氏が映像的に面白く膨らませることで「gdgd妖精s」は作られているのだろう。

視聴者、制作者、配給者。その三者で距離が近く互いに情報をくるくるとやりとりできるようなコミューン形成がコンテンツを楽しくする経験の創造となっている。
一方向だったり押しつけだったりする情報の売り方は、もう過去のモノになっているのだ。



小ロットの時代を先行する専業同人

『専業同人』という言葉がある。
出版社契約せずに同人誌を売るだけで生活しているマンガ家の類の事を指している。時たま商業誌に書いているけれども、同人誌の方が活発だという人も多い。
そういった人たちは大衆人気というわけじゃないから部数も収入も大手出版会社の人気作家とは比べるべくもないんじゃないかと思うのだけれども、それなりに暮らしていける程度には回っているのだろう。

青年向け漫画とかだと数万部とかそんな数字になってきておりずいぶんと苦しい業界になっている様だ。
話を聞くとやっぱり、連載で描いてもたいした収入にはならないので同人誌を作って行くしか無いとかいう。まあ、ずいぶんと前からずっとそんな話をしているので、やっぱりそうだよなーといった感じである。

はて?ここは「そういうものだ」で済ませるところなのだろうか?
論点は『売れない作家』とかそういうところではない。「雑誌に書いていると儲からなくて、同人誌を作って売った方が儲かる」というところである。
携帯向けコミック配信も言うに及ばずで、パイが小さくなりつつあるので薄利多売になってきており原稿料も驚くほど安くなってきているとか。
まあ売れないならそのまま市場が消えていくだけなんだろうけれども、漫画業界には『同人誌即売会』という場と風習がたまたま存在していた。そして、セルフリスクで本を製作し、売ることができる。また、同人誌を中継ぎしてくれる流通業者も(善し悪しはともかく)存在している。
製本と流通が作家個人の責任で行える『小さな市場』がもう既に存在しているのである。

ここで注目すべきなのは旧来の出版流通システムより、小ロット個人生産のほうが『まだ儲かる』と断言している人が既にいるところなのではないだろうか。
もちろん日本全国の大衆に向けて生産、配送、販売するという従来の出版システムは必要だし無くなりはしない。販売数も商売としての規模も大きいため、個人がそれにかなうことは無いだろう。
しかし、大衆を顧客とする必要が無い場合。300人から1000人程度を相手すれば暮らしていけるという、小さな規模で良い場合もあるだろう。マニアうけだったり、特殊嗜好だったり、あくまで作家個人のテイストを好いてくれるファンであったり。
そういった小さな市場でうまいことやっていくというのは有りだと考えている。
チェーン店ではなくて、個人経営の定食屋といった業種形態である。

漫画の世界は既に『小さな市場』の可能性というか、実際にそこで暮らしている人がいると表現できるのではないだろうか。
これまでも語ってきたように、大量生産の工業製品だけに因らない、個人工場の小さな市場も取り入れた生活になっていくと考えている。
この同人誌を軸にした漫画業界の広がりは、他の娯楽産業でも起こりうる。
東方アレンジやボカロブームは音楽出版会社に因らない音楽市場を垣間見せてくれている。
ゲームも実は市場が小さくなったジャンル(STGとか)から徐々に同人業界へとシフトしてきている。

ソフトウェア全般も実はそんな感じで、パッケージソフトは激減している反面オンラインソフトは作られ続けている。
これまで流通そのものはオンラインで飛躍したものの、購入や資金の移動がうまく行かなかった。
そこをエイヤっと乗せてしまったのが Apple Store であり Android Store である。
小売りソフトという土壌を作ってくれたのはありがたいけど、プロもアマも同じ土俵にドン!というのと、小さなソフトが小さなクラスタを形成する仕組みが今ひとつ整っていない。

そんなこんなで、超一流しか従来の産業ルートとして成り立たないというのは今後もますます加速していくと思う。
その反対で二流三流が身の丈に合った市場規模を形成するために、小さな市場と小さな流通を形成していくのだろう。
そのときに小さな市場と流通を支えるのが、ネットの力であり情報の力なのだと思う。

そしてその『小さな市場』がハードウェアのほうにも広がっていくのだろう。



ねるねるねるねを練ったわけ

Make: Tokyo Meeting とニコニコ技術文化祭ですっかりおなじみ大岡山の東京工業大学。

東京工業大学の文化祭「工大祭2011」の中に今年も「ニコニコ技術文化祭」なるニコニコ技術部枠があって参加してきた。
ニコニコ技術部関係の人ならば年齢に関係なく展示ができて文化祭気分が味わえるというちょっぴり美味しい企画。


