コメを噛め

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rerofumi の電子工作メモ

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第七回『基板切削の準備』
CNCフライスで切削を始める前に準備をしましょう。

■ 捨て板
プリント基板として切削する銅箔板のほかに、一緒に切ったり穴を空けたりしても良い板を用意しておきます。これを捨て板といいます。
ボール板などで穴を空けるときに、穴を空けたい素材の下に木板などをおいて一緒に穴開けをしますがそれと同じ意味を持ちます。穴あけ時の貫通面破損を押さえる効果と、突き抜けて加工する穴あけ掘削時にテーブルを傷つけない様にといった用途で用います。
オリジナルマインドさんの作例を見ていると銅箔板と捨て板を毎回セットで貼り合わせて使い、捨て板も一回の加工で捨ててしまうようですね。確かにそれは確実な使い方という気がします。


私はテーブルの上に POM の板を一枚張って、それを捨て板として使っています。


実際にプリント基板を作った後では、ドリルの穴や基板切断時の溝などが残ります。


ある程度表面がぼろぼろになって使いにくくなったら、面だしコードで表面を薄く削ります。
これで穴の開いていない面が用意できるのでまたきれいな切削が行えます。

少しずつ少しずつ削って使える面を作っていくので、数ミリの POM で結構持ちます。
1.6mm のベークライト板を使っていたこともありましたが、0.2~0.4mmずつ削っても数回使えるので割と長持ちしました。

■ 両面テープ
CNCフライスのテーブルに固定ねじやクランプがあればそれで銅箔板を固定します。
無い場合は両面テープで銅箔板をテーブルや捨て板に固定することになります。
プリント基板の場合は張り付きやすいので両面テープの利用で良いのでは無いかと思います。

その際両面テープの選択が結構重要になります。
強力なテープを使ってしまうと加工が終わった後剥がせなくなってしまいますし、無理に剥がそうとして曲げてしまったり割ってしまったりする可能性が出てきます。
かといって剥がしやすいテープを使うと、今度は加工中に剥がれて失敗してしまう可能性があります。
どんなテープが良いかというとむずかしいのですが、私は基材が紙じゃ無いものを推します。
紙が基材の両面テープは破けやすいので、加工後剥がすのに大変苦労します。


一押しは「セルタック」というセロハンテープ基材の奴なのですが、入手しにくいという難点があります。

■ ゼロ点出し
これは基材準備ではないのですが、CNCソフト上でここを工作の原点としようというゼロ点決めを行う必要があります。
Gynostemma ではパターン切削、ドリル穴あけ、外形切削の 3種類の G-Code を出力しますが、これらのXY原点は全て同じとしています。なので、最初にここをXY原点として設定するよと決めたらツール(刃)を交換しても触らずにそのまま最後まで使い続けます。


通常はCNCソフトにゼロリセットボタンがあり、押すと座標がゼロにリセットされ現在の刃の位置が原点となります。

Z軸縦方向のゼロ点は刃のセット位置によって微妙に変化します。
Z軸のゼロ点だしについては、刃の止めねじを緩め落下させ板にコツンと当たって止まったところをゼロとします。そこでねじをとめてCNCでZ軸の座標をゼロにリセットします。
プリント基板については板の上なのでこのゼロ点出しの方法で十分事足ります。
これは刃を替える毎に毎回やる必要があります。できるだけ平らな面の上に刃を持って行ってそこでゼロ点だしを行いましょう。

5 Comments to “CNCフライスでプリント基板製作講座/その7”

  1. お昼寝 Says:

     ぉお、ちょっくらお仕事でわさわさしている間に、沢山情報が。嬉しいです。
     あちこちコメント付けたいのですが、とりあえずここに…。

     加工用の捨て板なのですが、人工大理石の端材ってのも安くて便利です。ワタシの買った物では400mm角程度のt=10mmが700円、銀行振り込みしたのに何故か送料に加えて決済手数料とかも引かれて2330円払いましたが結構使い出があります。
     要は堅い樹脂の板なので、切削もし易く工作用に色々使えて便利です。かみさんが、ニット作品のタグにパソコン出力じゃ味気ないというので、判子を作ってあげたりもしました。

     セルタック…。ここで知って、近所のホームセンターで探すも無い。(^”^;基材が樹脂系の物じゃ無いと扱いづらいので、近所でも入手出来るニトムズのT3810を使っていますが、う~ん、こんなもんかなぁ…。やっぱセルタック試してみたい…と、今、コメを書きながらぐぐってみたんですが、ヨドバシ.comが扱っていてしかも送料無料とか…ほんとうかよ(^^;と、早速会員になってセルタックのCW-18を1点じゃ悪い気がして2点ぽちっ。2本で378円、送料無料だそうです。到着が楽しみぃ~

  2. お昼寝 Says:

     あ、ちなみにワタシの入手したPOM材は、195mm角t=10をメール便で1780円。こんなものですかねぇ~。面出しと取り付け用の穴空けまでやって、もったいなくなってお蔵入りです(^^;

  3. rerofumi Says:

    捨て板とか、固定治具とかはネタの宝庫ですからね。
    「俺はこうやっているんだけれどもみんなはどうよ」的に情報交換していくのもよろしいかと。
    両面加工用の位置決め治具って使ったこと無いので情報が無いのですよね、どうするのが良いのかなあ。L字定規を両面テープで貼り付けるだけでもそれなりに使えそうだけれども。

    判子の作成は CNCフライスっぽい工作で良いですねえ。
    色々作れそう。

    人工大理石ってデュポンコーリアンとかですかね。
    あれって切削するとケミカルウッドみたいに砕けて粉になるのでしょうか。粉じんになってしまうと掃除機で吸うのも大変だから、POMみたいにある程度まとまってくれた方が楽と言えば楽なのですが。
    ケミカルウッドを削ったときに、大量の粉じんがそのまま CNC 用 PC のファン吸気口へ吸い込まれていった切ない思い出……。

    お、本当だ「ヨドバシ.com」でセルタックが変えますね。しかし『在庫残少』…。

  4. お昼寝 Says:

     先日、試しにと両面基板に挑戦したときは、まだ治具もなんも準備出来て無かったので、穴空けと、外形を先にやって、枠を外した後で直線定規を外形に沿わせて両面止め。基板を外して定規に沿って貼り付け、わかりやすい穴位置にX軸だけ手動で微調整して、ドリルをポトンと滑り落として位置出し(穴に入ったら位置が出た…アバウトな(^^; )。言葉で書くと面倒に感じるけど、やってみたら意外と簡単でした。

     人工大理石は、ご想像の通り、面出しとかでいっぱい削ると大量に粉塵が出ます。で、ワタシは削る面に水溶性の切削油(20倍くらいに水で希釈する奴)を拭きかけて作業を開始して、切削中切削油を注射器でかけています。粉塵は切削油(と、言うより水だな)を吸ってもこもこになって切削の邪魔をせず、飛び散らず、ほとんど切削面の上にムースケーキの様に残ります。これを掃除機でボソッと吸い込んだり(吸い込ませたら、作業後掃除機のメンテナンス。もこもこが乾燥すると粉塵がフィルターを抜けたり詰まったりし易くなる)ブラシでゴミ箱に落としたり、水洗いして流したり。

     『在庫残少』あ、ほんとだ。(^^;

  5. お昼寝 Says:

     ちなみに、セルタックは翌日夕方には届きました(なんという流通の素晴らしさ)。
     さて、試すために何か設計しなくちゃ :-)

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