プレゼン希望者が居なくて困っているという話だったので、今回はプレゼンメインで展示はブースほったらかしにできるような軽度なモノに押さえていた次第。
3DプリンターとCNCフライスでこんな工作が(自宅で)できるようになりますよという出力例の展示。
CupcakeCNC による 3Dプリンター出力というのはなかなかに興味を惹くようで、こんなのが作れるんですか?と上々の評判。「10万円くらいで買えます」というとそれくらいで買えるんですか、と驚かれる人が多かった。
『このレベルのが作れるのはアンタだけや』という識者の突っ込みもあって、実際その通りなところもあるのだけれどもそのへんはスルーということで。


プレゼンのほうは、一昨年「Wiiで柊かがみ」の説明をさせてもらったので、今年は「ねるねるねるねを良く練ってみたい」を題材に楽しい動画の作り方や裏話などを語ってきた次第。

PDFファイル: 練ったわけスライド2
slideshareリンク: ねるねるねるねを練ったわけ

「面白い動画を作るにはどういったことに気を遣うか」といった感じのテーマとなっている。

スタッフのみなさん、出展者のみなさん、見に来てくださったみなさん、お疲れ様でした。



コンテクストレベルとテキストのあり方

THE INTERVIEWS というソーシャルっぽいテキストSNSサイトが話題になっていた。
誰かからの質問に答えてその回答をテキストと1枚の画像で表現するという情報ロギングタイプのサイト。特徴としては応答者を知っている誰かからの質問のみで構成されているところと、誰が質問したかは絶対に明かされないところ。これによって質問者は相手が著名人であっても気軽に質問することができるし、応答者にとっては質問に答えるという心地よいアクションのみを得ることができるという仕掛けらしい。

最初にそのサイトを知ったのは2011年9月に入ってすぐの事だったと思う。Twitter上で質問に答えたよとか質問をくださいとかいったtweetが散見されるようになってきた。
主にネタ系クラスタが最初に飛びついて使っていて、(知らない人から見たら中傷にしか見えないような)ボケた質問とそれをうまく受け流すとぼけた回答をしているというのがそれなりに楽しそうに見えたのである。
このネタクラスタの使い方、遊び方を最初に見てしまったのが私の中でのTHE INTERVIEWS評に繋がっているのである。
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00年代プレゼン資料寄せ集めリンク集

また最近はひっそり引きこもり気味に生活しているけれども、2000年代は色々とお呼ばれしてプレゼン発表をさせていただく機会が何回かあった。
そういったスライド資料は当Blogなどに張ってあるものの、時系列だと埋もれがちなものである。
そういったものを掘り起こす意味でここまでの一覧を作ろうというのがこの記事の目的。
いわばリンク集。
今回集めたスライド資料は SlideShare(rerofumiタグがおすすめ) にも置いておくので読みやすい方で利用してもらいたい。

■ 「PersonalFabとネットワーク時代の工作」
2010/07/18 ニコニコ技術部勉強会 NT川崎2010
[original] [SlideShare]
これからは物理的形状をネットワークで伝送できるようになるだろう。
その未来を作りだすのが自動工作機械なんじゃないかな、というお話。

■ 「アイディアを形にする技術」
2009/10/25 東工大ニコニコ技術文化祭
[original] [SlideShare]
すごいと言われているものは今の人々が理解できているものなのでそんなにすごくはない。本当にすごいものは現在の時点で理解ができないものである。
なのですでにあるものを踏まえるというのはわかりやすく伝えるために必要なものである。

■ 「不在通知P的あの楽器見解」
2009/02/01 ニコニコ技術部あの楽器ミーティング
[original] [SlideShare]
たぶんみんなは技術論に偏るから、プロジェクトとしてどうあるべきかを補強しておきたかったとかそんなの。

■ 「ゲーム開発をオープンに楽しもう」
2008/12/29 Homebrew BOF
[original] [SlideShare]
これまで資料を公開していなかったので初出の虎の子出し。
自作ゲームを敢えて Homebrew で作るとなにがうれしいのかとか。

■ 「ただしいケンカの売り方」
2008/10/12 ニコニコ技術部勉強会 NT名古屋
[original] [SlideShare]
ニコニコ動画の文化は作品制作の連鎖にあるとかそういうの。

■ 「キャラクター指向モデリング開発のすすめ」
2008/08/30 ニコニコ技術部勉強会 NT大槻
[original] [SlideShare]
ニコニコ技術部勉強会の第一回目ということで方向性が良くわからなくて悩んだ。
ハードとソフトのどちらにもできようできるプロジェクトマネジメントとして勉強会らしくオブジェクト指向モデリングを説明してみた。
よく間違われるけどオブジェクト指向プログラミングじゃなくてモデリングだからね。

■ 「MIDIフィジカルコントローラ」
2008/5/31 説明資料
[original] [SlideShare]
かなでPJ のアイディアシート。
プレゼンをしたわけじゃないけど、これを色々な人に見せてまわった。

■ 「オープンソース側から萌えへのアプローチ」
2004/9 オープンソースカンファレンス2004
[original] [SlideShare]
ライトニングトークの資料。
OSC2004 では「ぽえりな」発売直後だったので、KNOPPIX日本語版の須崎さんと一緒に1CD Linux のセッションをやらせてもらったが、そっちは特にスライドが無かった。
すでにあるプロダクトに擬人化キャラを付与するのではなく、最初にキャラクターやシンボルを作ってそれにプロダクトをつけていきましょうという提案。
この辺の思考は今に続いている。

■ 「ゲームとフリーとオープンソース、まとめ」
2001/2/21 オープンソース祭り01 秋葉原
[original] [pdf]
昔書いたコラム。プレゼンというのとはちょっと違うのだけれども、その後も振り返ったり読んでもらったりすることが多いのでまとめておく。
オープンソース祭り01 では「ランゲージ娘\0」のセッションをさせてもらったので、このコラムは冊子として配布したものにまとめがあったというもの。



キャラクターイラスト絵師のような声

ダウンロード音楽販売のサイトをうろうろしていたら「電車で電車でGO!GO!GO!れぼりゅ~しょん」なるアルバムが売られているのを見つけた。
寡聞にも知らなかったのだが、2008年秋頃に「電車で電車でGO!GO!GO!」の萌えポップカバーとして発売されたアルバムらしい。UFO子(うほこ)の「スペースインベーダーエクストリーム2」が2009年なのであのころのタイトーはそういった路線だったのだろう。
「電車で電車でGO!GO!GO!れぼりゅ~しょん」聞いてみるとなんだか癖になって気に入ってしまった。いかにもな萌え声なので受け付けない人も多そうだけれども、エクストリーム2の InvaderGIRL! と同じくよくできた楽曲にリズミカルサンプルなキュートボイスが心地よい感じ。

んでまあ、個人的にこの電Goれぼりゅ~しょん、InvaderGIRL! とセットで見てしまうんだけれども、どっちもひじょーにクセのあるキュートボイスが耳について離れないあたりに色々と感心しつつ聞いてしまう。
なんというか、いかにもな「可愛い萌えボイス」といった風情なんだけれども、それがサンプルとして連打されていると特徴点が際立って見えてくるとかそんな感じ。
とにかく『ごぉー↑』だの『えくすとりぃむぅ~↑』だの語尾がどこまでも上がりまくる。ほとんど通常の発音ではないくらい。でもその特殊な語尾の上がりがとてつもないかわいい系といった雰囲気を作りだしている。
こういった輪郭や特徴点を抽出してなぞることができれば、萌え系ボイスのテンプレートができあがるのではないかと考えてしまう。そのへんは過去記事「音のデフォルメについての考察」も参照していただきたい。

「電車で電車でGO!GO!GO!れぼりゅ~しょん」の方は『歌・枕木三姉妹』とあって「誰やねん」と思ったが、中の人は民安ともえ、成瀬未亜、壱智村小真といったメンバー。あー、なるほどねと思った。
ちょびっと言葉を選ぶけれども、いわゆるゲーム系の声優さんというのは最近独特な芸風をもった役者さんになってきていると思う。ある意味最先端。
良く『アニメ声』なんて表現があるけれども、アニメーションってのは割と幅広い演技が必要で本当に『役者』として広い範囲をカバーする必要があると思っている。くぎみーだのゆかりんだの萌えキャラ声が有名な人でも「そういう役もできる」という手広い範囲の一角。なんでかというとアニメはそういった続いた時間を演技するので通常の舞台と様式が似通ってくるからじゃないかなあ。
一方ゲーム系はアニメとは違った密度を持ち始めている。本当に濃い部分、おいしい部分、特徴的な部分をさらにこってりと煮詰めて『そこだけ』を提供することが可能である。なので、それに特化した演技というのが発展できる可能性がある。
なので『萌え声』というキャラクター性をもった声質というのがゲーム声優によって形作られつつあるという論を語ってみたい。

キャラクター性のある声というのはどう言うものかという定義からする必要があるかもしれない。
声を聞いただけで誰かわかるとか、声の演技で雰囲気を作り出すとか。通常ストーリーのあるアニメやドラマを超えでやると状況の中で声を出すけれども、声があるだけで存在感がある声優さんというのが居る。八奈見乗児とか、若本規夫とか。あまりにも存在がたちすぎていて、声のフォルムが形作られるとギャグっぽくなってくる。逆にギャグものをやるには、声がある程度のフォルムを持っていないといけない。これが声におけるデフォルメなんだと思う。
それと同じように『萌え』ものをやるにも、声をデフォルメしてある程度の非リアルさに持って行く必要があるのではないだろうか。単純に声が高くてキャピキャピしてればよいというのではなくて、存在感のある非現実的な演技を伴った声でなくてはならない。色々な演技もできてそれもできるというのは一流の仕事だが、そのデフォルメ声に特化した演技が得意というのも世界としては在りかもしれない。それがゲーム系の声優さんなんじゃないかと思う。

で、そんな萌えだのなんだのといったデフォルメ演技に特化できる役者さんは何かというと、絵師と呼ばれるキャラクターイラストレーターみたいなものじゃないかと思うのだ。
昔は漫画やアニメが第一線でそこからすべてが生み出されてきていた。キャラクターとか絵柄とかも。
しかし、80年代以降『イラストレーター』と呼ばれるキャラクター絵をメインとした絵描きがもてはやされるようになる。キャラクター絵は皆が注視するところだし、背景や中割といった実力を必要とする作業をせずにそこに注力するだけでよいので多くの人が志望したくさんのクリエイターが生まれた。
とすると、今度はそのイラストレーターが生み出すキャラクターや絵柄が最先端になってきたのである。
漫画はさほどではないけれども、アニメはその人気絵師の絵柄を取り入れるまでに2クッションくらいの時間を要する感じになってきている。というのも、大勢で作るものだから、みんなで描けるレベルの絵に抽出できないといけないんだよね。そのうち流行の絵柄を取り入れて近づいていくんだけれども、ちょっと時間がかかる。
それに比べるとゲームはダイレクトに流行の絵師を起用できるジャンル。または、ゲームで絵師がブレイクしてその絵柄が流行になったりとかいった側面も持っている。これはキャラ絵だけ抜き出して特化しても作れるジャンルをゲームは持っているからなんだろうと思う。
まあ、そんな感じにゲームと絵師はなんだか独自に先端を走って、その先端がたくさんあって、いくつも消えていくけれどもいくつかの先端は確実に時代の流れを作っているとか、まあそんな風にみている。
で、同じくゲーム声優というジャンルも、キャラクターイラスト絵師と同じく特定のフォルムだけに特化してそれを先鋭化していく分野なんじゃないかなと思った。

キャラクターイラストと同じようにキャラクターボイスも流行の声質や演技というものを次々に生み出して、そしてそれは非リアルなものだけれどもなんだか可愛いくて良いものとして確立していくのだろう。
そしてそういった先に次世代のキャラクターが存在しているのだ。



プログラマーを超えるプログラム

http://twitter.com/ruripeco
自作の乱作文生成bot の「るりぺこさん。」が稼働して1年半近くにもなる。ここ半年はプログラムの更新を行っておらず特に目立ったアルゴリズムの更新もないため、ほとんど放置状態なのだけれどもそれでも毎日『おっ、これはなかなか』と思わせる珍文章をつぶやいているため作った本人が割と楽しく眺めている。
まあ、乱数作文なので意味が通らない文章ばかりなのだけれども、それでもなんとなく意味があるようでないようなところとか面白いと感じる部分はあるように思う。
しかし、この「作者が見て面白い」というのはずいぶんと奇妙な構図にも思える。
プログラマーがプログラムを作った以上、それを作ったプログラマが意図する範囲でしかコードは動けないものなのではないだろうか。作者が作成して意図しない動きをした場合それはバグと呼ばれる物なのではないか。
本当にプログラムがプログラマーの意図を超えて動作するなんてことはあるのだろうか。

作成したプログラムがプログラマーの意図通りに動かない、予想を超えて動くという状況にはどのようなものがあるだろう。

      ・意図した動作をする様なコードが書けていなかった(コードのバグ)
      ・仕様に不備があり、特定のパターンが策定できていなかった(ロジックのバグ)
      ・仕様を超えた範囲で動作した(仕様の不具合)
      ・動作そのものは規定だが、入力と出力が任意である

上の3つはバグなりミスの範疇だが、最後のひとつはそうではなくソフトウェアとして正しい挙動となる。
例えばコンパイラなどでアプリケーションをコンパイルする作業はプログラムとして正しく動作しているものとなる。ただし、その結果できた素晴らしいアプリケーションはコンパイラのプログラマが意図したものではない。コンパイラのプログラマの成果でもないし、コンパイラに不備があったわけでもないが、ユーザーはコンパイラを使ってコンパイラの作者の想定を遥かにこえたアプリケーションを生みだすことができるだろう。
同じようにワープロソフトを使って直木賞作品が書かれたとしても、それはワープロソフトのプログラマの意図とは違ったものであろう。
これを全部ひっくるめてプログラムが引き起こした物と定義できるのなら、プログラムが作者の意図したとおりに動きつつ意図しない成果を世界に影響することができると言えるかもしれない。

プログラマーはしばしば、コンピューターやコードの中で自分が神にでもなったかのような幻想に酔いしれることがある。というかありがちな気がする。
問題をモデリングし、演算解決の道具であるコンピューター記述言語に落とし込み、おおよその事象を演算にまで分解して自分が意図した結果を表現してみせる。コンピューターはプログラムで記述した通りに動くから、プログラム自体がプログラマーの力量を表した物であり結果を導き出したのはプログラマーのおかげであるという。
まあそれは問題をモデリングした範疇では正しいかもしれない。
だからといってプログラマーが絶対かというとそういうわけではないだろう。あくまで限定された観測範囲でのお話で、そのへんは問題モデリングの専門である数学屋さんや物理屋さんと似通ったようなものかもしれない。

でもプログラムはミスひとつで経済を崩壊にまで追いやることができるし、死者を出す可能性もある。そこまで範囲が広がる可能性があるのなら、世界を変えることもできるかもしれない。
しかし、それにはプログラムが動作する仕様範囲と「それ以外」の認識が必要なのではないだろうか。
コンパイラの例がたぶん一番わかりやすいように思う。
プログラマーが作製したプログラム自体は規定の動作をするのだけれども、それに何をさせるかというソースを与えて結果を生み出すのがプログラマーではない他者であるという構図。プログラマー以外のものがソース提供をするといった関係性。それこそが、プログラマーを超える動作をさせるということの注視点なのだと思う。
なぜそのような事になるのかというと、コンピューターやプログラムが動いて成果を出すという流れがずいぶんと複雑になっていて関与する物がアルゴリズムやプログラムコードだけでなくなっているからである。
プログラミングも構造化して、オブジェクト指向化して、データ指向化して、今やコードはデータやデザインのおまけみたいになってしまった。アプリケーションという箱物が売れなくなり、大量の情報とネットワークがお金を生みプログラムはそれを支える仕様のひとつになってしまっている。

だからどうという悲観論とかそういった話ではなく、そのような沢山の人とデータを上手く取り入れるようにすることでプログラマーの技量以上の成果を出すプログラムを作れる様になるのではないかという見解を示したかった。
成長するプログラムというとなんだかまだSFの世界のお話みたいだけれども、SNSとかいったソーシャルアプリケーションサイトの発展というのはだいたいそういった視点なんじゃないかと思う。サイトデザインそのものは仕様のままなのだけれども、そこに集まった人たちが思い思いに利用を始めて驚くような展開と成長を始めたりする。
そこに自己成長といった視点を持ち込めば十分に人工知能的な世界を見いだせるのではないかと思う。いかにして人工知能的なスフィア空間を拡大させていくか、昨今のモノ作りにはそういった環境全てを包括した視点が必須となる。
別な見方をすれば、ネットワークと莫大なデータを与え続けることで大なり小なり成長するプログラムを作れるだろうし、それがやりやすい時代になってきている。
自分で作ったプログラムが成長して作者を楽しませてくれる、それはおしゃべり型botが見せてくれる本当に小さな成果だけれどもプログラマーを超えた何かに変貌したということを見せてくれる瞬間。
「るりぺこ。」さんはそんな世界をほんのちょっとだけ垣間見るための手習いなのです。